旅行先を事前に言わないアフリカの文化
最近映画の記事ばかりで、この後も2つ映画を紹介しようと思っているのだが、その前にプチブレイクで、私の知っているアフリカの国々でよく聞く信仰の話をご紹介。

*******************

先日、私が仕事で関係しているセネガルの方が、知らない間に日本へ出張していたことを、その方が日本に到着してから知った。この方とは出張の4日前に面会したのに、その時には何も言っていなかった。むしろ、それではまた来週会いましょうくらいの対応で、その数日後に出張に行っちゃうのだから。。。こういう時、私って出張先を言えないほど信頼関係が築けていなかったかしらとちょっとだけ落ち込んでしまう。今回の出張目的が私との仕事とは関係なかったとはいえ、折角日本に出張するであれば、日本にいる関係者とも会ってもらいたいし、事前に教えてくれればもっと余裕をもってアポを調整できたのに。。。

こういう体験は他の国でもあり、マダガスカルでもプロジェクトを進める上で非常に重要な農業省の方が、3ヶ月の海外研修に行ってしまうことを研修出発の数日に知って、バタバタと引き継ぎをしたことがあった。ブルキナファソでも知らない間に、じゃあまた明日協議しよう!と言って別れた関係者が、翌日から出張に出かけていたことがあった。

これらの前もって旅行先を言わない件について、今日、セネガル人アシスタントに理由を聞いてみたら、他の国でも耳にしたことのある説明をしてくれた。

セネガルでは、旅行先を皆に知られると出発前あるいは目的地に到着するまでの間に不幸が起こると言われている。特に、出発前に何かしらの不幸が起きて出張に行けなくなると信じる方が多い。そのため、旅行することは両親などの本当に近しい人にしか事前に伝えず、兄弟ですら知らないことがある。大抵、目的地に到着してから「Je suis bien arrivé en France.(フランスに無事に着いたよ)」などと周囲に伝える。それは国内旅行でも同じだそうで、とりわけ農村地域の人々はこの言い伝えを信じる傾向がある。

あるセネガル人の友人は、フランス留学の試験が受かり(フランス大使館が開催する試験で上位3名が留学できるコンクールに、友人は3位で試験を通った)、あとはフランスへ入学登録をしに行くだけとなり、誇らしく思った両親が周囲の人々に受かったことを話したそうなのだが、直前になってフランス大使館から3位の友人ではなく4位の方が合格することになったと連絡があったそうだ。全くもって何が起きたか分からずかなり落胆し、やはり両親が早い段階で周囲に話してしまったことが原因なのではないかと思ったという。

この友人は、その後アメリカ留学の奨学金を得たのだが、その時は両親にも口止めし、出発前日まで数人しかしらなかったらしい。

様々な方々が話す内容から推測するに、近しい人ほど旅行の邪魔をするようだ。おそらく嫉妬からくる邪魔で、それを警戒して誰にも話さなくなる。何か不吉なことが起こると、それは誰かが魔術を使って意図的に企てたに違いないと考える。

*******************

この話からもう一つだけ思い出した話がある。

それは、セネガル人女性は妊娠したことも周囲に伝えないということ。セネガルに長く住む日本人の方が話していたのだが、どう見ても臨月で今にも生まれそうなお腹をしていた女性に、「あら、妊娠しているのね、おめでとう!」と伝えたら、「いえ、妊娠なんかしてません」と頑なに否定されたらしい。最近はさすがにお腹が目立ってきたら否定することは少なくなってきたようだが、それでもなるべく気付かれないようにゆったりとした服を着るそうだ。

*******************

やはりいろんな考え方があるもので、こういう中で日本の基準を押し付けたら亀裂を生むだけ。だから、まずは相手を理解し、その上で自分としてはこうしてほしかったと言えればいいのだが、それもなかなか思うようにうまく言えないもので、日々のやり取りを通して暗黙知として身につけていくしかないなあ。


にほんブログ村 海外生活ブログ アフリカ情報へ
にほんブログ村


アフリカランキング


[PR]
by iihanashi-africa | 2018-10-12 04:49 | セネガル | Trackback | Comments(6)
トラックバックURL : https://iihanashik.exblog.jp/tb/29790903
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Commented by Diaw at 2018-10-15 18:44 x
こんにちは!
私も同じような経験を何度もしました!
いつのまにか出産していた同僚、いつのまにか中国に3ヶ月の研修に行っていた同僚。。。等など。
私のフランス語能力が低いから、聞き逃していたのかな~と思っていたのですが、それにしてもよくあるので、私は同僚として認められていなくて、教えてくれなかったのかなと少し悲しく思っていました。
でもこういう理由だったのかと納得しました、ありがとうございました!
Commented by iihanashi-africa at 2018-10-16 04:49
Diawさん!お元気ですか??
やっぱり同じ体験をされてましたか!それもいつの間にか出産していた同僚もいるのですね。私はまだ妊婦の方は実体験がないので、聞いた話でしかなかったですが、実例が二つになって確信に変わりました!
日本人的な感覚だとほんと悲しくなりますよね。言わない理由を分かっていても、もっと前もって言ってくれればよかったのに、、、、と、毎回のように思います。。。どうも自然に同じように理解するのは難しいみたいなので、意図的に自分に言い聞かせてます笑。
Commented by Diaw at 2018-10-16 23:07 x
こんにちは!私は元気ですよ~!
さてさて、私は同僚の妊娠を2人知らず、彼女が復職した時に、「妊娠してたなんて、知らなかったよ」って言ったら、「そうだったっけね」っていう感じの返事が帰ってきました。
中国への研修?旅行の方は、本当に直前に聞きました。
そして、また別の同僚がセネガル国内の研修に出かけたと聞いて、私も自分がやっている分野だったので、「一緒に行きたかった」と言うと、「それは研修じゃなくて、ちょっと訪ねただけ」ってはぐらかされたのです。
でも私は彼女が研修に行ったと、校長から聞いて、「色々勉強してきたみたいだから、聞いてみるといいよ」と言われたのに、ひた隠しにする同僚。。。時々セネガル人のことが全く理解できません!
Commented by おがわ at 2018-10-19 03:21 x
うわああああ
目からウロコが100枚くらい出てきました!
マラウイでもそうなんです、来週会議ねって言ってるのに、日曜日にそっと海外出張に出るカウンターパート。。笑
もちろん、海外出張が上司の一声で突然決まったり取りやめになったりということがあるという事情も多分に影響してますが。専門家のしつこいコミュニケーションもあって、カウンターパートが事前の連絡なしに出張行って困っちゃった、ということはなくなってきました。
しかし同じアフリカとはいえ、地理的や文化的に離れたところにある国で同じような慣習があるのは面白いですね!
Commented by iihanashi-africa at 2018-10-22 07:18
Diawさん、そうそう、知っていることを教えないということも特徴的ですよね。ある方が引き継ぎでしっかり情報共有したら、引き継がれた方が「情報を共有しない方が多い中、知っていることを全て教えてくれてありがとう」とお礼を言っていたのが印象的でした。ひた隠しにするのもよくあるのかも。
Commented by iihanashi-africa at 2018-10-22 07:25
おがわさん!!やっぱりマラウイもそうなのか~。上司の一声で取りやめになるのはほんとありがちだなあ。こういうことがあると余計に言わなくなっちゃうよねえ。。。悪循環。
でもほんと興味深い。
<< ジンという幽精 『Maki’La』というストリ... >>