セネガルの鉄道①:仏語圏西アフリカの鉄道の歴史の原点
セネガルの鉄道②:落花生生産の拡大 セネガルの鉄道③:サンルイ駅とルーガ駅 セネガルの鉄道④:ダーラ駅とリンゲール駅 セネガルの鉄道⑤:ティエス駅 セネガルの鉄道⑥:ダカール駅 1885年にダカールとサンルイを結ぶ鉄道が開通してから約40年後の1924年、ダカールとマリの首都バマコを結ぶ鉄道が開通した。東西に全長1287kmの路線で、33の駅が置かれている。最盛期には、この区間だけで1200人の鉄道従業員がいたと言われている。バマコまで行けば、ニジェール川でマリ北部のガオやニジェールの首都ニアメまで行くことができるため、マリだけでなくその先の国々とも繋がる重要な路線であった。マリからはニジェール川でギニア湾までは出ることができたが、マリから一直線に大西洋へ出る交通網はなかったため、この鉄道が動脈となり、マリの経済発展の一助となったと言われている。 ![]() しかし、その後徐々に道路網が整備され、鉄道よりも路線バスの方が早く移動できるようになり、鉄道は徐々に衰退していった。鉄道網が道路網に負けるのはセネガルに限った話ではなく、アフリカ諸国でよくある話。鉄道インフラも道路インフラもメンテナンスコストは相当かかるものの、道路は若干ひびが入っても車は走れるし、穴が開いても避けて通ればいい。しかし線路や列車がメンテされずに脱線などしたら、数日間身動き取れない状況が続く。こうして鉄道の信頼は落ちてゆき、老朽化したインフラを改修資金も捻出できなくなり、衰退を加速した。以前あるテレビ番組で以前は時速70~80kmで運転できていたが、今は時速30kmくらいでしか運転できないと列車の運転手が話していたのを思い出す。近年、ダカール=バマコ間の鉄道は、老朽化したインフラ改修に莫大な予算をつぎ込むよりは、新たな線路を建設した方が費用対効果が高いと考えられており、今の今まで手を付けられていない。2000年以降、政府が何度も立て直そうとしたものの失敗に終わっている。 2019年末に、マリ政府はこの区間を改修する費用として20億円を投資すると発表したのだが、全線の改修にはその6倍の120億円が必要と見積もられており、全く十分な額ではないようだ。新たな線路を設置するとなると、4500億円を要するらしい。あとは投資するだけの経済効果が見込まれるかどうかだが・・・ 2020年のセネガル国土交通省のプロジェクト紹介動画でこんなのもあった。まずは国内の主要都市を繋ぐ鉄道を整備する計画。何度もこういう計画が立てられては実現せずに終わっているが、今度はどうだろうか。 **************** この路線のことを書きながら、ある友人の話を思い出した。15年近く前にバマコからティエスまで列車で移動した日本人女性の話である。 セネガルやマリはイスラム教徒が多く、タバスキというイスラム教犠牲祭は一年で最も盛り上がる祭日の一つである。タバスキでは羊を神に捧げて神聖に捌いて食べるため、祭りの1か月近く前から、販売用に地方から連れてこられた羊の群れに街中あちらこちらですれ違う。そしてダカールは物価が高いこともあり、この時期の羊は非常に高い。早めに購入しておくと割安なのだが、タバスキまで毎日餌をやらなければならず、結局餌代を加算すると割高になることもある。地方に行く機会がある人は、地方で安く購入してダカールへ連れてくる。あるいは、地方にいる親類や友人にバスで送ってもらうこともある。こうしてなんとか安く購入しようと皆工夫するのだ。 タバスキ前の街中の様子。 タバスキの時期、バマコとダカールを結ぶ列車には羊専用車両が追加される。マリではセネガルより安価に羊を購入できるため、購入してわざわざセネガルまで連れてくる乗客が多いのだ。もちろん乗客と一緒に乗せるわけにはいかないので、自分の羊に印をつけて専用車両に入れ、下車するときに引き取る。 15年近く前、上述の日本人の友人が、バマコからダカールの手前のティエスまで羊を連れて電車で移動した。ティエスで羊と共に降り、数日後無事に彼女のセネガル人の友人たちとタバスキを過ごしたそうだが、それからしばらくたったころ、彼女をよく知る別の日本人が、あるセネガル人からこんな話を聞いた。 「バマコからの列車で、羊を連れている日本人がいたぞ」 しばらくその一帯のセネガル人の間で面白い日本人がいると噂になったらしい。この路線に外国人が乗っていること自体も珍しいのに、羊を連れている日本人などいたら、そりゃ目立ったことだろう。後から私も電車に乗った友人本人に話を聞いたのだが、自分の羊が間違えて誰かに連れていかれないか気が気でなく、座席と羊専用車両を何度も行ったり来たりして確認していたらしい。セネガル人の友人に購入していくと約束し、とても楽しみに待っていたはずなので、途中で盗まれたなんてことになったら合わせる顔がないという思いだったらしい。とても真剣に話す友人を見ながら、腹を抱えて笑った記憶がある。 こういう経験をする人はなかなかいないので、未だに忘れられない話である。 次回に続く。
by iihanashi-africa
| 2021-10-03 00:29
| セネガル
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