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トルココーヒーとセラムリック
アラブの文化の飲み物といえばミントティーを思い浮かべるが、コーヒーも有名である。チュニジアでも、朝会議があると必ずと言っていいほど、おもてなしで小さな紙コップに入れたコーヒーを出してくれる。出されるコーヒーは、どちらかというとイタリア風のエスプレッソなのだが、時々オシャレなカフェに行くと、トルココーヒーが出てくる。

下の写真は以前チュニジアのカフェで注文したトルココーヒー。
長い柄の先に小さな柄杓のような形の容器でお湯を沸かし、沸騰させた後、コーヒーの粉末と砂糖を加えて煮込む。そしてその上澄みだけをカップに入れる。ここでは更に、バラ水(花のつぼみを煮込んで香りを含んだ蒸留水を集めたもの)を使っていた。

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今回はトルコでのトランジットだったので、帰りにトルココーヒーを購入しようと決めていた。
セラムリックSelamliqueというブランドの、ダークローストとマスティック。マスティックはマスティック・ガムという低木の樹液を乾燥させたものから得られるフレーバーで檜の香りがする。

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帰国してから週末の朝に早速飲むと、夫が「うん、中東の味」と一言。
思ったよりさっぱりしてたのだが、これはやはりぐつぐつ沸騰させるのがよいのかもしれない。


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# by iihanashi-africa | 2023-11-25 21:24 | トルコ | Trackback | Comments(0)
チュニジアのリゾート地、ハマメット
チュニスから東へ60kmのところに、ハマメットHammametというリゾート地がある。

ローマ時代の179年にこの地に植民市が建設され、その後もヴァンダル、ビザンチン、アラブ、ノルマン、スペイン、マルタ騎士団などがこの地を代わるがわる占領したのだそうだ。そして、フランス植民地時代の1920年代に、ルーマニア貴族で大富豪のジョルジュ・セバスチャンが別荘を建てたことを機に、作家のアンドレ・ジッドやジャン・コクトーなど多くの芸術家に愛されたリゾート地になっていった。

私たちは週末のランチに、ほんの数時間だけ旧市街方面を訪れた。リゾート地はもう少し南のヤスミン・ハマメットと呼ばれる地域で、そこは海岸沿いに高級ホテルが立ち並ぶらしい。

この日はとにかく天気がよく、写真が綺麗に撮れたので、写真メインでアップする。
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旧市街は比較的小さいが、スークには複数のお土産屋があり、チュニスほど高く吹っかけられることもなく買いやすい。

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カスバと呼ばれるメディナを守るために作られた要塞。荒れ果てていたものを1977~1979年に修復して現在の形になっている。

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要塞の中にある大砲。

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城壁の上にでるとメディナやビーチが見渡せる。

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# by iihanashi-africa | 2023-11-22 18:19 | チュニジア | Trackback | Comments(0)
一夫多妻を禁止するチュニジアと女性の地位
『チュニジアを知るための60章』鷹木恵子(編著)を読んでいて、興味深いテーマがあった。

タイトルにもあるとおり、イスラム諸国の中で、チュニジアは唯一、明確に一夫多妻制を禁止する国というのだ。

イスラム家族法で、一夫多妻が認められていることは周知の事実だろう。コーラン4章3節に「あなたがたがよいと思う2人、3人または4人の女をめとれ」と記載されており、これが男性が4人までの女性を同時に妻にできることの根拠となっている。これに基づいて多くのイスラム諸国では、一夫多妻を許容する。


しかし、チュニジアはこれをはっきりと否定し、一夫一婦制を明確に規定しているというのだ。全く知らなかった。アラブ・イスラム諸国で初の、しかも唯一のものだそうだ。他国においても、2人以上の妻を持つにあたっては、裁判所の許可が必要であったり、1人目の妻の許可が必要であったりするなど、実際には一夫多妻制が制限されている国も多い。セネガルでは、一人目の妻をめとる際に、「あなたは一夫一妻を選ぶか、それとも一夫多妻を選ぶか」と聞かれ、最初に選ばなければならない仕組みだったと記憶する。

余談だが、2005年頃に半年ほどセネガルに滞在したことがあったが、その際にたまたまイベントで出会った年配の女性に、「あたな、私の旦那の妻にならない?」と誘われたことがある。セネガル人男性は挨拶のように誰でも口説くので(少し言い過ぎか笑)、かわし方を身につけていたが、まさか女性にこんな口説かれ方をするとは想定外だった。


さて、チュニジアの話に戻ると、チュニジアで一夫一妻を規定した「Code du statut personnel」がある。日本語で何と訳したらよいのだろう。婚姻、離婚、子どもの世話、相続、遺言などが記載されているので「家族法」だろうか。

フランス語の原文のままだが、このサイトに掲載されてある。
https://www.ilo.org/dyn/natlex/docs/ELECTRONIC/73374/74946/F-1287339442/TUN-73374.pdf

Article 18の最初の文章にはっきりと記載がある。
La polygamie est interdite. (重婚は禁止である)
どんな理由があろうと許可されず、たとえ法律上「婚姻関係」とされていない場合でも、実刑と罰金があるようだ。

ただ、政権が変わる度に、定期的に一夫多妻制の復活を提案する人たちがいるという。コーランの厳格な解釈を主張したりする人たちがそうである。


コーランの4章(婦人章)は以下のサイトに詳細がある。
http://www2.dokidoki.ne.jp/islam/quran/quran004-1.htm

4章3節に、以下のように記載されている。
「あなたがたがもし孤児に対し、公平にしてやれそうにもないならば、あなたがたがよいと思う2人、3人または4人の女をめとれ。だが公平にしてやれそうにもないならば、只1人だけ(めとるか)、またはあなたがたの右手が所有する者(奴隷の女)で我慢しておきなさい。このことは不公正を避けるため、もっとも公正である。」

正しく理解するのは難しいが、私の理解だと、複数の孤児を、自分一人では公平に面倒を看きれないのであれば、複数の女性をめとってよいが、女性たちを公平に扱えないのであれば、一人にしなさいと述べているように読める。

結局複数の妻を平等に扱うことなど到底不可能である。
このような論争の中で、チュニジアは女性の権利を拡大し、日本よりもずっと女性が活躍する社会になっている。そして、女性解放運動をすすめ、男女平等の議論のきっかけとなったのが、タハール・ハッダードTahal Haddadである。


今週は、チュニジアのカウンターパートである大学の先生方が来日しており、「woman empowerment」について議論したのだが、チュニジアは日本よりも西欧よりも女性が活躍しており、給与の違いもなく、むしろ男性よりも女性の方が働く。何もしない男性の「empowerment」の方が重要で、woman empowermentを語るのであれば、役に立たない男性ばかりの社会で、女性がどう生き抜くかということを話す必要があるとのことだった。とても新鮮だった。



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# by iihanashi-africa | 2023-11-10 00:56 | チュニジア | Trackback | Comments(0)
邪視信仰とファティマの手
前回の出張で研修に参加してくれた学生さんが、ファティマの手のネックレスをくれた。
チュニジアに限らず、アラブ諸国では土産物屋で必ず見かける。

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ファティマの手とは一体何か。

『チュニジアを知るための60章』鷹木恵子(編著)によると、地中海世界の一帯でイスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒の別を問わず、共有されている信仰の一つに「妬みの目」の信仰、いわゆる邪視信仰がある。妬みや羨望の目をもって見ることで、人、動物、物などに何らかの禍や不幸をもたらすという信仰である。例えば、そうした羨望や嫉妬の感情とともに見つめられると、かわいらしい健康な赤ちゃんが急に病気になったり、美しい花嫁の衣装が破れたり、またミルクを沢山出していた乳牛が急にミルクを出さなくなったりするなどの禍が起きるとされる。

邪視は人間誰もが抱きやすい羨望や嫉妬の感情に基づくものであり、しかも単に「見る」という行為によって意図せず相手に禍をもたらしてしまうということは、誰もが予期せずに加害者にも被害者にもなり得るということである。そのため、邪視払いの多様な御守りが存在するが、中でも一般的なものが「ファティマの手」である。御守りやアクセサリー、キーホルダーとして身に着けることが多い。

ちなみにファティマというのは、預言者ムハンマドの四女で、イスラム世界で最も慈悲深い女性とされている。

身に着けるだけでなく、家の中に禍や不幸が持ち込まれないように、家の扉にも施されることが多いそうだ。ファティマの手だけでなく、「魚」や「三日月」「星」「目」「馬蹄」などもモチーフも邪視除け効果があるという。チュニジアの家にはよく黒い鋲でこのような模様が施されていることがあると本に記載されているのを見て、早速写真を見返してみた。私の撮った写真は観光地のSidi bou Saidの写真だったので、観光テイストなのかもしれず、邪視除けモチーフはあまり見られなかったのだが、次回の出張ではもう少し注目してみてみようかな。

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これは星かな。
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これは馬蹄かも。
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# by iihanashi-africa | 2023-11-03 20:33 | チュニジア | Trackback | Comments(0)
チュニスの現代アート国立美術館
前回の貨幣博物館に続き、あまり知られていないチュニスのミュージアムをもう一つ。

Musée National d’Art Moderne et Contemporain
現代アート国立美術館

https://www.macam-tunis.tn/

略してMACAM Tunisと呼ぶらしい。

現代アートは1年前に直島を旅行してとても好きになった。
旅行の前にたまたま見つけた『直島誕生』という本が、「現代アート=理解が難しいアート」という思い込みを払拭してくれ、旅行中に立ち寄った地中美術館や豊島美術館で現代アートの感動を肌で感じ、現代アートそのものの素晴らしさとともに、キュレーターの役割の大きさを感じたのだった。

それ以来、現代アートが好きになった。

そのため、チュニジアの「現代アート」と聞くとワクワクする。

私が滞在していたホテルの近くのモハメド5世通りにCité de la cultureと呼ばれるカルチャーセンターがある。工事は2003年に始まったそうだが、アラブの春や契約の問題等で何度か中断され、2018年に漸く完成した建物のようだ。とにかくまず、建物が美しい。オペラ劇場や2つの映画館、その他複数の劇場、文化関係機関の事務所などがあり大きいし、中央のアーチ型天井や太く重厚な柱などはまるで神殿の様である。

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この建物の一角に、現代アート国立美術館がある。
美術館は、2020年2月に開館したそうで比較的最近である。オープン当初は来場者もいたのだろうが、この日は私一人だった。冷房も付いておらず暑かったし、普段は訪問者がほとんどいないのかもしれない。

入場無料なので、受付をそのまま通り抜けると、「エレベーターで3階へどうぞ」と通される。常設展はないようで、数か月毎に特別展が入れ替わる。私が訪問した時は、『チュニジアの芸術レトリスム(文字主義):出現と進化』というタイトルで、文字や言語を破壊して無造作に羅列しながら表現するアートを展示していた(っぽい。というのもアラビア語の説明書きが多くて全てを理解できた訳ではない)。


『チュニジアを知るための60章』鷹木恵子編著によると、イスラムでは偶像崇拝が禁止されていることから、人物をかたどったり描いたりする聖像や聖画が発達することはほとんどなかったのだそうだ。代わりに、一般的に「アラベスク」と呼ばれる抽象的幾何学模様や植物文様、文字文様などが発達したという。特別展もまさに文字の芸術だった。


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展示場はコンパクトだったが、素敵な絵画ばかり。来場者の少なさが勿体ない。

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帰りに売店を覗いたら、写真の絵が飾られていた。
どこかで見たことがある。
絵の下にYahia Turkiとある。
ホテルに戻ってから調べたら、「チュニジア絵画の父」と呼ばれる画家だったようだ。チュニジアでこの方の絵を見られる美術館があれば行きたいのだが、あるのだろうか。
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カルチャーセンターの中に、マリオネット国立アートセンターという扉があった。中には誰も人がいなかったので、何も説明を聞けなかったが、後で調べてみると、16世紀頃からトルコからマリオネットが伝わってきていたらしい。建物1階にはマリオネットのショップもある。

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こちらはオペラ劇場。コンサートホールとしても使われるそうだ。
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そして、現代アートのギャラリーで、一目惚れした置物を衝動買いしてしまった。
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Crea-Tineというギャラリーの作品らしい。
私が購入したオブジェの写真も発見(https://www.facebook.com/photo/?fbid=737679787780678&set=pcb.737679994447324)。

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マダガスカルとセネガルとケニアの置物と共に、玄関に置いてみた。どうだろう。

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# by iihanashi-africa | 2023-10-30 22:59 | チュニジア | Trackback | Comments(2)