面白い本を読み終えた。
実はゴールデンウイークに台湾旅行を計画しており、最近すっかり台湾モードになっている。久しぶりに会った友人も、たまたま1週間前に台湾旅行から帰ってきたばかりだった。しかも、私たちが訪れてみたいと思っていた台湾東部にも足を延ばしていたという。ホテルや旅程を詳しく聞き、ますます気分が高まっている。 その友人と食事をしていたレストランでのこと。隣の席に、友人の知り合いだという、昨年定年退職されたご夫婦がやってきた。聞けば、その方々も台湾には幾度となく旅行しているという。花蓮までの行き方や、東部の地震後の復旧状況など、いろいろと教えてもらった。その話の流れで、台湾人作家の小説の話になり、ご夫婦の奥様から2冊の本を教えていただいた。そのうちの一冊がこれ。 『台北裁判』 唐 福睿 (著) よしだ かおり (訳) 2024年12月4日 ![]() まず何より、翻訳が素晴らしい。 図書館で借りる前に数ページを流し読みし、「これは読める」と確信して借りた。 650ページもある小説なのだが、全く飽きない。 私が「面白い」とつぶやきながら読んでいると、夫が「どういう話?」と聞いてきた。 私は「台湾の少数民族アミ族のマグロ漁船の船長一家が殺害されて、インドネシア人移民の船員が逮捕され、その裁判が進んでいく話」と説明してみたのだが、自分で言いながら、どうにも面白さが伝わっていない気がする。夫の表情も、いまひとつピンと来ていない。 この本の面白さはストーリーの粗筋では説明できない。 物語は、登場人物の背景や心理の解説をほとんど与えないまま始まる。読者も、何が起きているのか、なぜそうなっているのかをすぐには理解できない。しかし、読み進めるごとに、少しずつ状況や人物の輪郭が浮かび上がってくる。その構成の巧みさが見事なのだが、それを言葉で説明しようとしても、うまく伝えられない。自分の説明力のなさに、ちょっとがっくりくる。 物語の結末も、最後の数十ページまで見えないので、続きを読みたい、という感覚がずっと続く。読後の気分は決して軽くないが、死刑廃止論というテーマを軸にしながら、台湾社会における外国人労働者の問題、原住民差別、外国人介護士など、さまざまな社会的背景も理解できて満足感は高い。 教えてもらったもう1冊は、また時間を見つけて図書館で借りてくることにする。 にほんブログ村 ![]() アフリカランキング
by iihanashi-africa
| 2026-03-04 22:36
| 台湾
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Comments(2)
『台北裁判』、読みました。
圧倒的な権力を持つ者に対して卑屈な態度をとる父親の姿を見て、 「その時、佟寶駒は初めて自分が如何に卑しさを憎んでいたかを思い知った。」 というくだりがありますが、そこでシビレました…。 そこで節目が変わるな、ここが物語の大きなポイントだなと感じました。 そこまでは、 既定路線で進みつつある裁判に対して波風を立てず、 打算的に進めるのも良しとしてきた弁護人である主人公が、 ここから不屈の闘いに身を投じていくことになりました。 自らの先住民であるという出自や、 その境遇から抜け出せず、それゆえに卑屈にならざるを得なかった同胞達、 そしてその卑屈さを憎んでいたがゆえに、 その境遇から抜け出したかったのだ、ということを改めて思い出し、 自身の良心に従うことにした、ということですね。 しかし、その不屈の闘いも権力の壁の分厚さや、 政治家たちの狡猾な立ち回りにはかなわず、結局は、、、といった感じでしたが。 と、やはり、この小説の面白さを言い表すのは難しいですね。 ただ、一つだけ思ったのは、 主要な登場人物達が、作者の物語の中で実際にしっかりと生きて闘いの日々を過ごしていたのだろう、ということでした。 小説の登場人物としてこういうキャラクターを入れようと創作し、 その人物を小説に入れた、というよりは、 生き生きとした物語があって、その場面場面を切り取って書いた、 その物語に出てきた人物の日々を切り取って書いたような、 それくらい圧倒的なリアリティあるように感じられた、ということです。 うーん、やはりうまく表現できてないですし、 このコメントの終わり方も見えてこないです(笑)。。。 何はともあれ、今回の本もとても面白かったです、はい。
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