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日本の当たり前とアフリカの当たり前
先日、北海道に出張した際、アフリカの行政官の皆さんが札幌の農家さんを訪問するというので同行し、生産からビジネスまでをどう展開しているかお話を聞かせてもらったのだが、私の中で興味深いやりとりがあったのでご紹介しよう。

農家さんのプラムの畑に連れて行ってもらった。

農家さん「まずは〇月頃に剪定をし、〇月頃に間引きをします」
アフリカの行政官「なぜそこまでして果実の数を減らすのですか?」
農家さん「そうしないと甘い果実が作れないからです」
アフリカの行政官「でも、わざわざ剪定の後に間引きまでして果実を減らす理由がわからないのですが」
農家さん「木には理想的な果実の量があり、それを超えると甘くならないからです」
アフリカの行政官「・・・・・」
農家さん「・・・・・」

なぜお互いに理解しあえないのか。

日本の農家さんとしては、消費者が甘いプラムを好むのは当たり前で、甘くしないと市場では高値で売れず、ビジネスとして成り立たないという思いがある中での「甘くするため」とうい返答だったのだが、アフリカでは、消費者は甘いものを好むかもしれないが、やはり未だに甘さよりも安さを好む消費者が大半で、手をかけて甘くしたところで高値で売れない、あるいは、糖度によって値段の違いが出ず、手間をかける意味がない、という状況がある。そもそもの背景・環境の違いがあることが、この会話を生み出した。おそらくアフリカの行政官にとっては、どんな質であれ、腐って売れないものでない限りは、沢山収穫できた方が儲かるはずという考えがあったと思う。これは一般的なアフリカのコンテクストでは正しい。

このように市場のニーズが大きく異なるとき、日本の先進的な技術を学んでも自国に戻ってから役に立たないものとなってしまう可能性が高い。なので、なぜその技術を使うに至ったか、どういういうニーズや背景があったのか、どこからその情報を得たのか、誰のどういう協力があったのか、技術の周辺情報やこれまでの経緯等を学ぶことで、研修員たちも自分たちの国の状況に置き換えて考えることができるようになる。考え方を学べるかどうかで、日本の経験が役に立つかどうかが決まるので、すごく重要な点かも!と思った1日だった。



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by iihanashi-africa | 2019-07-21 15:11 | 日本 | Trackback | Comments(0)
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