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守られない分刻みのアポ
これまでダカールには車検を行えるセンターが一ヶ所しかなかった。毎日、結構待っても数センチしか動かないような渋滞が発生しているこのダカールで、である。一説には30万台の車がダカール市内を走っていると言われるが、車検センターが一ヶ所しかないというのがダカールの車所有者の悩みの種だった。単純計算すると、1日500台以上の車検を行わなければならない形。まあもちろん、車検を受けない車も多く、500台が一気に集まるわけではないが、ハン地区にある唯一のセンターは、毎日早朝から車検を待つ車の渋滞ができており、予約なしでセンターに行くとどれだけ待たされるか分からない。

しかし、今年1月に、ダカールのンバオ地区に二つ目の車検センターが設置された。この二つのセンターが、大都市ダカールの車全てをカバーできるかというとそれも甚だ疑問で、2か所設置された現在もなお、センター横の長蛇の列は完全には解消されない。ただ、1ヶ所よりは2カ所あった方がもちろんありがたく、加えて全てのタクシーと8年以上の車は、ンバオの車検センターに行かなければならないという規則ができたため、少しだけ待ち時間が減った。


さて、先日、仕事で使用する車の車検を行うために、ハン地区の車検センターにアポをとった。電話をしたアシスタントが、「アポは今週金曜日の10時24分になりました」という。「は?24分???」ときょとんとした私に、アシスタントは「私も間違いかと思ったのですが、確認したらやはり10時24分と言われました」と話す。こんな分刻みのアポは初めてである。

24分という時間を設定してくるからには、どれほど分刻みの仕事をしているのかと思いきや、案の定、運転手は1時間待つ羽目になる。まさかセネガルで24分ぴったりには始まらないとは思ったが、最近は会議も時間通りに始まることもあるし、もしかしたら車検も10分くらいの遅れで始まることもあり得るかもという期待は多少あった。だが、大いに期待を裏切ってくれ(笑)、余裕の1時間の遅れ。分刻みのアポは一体何の意味があるのだろう。。。


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# by iihanashi-africa | 2018-06-14 05:37 | セネガル | Trackback | Comments(0)
ダカール・ビエンナーレ2018
最近書きたいネタが列をなしており、時間が全然足りない。
ナイジェリアの話題も終わってないのだが、忘れないうちに一つダカールネタを。

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5月3日から6月2日までアフリカ現代アートのビエンナーレBiennale Dak'Artが開催されていた。今年で13回目。1990年に実施された第1回は文学に特化していたが、1992年の第2回に現代アートに限定され、1996年からアフリカ現代アートの祭典となったらしい。


初代セネガル大統領のサンゴールは作家でもあり、芸術に造詣が深く、多くの芸術家に奨学金を与えたと言われている。彼が大統領の時代に、一度アフリカンアートの祭典Festival Mondial des Arts Nègresを開催したが、長続きしなかった。その後、アブドゥ・ジュフ大統領の時代に芸術家が声を上げ、やっと1989年に開催が決定した。

毎年テーマが決められるのだが、今年は『L’heure Rouge(red hour)』。2008年に亡くなったマルティニーク出身の詩人エメ・セゼールの詩の表現で、「自由」を意味する。

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ダカールのビエンナーレには「IN」「OFF」があり、INはコンペに出展されたり招待された芸術作品が委員会の予算で展示され、今年は6カ所が公式会場となっていた。OFFは登録するだけで特に予算支援はないものの、様々な芸術家たちが自身のアトリエやその他の場所で作品を展示する。今年、INは33か国から75名のアーティストが参加しており、OFFは250の会場で行われていたらしい。


現代アートは、説明がないとあまり良く分からないものもあり、会場に入って何の説明もなく「はい、感じてください」みたいに放り出されても、う~~~んと数分考えてやっぱり何も感じられないこともあり難しい。それでも、見た瞬間に「あ、私これ好き」とどこか自分の感覚とぴったりはまるものもある。

私は、全ての会場に足を運べたわけではないが、コメントくださったDiawさんのお勧めも聞きながらいろいろと回ったので、撮りためた写真をアップしよう。

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# by iihanashi-africa | 2018-06-13 06:41 | セネガル | Trackback | Comments(2)
アフリカ文学の父、アチェベの『崩れゆく絆』
以前、チママンダ・アディーチェの『アメリカーナ』という本を紹介した。アディーチェはナイジェリア出身。この記事の中で、英語アフリカ文学の父、チヌア・アチェベについてちらっと触れたが、ナイジェリア出張するにあたり、またナイジェリア気分になろうと、アチェベの本『崩れゆく絆』を本棚から取り出した。以前も読んだのだが、少し経つと内容をすぐに忘れてしまう私。ナイジェリアの知識が少しだけついた今、もう一度読んでみようとカバンに入れ、出張の往復の飛行機で読み終わった。

ものすごく素朴で簡潔な文章なので、すんなりと読み切ることができ、とても読みやすい。シンプルなのだが奥深い小説である。主人公オコンクウォは努力家で野心家で責任感があり、皆から一目置かれる存在。しかし口下手で家族にも思いをうまく伝えられず、時に怒りがコミュニケーションのツールになってしまう。それが威厳を保つ手段ともなるのだが、家族は主人の気持ちを察して行動する。昔の日本の俺の背中をみて育て的なまっすぐなおやじとちょっと重ねてしまったが、置かれている社会が違うとこの実直さと野心が悲劇を呼ぶ。
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訳者でもあるアフリカ文学者の粟飯原文子さんの前書きと解説も興味深いので、引用しながらご紹介。

チヌア・アチェベは『アフリカ文学の父』と呼ばれ、彼の小説『崩れゆく絆(Things Fall Apart, 1958)』はしばしばアフリカ近代文学の原点、あるいは起源として位置づけられてきた。むろん、アチェベが文字通りの意味でのアフリカ文学の創始者ということではない。アチェベ以前や同時代には、重要な作家や詩人が多く存在した。[・・・] ではなぜ、1958年のアチェベの小説がアフリカ文学の「誕生」と結び付けられるのか。

 たしかに、世界の至るところでこれほど読まれ、論じられ、影響力をもち、名声を勝ちえたアフリカ文学作品は『崩れゆく絆』をおいてほかにないため、このことは当然のようにうけとめられがちである。しかし実のところ、ここにこそアフリカ文学を語る際に立ち返るべき根本的な問いがある。すなわち、「いかにアフリカを書くのか」、「アフリカの文学はどうあるべきか」という文体や形式、主題にかかわる問題であるが、アチェベが「アフリカ文学の父」たるゆえんは、まさしく彼こそがそれまでの揺らぎと迷いに対して決定的とも言える方向性を示しえたからだと言える。小説と言う西洋近代の表現形態、いわばアフリカにとって外来のジャンルを用いてどのようにアフリカの歴史過程に応えるか、というひとつの道筋を創り出し、アフリカ人作家による文学を「アフリカ文学」たらしめる礎を築いたのが、ほかでもないアチェベであったのだ。」

「アチェベが大きな情熱と怒りをもって取り組んだのは、作られた「暗黒大陸」というイメージに対する文学での批判的応答、言い換えるなら、小説という手段をつうじて、暴力的にはく奪されてきた歴史と人間性をアフリカに取り戻すことだった。と同時に、植民地支配のもとで、アフリカ人自らが忘却し、喪失してしまった「過去」を、ふたたびアフリカ人に呼び覚まそうとする試み―アチェベ自身の言葉で言えば「再教育」と「再生」―でもあった。

 しかしそれは、単に古き良き時代の社会と文化を賛美して、失われた過去と理想郷を哀悼する態度ではない。たとえばオコンクウォは悲劇の主人公ではあっても、多くの欠点をもつ人間であり、同じく、ウムオフィア社会もあらゆる問題を抱えている。[・・・] それは過去への挽歌である以上に、アフリカ独立の時代の前夜に、きたるべき未来を見つめる新たなアフリカの想像力となったのだ。」

アチェベは、1960年代のビアフラ戦争の際に、ビアフラ側のスポークスマンだった。この中央政府からの分離を掲げた戦争を契機として、アチェベの信念が大きく揺らぎ、その後20年間小説を書かなかったらしい。「再度小説に取り組むにはーナイジェリアとは、国家とはなにか、という重い問いにもう一度正面切って向き合うにはーかなりの時間を要したのだろう」







# by iihanashi-africa | 2018-06-02 05:53 | ナイジェリア | Trackback | Comments(7)
エグシメロンの畑
5月初めにナイジェリアの農家さんの畑を訪問した際、ちょうど雨期が始まったばかりのこの時期に、播種したばかりの畑を見かけた。
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こういう光景を見て、まず思い浮かぶ作物は、トウモロコシソルガム(モロコシ)ミレット(稗)の畑。これはサヘル地域の畑ばかり見ている私の感覚。
ソルガムの写真:穀物の収穫時期(男性の仕事)
ミレットの写真:穀物の収穫時期(女性の仕事)

サヘル地域は、最初の雨が降るとこうして穀物を播種する。これはブルキナファソ北部の写真。
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       偉大な伝統農法


ナイジェリアの畑もトウモロコシか何か穀物だろうと思っていたら、実はエグシメロンの畑だった。


前回、ナイジェリア料理一覧の記事でエグシスープを紹介したが、そのエ・グ・シである。エグシも穀物と同じような間隔で播種するらしい。

これがエグシメロンの実。昨年の7月に撮った写真。
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どう見てもメロンにしか見えない。色も形もメロンで、違いと言えば少し小さいくらいだろうか。中身は、白くて乾燥している。メロンのようにみずみずしく甘い果肉はない。このエグシメロンは、中の種を食べるために栽培されるのだ。種はメロンよりもずっと大きいく、どことなくカボチャの種に似ている。
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この種をつぶして、ペースト状になったものを様々な味付けをしてスープにする。とてももったりしていてお腹にずしっと溜まるが、とても美味しい。スナック感覚でポリポリと食べることもあるらしい。ナイジェリア以外に、ベナンやガーナ、カメルーン、トーゴでも食べられるらしいのだが、カメルーンでは食べた記憶がないなあ。
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ナイジェリアはエグシメロンを40万トン弱生産している。ナイジェリアの人口からしたらそれほど多いとはいえないが、重要な家庭の食材の一つとなっている。

# by iihanashi-africa | 2018-06-01 06:24 | ナイジェリア | Trackback | Comments(9)
ナイジェリア料理一覧
これまでのナイジェリア出張で出会ったローカルフードをまとめてみることにする。私のナイジェリア知識は全て短期間の出張から得られてものなので、実際はもっとずっと奥深いと思うのだが、とりあえず私の知る範囲でリストアップしておこう。

今までの各国料理記事。
ブルキナ料理一覧
ニジェール料理一覧

ナイジェリア料理は、基本的に「辛い」
ライスもソースも何もかもが基本ピリ辛。セネガル、ブルキナ、ニジェールの料理は、もともとのベースはほとんど辛くなく、横にトウガラシがついている。みなさん意外と辛さが苦手だったり、健康のためにトウガラシを食べていないという方もいる。しかし、ナイジェリア料理はベースから辛いため、ちょっとの辛さも苦手な方には拷問かも。ただ、ベースは激辛ではなく「ピリ辛」なので、プラスアルファでトウガラシを入れない限り、十分に美味しく食べられる。

ナイジェリアで最も多く食されるベースの食材はイモ類とコメ、それとプランテンバナナ。特にイモ類の豊富だ。ナイジェリアのカウンターパートと食事をした際に、「あなたもスワロを食べるか?」と聞かれた。何のことかと思ったら、英語のSwallow、つまりたやすく飲み込めるものということで、全てのPounded thingsを総称してスワロと呼ぶらしい。正確にはPoundedしたものではないアマラやガリも含めるのだが、餅みたいに喉越しよく飲み込めるものは「スワロ」らしい。スワロの大半はイモ類とプランテンバナナである。

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「フフ Fufu」
蒸かしたヤムイモやキャッサバ、プランテンバナナを餅のようについたもの。様々なソースと共に食べる。これは西アフリカ諸国で広く食べられており、ブルキナではフトゥと呼ばれていた。


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「アマラ Amala」

見た目はフフと似ているが大きな違いは、フフは餅のようについて出来上がり、アマラはドライヤムあるいはドライキャッサバ、ドライプランテンバナナから作るということ。ドライしたものに熱湯を加えて練り込む。乾燥させると黒く変色するため、見た目も黒っぽい色になる。写真はキャッサバのアマラ。ヤムイモやプランテンバナナよりも粘り気が強く、発酵しているため酸味がある。もちろん、様々なソースと共に食べる。



「ガリ Garri」
キャッサバを乾燥させ粉状にし、2、3日かけて発酵させた後、大きな鍋で傷める。その後お湯と混ぜてもちもちっとしたペースト状のガリが出来上がる。


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「モイモイ Moi-Moi」
私がナイジェリアで食べた料理の中でベスト1に近いローカルフード。蒸かした豆の皮を取り除いてペースト状にし、タマネギやパームオイル、スパイスを混ぜて、バナナの葉に包み(左下の写真)、それを蒸かす。細かく刻んだドライフィッシュやゆで卵が入っていることもある(右下の写真)。オレンジ色をしているのはパームオイルの赤い色。様々なソースと共に食す。


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「ジョロフライス Jolof Rice」
ガーナからナイジェリアにかけて食べられている炊き込みご飯。イモ類に匹敵するくらい、よく食べられる。どちらかというとチャーハンのような食感。セネガルのジョロフ王国の料理、つまりセネガルの国民食チェブジェンがルーツと言われている。ナイジェリアでは、パーボイル米を食べる習慣があり、ジョロフライスもほとんどパーボイル米。白米より料理に時間がかかるが、こういうしっかりとした食感も悪くない。多くの場合、ジョロフライスは肉や魚や野菜と共に食べる。



「ペペスープ Pepper soup」
牛肉やヤギ肉、魚、トウガラシ、ナツメグなどを煮込んだスープ。同僚がPepper soupを綺麗な英語発音で注文したら、paperが出てきたのを思い出す(笑)。レストランでコピー用紙注文する人ってなかなかいないでしょうに。ここではペペと発音するのがベストらしい。


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「エグシスープ Egusi Soup」
ナイジェリア料理で最も有名な料理の一つ。他国ではみられない特有料理だと思う。エグシメロンという小型のメロンの種をつぶして料理のベースとする。エグシメロンは、所謂フルーツとしての果実の甘いメロンではなく、種を食べるために栽培するメロン。私はとても好きな味である。この料理は別途記事を書いたので、こちらをどうぞ。
エグシメロンの畑


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「アフォンスープ Afang Soup」
ナイジェリア南部のイビオビオ族のオリジナル料理だが、現在ナイジェリア代表するスープの一つとなった。アフォンの葉やwaterleavesという葉がベースで、それに肉や野菜、ドライフィッシュなどを加えたスープ。


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「オクラスープ Okra soup」
写真はジョロフライスと共に食すオクラスープ。これは西アフリカ全般で食され、ナイジェリアも例外ではない。とろっとしたまろやかなピリ辛味はやはり食べやすくで安心する味。


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「エフォリロ Efo Riro」
ヨルバ族の伝統料理。ほうれん草のようなEfinrinという葉とEfo sokoという葉を、トマトやスパイス、肉、魚などと共に炒めたもの。他のソース同様、スワロやライスと共に食す。


「プランテン煮込み Plaintain Porridge」
プランテンバナナと豆の煮込み。プランテンバナナの代わりにヤムイモのこともある。パームオイルたっぷりだけれど、とても美味しい煮込み。



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「ドド Dodo」
揚げたプランテンバナナ。熟したプランテンバナナなので甘くておいしい。様々な料理の付けあわせで選ぶナイジェリア人が多い。


「アカラ Akara」
朝食や小腹がすいた時にスナック感覚で食べる豆の揚げパン。タマネギやスパイスも加えられて、やっぱりピリ辛。南部ではアカラと呼び、北部ではコサイKosaiと呼ばれることが多いらしい。


「スヤ Suya」
ハウサ族の料理なので、ナイジェリア北部やニジェールがオリジナルだが、今や全国各地で食べられるらしい。カメルーンの北部に旅行した時も食べたような気がする。通常は羊肉のグリルで、ナイジェリアの特徴は、やはりトウガラシやピーナッツパウダー、ショウガなどを混ぜたピリ辛スパイスをつけてグリルすること。


写真がない料理は、まだ食べていないが食べたいと思っている料理。次の出張で、もう少し充実させられるかな。


# by iihanashi-africa | 2018-05-29 09:16 | ナイジェリア | Trackback | Comments(0)