もう一冊、ついさっき読み終えた本について、どうしても書き記しておきたくなった。
たまたまアフリカの鉱山の話をしていた際、この分野にかつて携わっていた方から紹介された一冊である。その場で図書館の検索サイトを開き、貸出可能だったので、すぐに予約した。 『太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密』 三浦英之(著) 集英社文庫 2025年7月(単行本は2022年10月、集英社より刊行) ![]() これは読んでもらった方がよいので、内容の詳細には立ち入らないことにする。ただ大枠だけ触れておくと、1970年代から80年代に、アフリカのコンゴ民主共和国で鉱山事業を展開していた「日本鉱業」のもとで働いていた日本人男性のなかに、現地の女性との間に子どもをもうけた方々が多くいた。父親はやがて帰国し、子どもたちは母親と残され、「日本人残留児」となった。 この事実を、SNSのダイレクトメッセージをきっかけに知ることになる、朝日新聞ヨハネスブルク支所の記者だった著者が、6年にわたる深く長い取材の末にまとめられたのが、このルポルタージュである。 冒頭、衝撃的な文章から始まる。 胸がざわつく。 およそ真実と呼べる結論にたどり着くまで、膨大な時間を費やし、現地を歩き、何十人もの関係者に話を聞き、断片的な事実を丹念に積み上げていく。その取材力にはただただ敬服する。 著者が取材を開始したのは2016年。ちょうど私自身はブルキナファソから帰任し、2017年からのセネガル赴任に向けて、日本のオフィスからアフリカ関連の案件に携わっている頃だった。本を読みながら、南スーダンの内戦、ケニアで開催されたTICAD VIなど、自分の中に残る当時の記憶が呼び起されていくため、とても近い世界の話のような感じがする。なのに、私もまったく知らなかったことにショックを受ける。 出来事の舞台は舞台は、カタンガ州である。 西アフリカがすっぽり収まるほどの広大な面積のコンゴ民主共和国で、西部に位置する首都キンシャサから2000km以上離れた南東部のカタンガ州が出来事の舞台である。以前、カタンガ州の政治家モイーズ・カトゥンビという人の映画を見た際、この地域について少し調べたことがあったため、行ったことはないが、全く知らない土地でもなかった。
Cine Droit Libre4: コンゴのMoïse Katumbiという人の映画 取材が進むにつれ、明らかになっていく事実は、フィリピンを初めとするアジア諸国でもよく聞く残留孤児の問題とは、背景も状況も同じでないことが見えてくる。その違いに少し救いを感じるのだが、それでもアフリカの子どもたちが置かれてきた状況を想像できてしまう私にとっては、読み進めるなかで、怒りが込み上げる場面も少なくなかった。 読まれる方は、是非文庫本を。 文庫版のために書き下ろされたあとがきも、とても良いので。 この本は、第22回新潮ドキュメント賞と第10回山本美香記念国際ジャーナリスト賞をW受賞している。 にほんブログ村 ![]() アフリカランキング
by iihanashi-africa
| 2026-03-10 00:19
| コンゴ民
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