最近、猛烈に忙しくて、ちょっと無理して働いたら体調を崩し、来週から4日間のワークショップだというのに、声が出なくなってしまった。私は開催者で、講師はセネガルの農業省の方々なのでまだ大丈夫だが、やはり体は正直なもので、意識的に自己制御しないとだめだなあ。
ということで、ブログも10日ぶり。休暇中の8月後半にほぼ毎日更新していたのが嘘のような静けさである。 ****************** さて、前回の記事に書いたCine Droit Libreのプレリュードで上映された映画をご紹介しよう。 『Freedom for the wolf』 監督:Rupert Russell 2017年、ドイツ・アメリカ 89分 https://www.freedomforthewolf.com/ 広辞苑によると、民主主義とは「demos(人民)とkratia(権力)とを結合したもの。すなわち人民が権力を所有し、権力を自ら行使する立場を言う。基本的人権・自由権・平等権あるいは多数決原理・法治主義などがその主たる属性であり、また、その実現が要請される」という意味らしい。 一国の中で、民主主義の第一歩は多数決原理の選挙なのだろう。しかし今、「民主的な」選挙で選ばれたリーダーたちが、自由や民主主義を排除する傾向にある。香港の反政府デモ、チュニジアの「アラブの春」後に選挙で選ばれたリーダーたちのラッパー弾圧、インドにおけるコメディアンの表現の自由、アメリカ人たちに選ばれたトランプ政権、他にも世界各地でこのような状況が発生している。人権、マイノリティ、反政府団体を踏みにじる選ばれたリーダーたち。 映画では、選挙に参加することで民主主義が保障されるわけではなく、フェイク民主主義を生み出すねじ曲げられた選挙であることが描かれている。 映画を見終わると、あれ、民主主義ってなんだっけ?と頭が混乱する。おそらく映画の目的はそこで、本当にあなたがいる社会って民主主義社会ですか?と問いかけ考えさせるのだろう。 映画の中で頻繁に出てくる言葉がある。 「illiberal democracy」という言葉。私は初めて聞いた表現なのだが、日本語では「非自由主義的民主主義」と訳すそうだ。 wiki先生によると、「制度的には民主制だが、実質的には自由が制限されている政治体制」のことだそうだ。「そこでは選挙は実施されるが、市民は自由権の不足によって実際の権力者の活動に関する知識から切り離されており、「開かれた社会」ではなく、実質的には権威主義的政治体制の一つともされる。この状態は、制度上は政治権力を制限しているが、言論の自由や集会の自由、知る権利など市民の政府への自由は無視されており、自由主義の適切な法的な構築された枠組みはほぼ存在せず、法治主義はあっても法の支配がない状況となっている。」 なんか考えてみれば、大小さまざまだがそんな社会沢山ある気がする。野党が当選しないように裏工作されている選挙、政権にのし上がったらマジョリティの声だとかいってマイノリティを排除する政府。映画のタイトルにもあるように、「狼」に完全な自由を与えると社会はどうなるか、それを深く考えさせられる映画だった。 にほんブログ村 アフリカランキング
by iihanashi-africa
| 2018-09-23 05:21
| セネガル
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