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玉川太福、新宿末広亭で浪曲師として60年ぶりにトリ
2025年1月下席(21日~30日)、新宿末広亭の夜席で玉川太福が浪曲師として60年ぶりにトリをとるという歴史的な出来事があった。興奮冷めやらぬうちに、ブログに書いておこうと思う。

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太福がこの大役をつとめると知ったのは、神田伯山のYouTubeチャンネル「伯山ティービー」でのことだった。

毎年12月中席(11日~20日)、新宿末広亭では神田伯山がトリを務め、12月14日の忠臣蔵吉良邸討ち入りに合わせて赤穂義士伝をかける。毎回新たな顔ぶれが加わることもあり、楽しみにしている。しかし、前売りチケットが取れた試しはない。そのため、毎年YouTubeチャンネル「伯山ティービー」にて日々アップロードされる楽屋の様子を見ながら末広亭にいる感覚を味わっている。動画はちょうどお昼時に前日の様子がアップされるため、12時頃になると伯山ティービーのページを数分おきに更新し、アップロードを待ち構える。そして、在宅勤務の合間のランチ中に視聴している。

昨年末の12月中席楽日の動画を視聴していた時のこと。玉川太福が自身の浪曲の中で、1月下席のトリを務めることを発表した。動画を見ていた私も、思わず「おお!」と顔がほころぶ。こりゃ、見に行くしかないでしょ。動画を見終えた直後、私はすぐに1月最後の土曜日に「玉川太福寄席」とスケジュールを書き込んだ



以前、このブログ記事(↓)にも書いたが、私が玉川太福を知ったのも神田伯山がきっかけだった。当時、浪曲についてはまったくの素人だった私が、玉川太福の新作浪曲にはまり、あれ、浪曲ってこんなに面白かったの?と感激したのだった。
神田松鯉と玉川太福の『講談浪曲大講演』

それからというもの、太福の独演会に何度も足を運び、玉川奈々福国本はる乃を知り、広沢菊春の復帰直後の舞台にも偶然立ち合った。玉川祐子師匠の100歳記念講演にも立ち会い、ここ数年、素敵な浪曲師たちと出会って、とても充実した時間を過ごしてきたと思う。

その後、恒例の12月中席の伯山の興行で、浪曲師の交互出演枠が設けられ、これまで出演していた玉川太福に加え、奈々福姉さん、菊春さん、はる乃さんも顔付けに入った時は、とても嬉しかった。この3名もその後落語芸術協会に入ることになる。
玉川太福と成金メンバー
『浪曲は蘇る』、浪曲が熱い
100歳の玉川祐子師匠の浪曲
100歳を迎える玉川祐子師匠の本、『100歳で現役! 女性曲師の波瀾万丈人生』
「祝・百寿 玉川祐子の会」と回転木馬


さて、前置きが長くなったが、1月25日(土)に玉川太福の初主任興行に行くことに決めた。興行自体は21日から始まるため、Xで初日の様子を確認すると、寄席が終わる21時頃から、幸せたっぷりな投稿がひっきりなしに流れてくる。亡き師匠・福太郎を語る太福、福太郎の未亡人であり曲師のみね子師匠の涙、そして太福初主任を祝う温かなムード。それらの投稿を読むだけで、幸せになったし、胸がじんと熱くなった。Xは、見すぎると気分を害する投稿にも目が行きがちだが、この日の太福関連のタイムラインは本当に心温まるツイートばかりで気分が上がる。

この方のポストが特によかった。。。まるで初日に自分も居合わせたかのような感覚にさせてくれ、つーーーっと涙がたれ、夫にも「浸るのが早すぎる」とからかわれる。
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24日(金)の夜、翌日に何時頃末広亭に行くべきか考えた。連日2階席まで超満員と聞くと、少なくとも14時には着いていた方がよいのでは。いや、もしかすると13時には行かないと座れないのではないか。色々悩んだ結果、13時半到着を目指すことにした。結果的には13時半だと遅かった。

25日13時半、末広亭でチケットを購入した直後、「1階椅子バラ席、1階桟敷席あります」という看板が掲げられた。残念、椅子席はすでにバラバラでしか空いておらず、一緒に座るには桟敷しかない。こうして、初めて末広亭で桟敷席に座ることになった。足とお尻は痛くなるが、普段とは異なる角度からだと新鮮。16時頃には2階席が開放され、その後あっという間に2階席も埋まり、17時前に立ち見がでるほどの盛況ぶり。ついには17時過ぎ、末広亭のXで「本日夜の部、札止めとなりました」と投稿が上がった。

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そこからは、高座に上がる芸人の皆さん全員が札止めを祝い、太福をいじり、愛情たっぷりの言葉をかける。そして皆から慕われる太福の人柄の良さが伝わってきて、時折目頭が熱くなった。

この日、特に印象的だったのは玉川奈々福姉さんだった。「太福さんのお姉さんです」と笑顔で登場し、終始満面の笑み。仲入りには弟弟子のために大声で太福の本を売り、心底喜びを感じているのが分かった。太福がよく「奈々福姉さんがずっと自分を使ってくれた」と話すが、愛情深い人柄が笑顔に表れていた。こういう愛にやられる。そのうち、奈々福姉さんと阿久鯉姉さんが交互主任をつとめる寄席興行とか企画してくれないかな。。

25日の太福の演目は「祐子のセーター」。現在102歳の祐子師匠が得意の編み物で太福の娘にセーターを編むが、毎回寸法をちゃんと測るのに出来上がるといつも小さいという話。普段はショートバージョンが多いが、今回はたっぷりと30分話され、いやー、笑った笑った。話のまくらでは、祐子師匠が入院されていた話も出たが、リハビリが順調に進み、1月に復帰。その復帰口演を、運よく私たちは赤羽で観ることができた。なんか、いろんな「たまたま」が繋がり、節目節目で太福やその周囲の方々の浪曲に触れる機会を得られ、幸せである。

寄席は三本締めで終えたが、末広亭を出てからも気分がよくてフワフワしていたし、その余韻は翌日まで続いた。

最近、仕事の疲れが溜まり、この日も寄席に行かずに仕事をすべきか悩んでいたが、やはり寄席に行ってよかった。また一週間頑張れそうである。

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仕事もあり、この興行は1日しか行けないが、毎日Xで日々の様子を見ながら行った感覚になっている。

玉川太福の新作浪曲をいくつかどうぞ。
「祐子のスマホ」
https://youtu.be/keyq30fRZ8I?si=ZHT5WZoCkgGJg5XS

「地べたの二人 おかず交換」
https://youtu.be/4WttPD569wA?si=Pk-LnfCk1zVGh5cy

「ああ、もう、本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に、良かったぁぁぁ」
https://youtu.be/a4FtVYYb5qw?si=5a2UoTC4oyWJHrPh


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by iihanashi-africa | 2025-01-28 00:09 | 日本 | Trackback | Comments(0)
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