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『The Empire in Africa』:シエラレオネの内戦は誰に責任があるのか
休暇で日本に一時帰国中、どこかに映画でも見に行こうかと様々な映画館のサイトを見てみたが、今日は私の見たい映画が上映されていない。これから外に出るのも寒いし、たまには家でまったりと映画を見るのもいいかもと思い、アマゾンプライムで映画サーフィンをしていたら、たまたまこのドキュメンタリー映画にたどり着いた。

『The Empire in Africa』

監督:Philippe Diaz
87分、2006年


10年近く前のドキュメンタリー映画だが、日本では上映された様子はなく、アマゾンプライムでも日本語字幕なしのもの。なぜだろうと疑問に思いつつ、映画を見始めてから、自分なりの理由にたどり着いた。おそらく衝撃的映像が多すぎるからだろうと。作品としてはとても素晴らしく、価値のあるものだと思うが、目を逸らしたくなる映像が多い。もう一度見るのは憚れるが、様々な知られざる事実を明るみに出すには、こうして映像で見せることが最も効果的で説得力がある。

西アフリカに位置するシエラレオネでは、1991年から2002年まで内戦が起きていた。外国資本のダイヤモンドの鉱山の支配権をめぐる対立が発端となり、反政府勢力である革命統一戦線(RUF:Revolutionary United Front)と政府軍との間で交戦が泥沼化した。

このシエラレオネ内戦と所謂紛争ダイヤモンドの話は、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『ブラッド・ダイヤモンド』でも脚光を浴びるようになった。この映画もアカデミー賞の5部門にノミネートされていただけあり、とても興味深い映画だった。その後もう一度見たくてDVDも購入した。くしくも、この『ブラッド・ダイヤモンド』と同じ公開日に、『The Empire in Africa』も公開された。おそらく偶然ではないのだろう。ハリウッド映画の『ブラッド・ダイヤモンド』の陰に隠れて『The Empire in Africa』が大々的に脚光を浴びることはなかったのかもしれないが、『ブラッド・ダイヤモンド』では描かれていない先進国の裏の顔を描いており、とても興味深い。

シエラレオネに限らず、多くのアフリカの紛争では、政府側が善、反政府勢力が悪として見られることが多い。「政府」という正式に認められた枠組みに、武装して対立しようとする非公式な勢力は悪いものに違いないという固定観念があるのかもしれない。事実、残虐な行為を行う反政府勢力も多い。しかし、認められた枠組みである「政府」がその役割を果たしていないとき、その偏った見方によって事実が曲げられて理解されることがかなりある。それに加え、政府と反政府勢力は表裏一体で、これまで政府にいた人間が、ある日突然反政府勢力に鞍替えしたり、その逆ももちろんある。

シエラレオネの内戦では、確かに反政府勢力のRUFは残虐なことを行った。しかし、政府側の民間軍事会社、国連が派遣した平和維持軍ECOMAGの残虐行為を、メディアがしっかりと伝えることはなかった。まさか平和維持軍がジェノサイドのようなことを行うはずがないというこれまた固定観念があるのだろう。

少し前に紹介した映画の記事でも、ボコハラム対策と位置付けたカメルーン政府警察の横行を書いたが、テロリスト対策のためにテロリストのようなことを行っている公的組織はまだまだあるのかもしれない。
Cine Droit Libre Dakar 3 :カメルーン北部のボコハラム対策と位置付けた警察の横行

映画の中でインタビューに答えているNGO、Action Against Hungerの女性がこう話していた。
「世界には国際法の蚊帳の外にある国がまだあります。そこでは人々を虐殺しても、飢え死にさせても、誰も責任を問われないのです。シエラレオネでは、他人の罪を負わされた反政府勢力RUFが、後に恩赦を受けるのですが、人々はその恩赦を全く理解できなかったのです。というのも、RUFだけでなく関係するもの全員がこの汚いビジネスに手を染めていたからです。」

シエラレオネ政府、西側諸国、ダイヤモンド会社、国連機関、平和維持軍、、、、彼らは罪を問われず、なぜか反政府勢力だけが罪を犯したかのように恩赦を受けることで丸く収まったかに見えるのだが、ここに事実を曲げようとする裏の意図がある。

この映画は、少しだけ反政府側の視点に立って描かれすぎている感は否めないものの、反政府勢力の残虐行為があったことも理解した上で見ると、とても客観的に見ることができ、告発映画ともいうべき価値のあるものだと思う。


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by iihanashi-africa | 2017-12-28 23:19 | シエラレオネ | Trackback | Comments(2)