セネガルに赴任して1年9カ月。これまでに多くのセネガル料理を食べて写真に収めてきたので、撮りためた料理をアップしようと思う。
セネガル料理は、西アフリカで最も美味しい料理かもしれない。ブルキナファソで働いていた時も、チャドにいた時も、時々セネガル料理屋に行き、日本人の口に合う料理の数々にほっとしていた。日本人だけでなく、西アフリカの方々にとってもセネガル料理は美味しいらしく、ブルキナファソでは、レストランに「セネガル料理」という看板を出すと客が集まると言われており、セネガル料理が一品しかなくても、「La cuisine sénégalaise(セネガル料理)」という看板を出しているレストランもあった。 セネガル料理が美味しいと言われる所以は、調味料が豊富だからだと思われる。海産物の出汁がよく効いており、様々な干し貝や燻製魚が料理に使われる。それに加えて、タマリンドやネテトゥ、ビサップ等々も、独特の深い味に貢献している。 セネガル料理を把握する上で、関連するウォロフ語のワードを知っておくと分かりやすいので、幾つか記載しておこう。 チェブ Thièbou:コメ ジェン Jën :魚 ヤップ Yapp:肉(鶏肉以外の肉) ギナール Ginaar:鶏肉 ************************** セネガルの国民食といえばチェブジェン(コメと魚)。魚入りの炊き込みご飯。欧米の方々に言わせると「セネガルのパエリア」らしい。19世紀にサンルイの料理人Penda Mbayeが創作したといわれる料理。大きな鍋で、野菜と魚をじっくりと煮込み、しっかり味がついて煮えたら、具を取り出し、残った汁でご飯を炊く。具を煮込んでいる間も、鍋の上の方で湯気を使ってコメを蒸すという下準備もするなど結構凝っていて調理に時間がかかる。赤と白があり、赤はトマトソース入り、白はトマトソースなし。ちなみに、チェブジェンやチェブヤップなど炊き込み系の料理は、砕米を使う。これはセネガル料理の大きな特徴。 白いチェブジェンは、個人的に私が最も好きなセネガル料理。基本的に油と塩分たっぷりのセネガル料理の中で、油も塩分も控えめなような気がする。具は、赤いチェブジェンと同じ。上に、ブグジBeugeudiというビサップ(ハイビスカス)の葉の酸味のあるソースやスルSouleというネレの実から作った独特の臭みのある発酵調味料などと一緒に食べるのが一般的。 チェブヤップ:Thiébou yapp 作り方は白いチェブジェンと類似しており、ジェン(魚)がヤップ(肉)に置き換えられた料理。牛や羊の肉が使われる。チェブヤップには基本的にトマトソースは入っておらず、タマネギやニンニク、黒コショウや赤コショウ、パセリなどで味付けがされている。チェブギナール:Thiébou ginaar チェブヤップと作り方はほぼ同じだが、ヤップ(肉)がギナール(鶏肉)に置き換えられた料理。野菜にニンジンが使われることが多いかも? ヤッサプレ(ギナール):Yassa Poulet代表的なセネガル料理を二つ挙げるとしたら、チェブジェンの次に来るのがヤッサではないだろうか。元々はカザマンスの料理だったらしい。タマネギをたっぷりの油で炒めて、鶏肉も加え、レモンやマスタードで味付けした意外とシンプルな料理。でも、これがとても美味しい。私も10年前はヤッサが最も好きだった。ただ、年齢と共に体が油を受け付けなくなり、今は白いチェブジェンが好みになった。 ヤッサポワソン:Yassa Poisson ヤッサプレと同じソースだが、鶏肉ではなく揚げた魚をのせた料理。ヤッサといえば鶏肉が一般的だが、魚も時々見かける。 スープカンジャ:Soupe Kandia オクラソースと白飯。スープカンジャは、多様な干し貝や干し魚をだしとして使う。スーパーでもスープカンジャ用の5~6種類の干し貝セットなるものを売っている。この貝のだしが味に深みを与えており、オクラのねばねばも日本人にとっては馴染みのものだし、ソースの中でこれが一番好きという日本人も多い。オクラソースは様々な国で見かけるが、やはりセネガルのものは味わい深い。 マフェ:Mafé ピーナッツソースと白飯。ピーナッツソースも西アフリカ全域でよく見かける。しかし、セネガルのソースは、スープカンジャ同様、やはり干し貝の下味があるというのが大きな違い。 スルフ:Souloukhou ピーナッツソースと白飯という部分はマフェと同じ。スルフのことをMafe au poissonというくらいほとんど同じような料理。ただし、マフェは肉が入っていることが多く、スルフは基本的に魚が入ってるという点で異なり、またスルフにはオクラが沢山入っているという点でも異なる。 チュウ:Thiou セネガルにいる多くの日本人が、セネガルのハヤシライスと呼ぶ料理。タマネギやニンジンが沢山入っており、トマトも入ってちょっと濃いめの味付け。これに魚や肉が入って、チュウポワソン、チュウヤップと呼ばれる料理になるが、写真はチュウ・ブレット。魚のすり身団子が入っている。 ドモダ:Domoda トマトと小麦粉と酢がベースのソース。酸味が聞いていることが大きな特徴で、セネガルでも男性陣でドモダを嫌いな方は結構いるらしい。野菜や肉、魚などと共に煮込まれる。ブロヘ:Mbrokhe ヤムイモあるいはキャッサバの葉を細かく刻んだものに、ピーナッツペーストとナス、タマネギ等を加えて、煮込んだソース。若干のとろみがあり、美味しい。肉が入っていることが多いかな。![]() セボン:C' bon セネガル料理屋で初めてメニューにセボン(仏語で美味しいという意味)という文字を見た時はかなり衝撃で、どれほど凝ったものかと思ったが、意外とシンプルだった。チェブ・ジュラthiebou diolaとも呼ばれ、その名の通りカザマンス地方に多いジュラ族の料理。白いご飯に魚のグリルと緑のビサップ(ハイビスカス)ソース、そしてチェブジェン白でも書いたスルというネレの実を練ったものが必ずついており、パームオイルがかかっている(写真はかかっていないけど)。時が経つにつれ、白米に貝や乾燥エビが混ぜられるようになり、タマネギソースや細かく刻んだ生野菜ソースなども添えられるようになってきた。 バハル・サルーム:Mbakhalou saloum 肉とピーナッツパウダーとササゲ豆を混ぜ合わせた料理。セネガルは落花生の大生産国ということもあり、ピーナッツを様々な形に加工して利用する料理が多い。 ダヒン:Dakhineピーナッツを潰したペースト状のものに、ネテトゥと呼ばれるネレの実やトマトや肉や燻製魚などを入れて煮込んだソースにご飯を入れてもっちりさせた料理。これを食べると口の水分を全て吸い取られ、水を沢山飲まなければならないことで有名な料理。もともとは、夕食として食べられていたが、現在は昼食としても食べられている。 ラフ・ビサップ:Lakhou Bissap セレール族の伝統料理で、セネガルの中部や西部で食される料理。コメではなく、ミレットのクスクスがベースである。これに、ピーナッツパウダー、肉やドライフィッシュ、白いビサップやタマリンドなどを加えて、ほんの少しだけ酸味がある。見た目はピーナッツがメインで胃もたれしそうな感じだが、ミレットということもあり、見た目ほどは重たすぎない。 チェレ:Thiéré ミレットのクスクス。様々なソースと共に食べるが、写真のソースは、タンバクンダで食べたンブムと呼ばれるモリンガのソース。最後に少しクスクスを残し、牛乳をかけて食べることもある。 チョフ:Thiof セネガル料理でチョフだけ特出しするのもどうかと自分でも思うが、セネガルで最も人気があり美味しいと言われる魚。日本でいうハタらしいが、少々異なる。新鮮なチョフはふんわりしており本当に美味。しかし、なかなか保存がしっかりしていないとパサパサで美味しくない。保存方法ってホントに大事。 <デザート> ガラー:Ngalakhセネガルのキリスト教徒が、イースターのお祝いとして作る食べ物。セネガルのキリスト教徒もイスラム教徒のように断食を行う。イスラム教徒は約27日だが、キリスト教徒は40日。人によって断食の方法は異なるが、私の知り合いは朝8時に食事をし、その後丸々1日断食し、また翌日8時に食事をする。つまり1日1回同じ時間に食事をするという断食。その断食が終わる最後の金曜日にこのガラーを食べる。材料は、ピーナッツペースト、バオバブの実、はちみつ、チョコレート、ミレットのクスクス。かなり甘い。ミレットのクスクスは、既に粒になっているものを蒸して調理する。 ラー:Lakhミレットのクスクスと発酵乳(Lait caillé:ヨーグルトのように半凝固させたもの)を混ぜたもの。通常砂糖で甘みをつけており、朝食やおやつ、祭り事の際に食べる。同じミレットのクスクスでも、前述のガラーとは調理法が異なり、パウダー状のミレットに水を加えながらだまにしていく。 チャクリ:Thiakry <海鮮> 牡蠣 セネガルはマングローブ林で昔から牡蠣がとれていた(サルーム・デルタのマングローブ)。セネガル人は、生で食べることはないが、牡蠣を乾燥させて、様々な料理の味付けとして入れる。外国人向けに生で食べられるレストランもあるが、日本やフランスの牡蠣に比べ、身は小さくクリーミーさはない。でも、しっかりと牡蠣の味は楽しめる。貝類 貝類の豊富さは本当に驚く。こんなにも貝を消費するアフリカの国って他にあるだろうか。セネガル料理では、牡蠣同様、乾燥させて料理の下味として使う。とりわけ、イェットYetと呼ばれる大きな巻貝は有名で、結構高価である。貝の味をそのまま楽しむ料理はない。ただ、貝を蒸して出してくれるレストランでは、様々な貝を楽しめる。これまでの私のヒットは、蒸したムール貝。パリで食べたものより美味しかった。ウニ セネガル人は、私が知る限りウニを食べないのだが、海にはウニが山ほど転がっている。やはりふっくらとした濃厚なウニではなく、さっぱりあっさりウニだが、時々食べたくなる。上述の料理を見ると分かる通り、セネガル料理はコメを基本とする。しかしこれらのほとんどの料理は、昼食にしか食べられない。夜はミレット(稗)やフォニオのクスクスや練って餅のようにしたものを食べる家が多い。ただ、最近の子どもたちはコメが好きらしく、夜もコメを食べたがるため、親と子で食事が異なることもあるらしい。ちなみに、朝食はフランスパンとコーヒーが一般的。 また、追々情報を追加していこうと思う。 にほんブログ村 ![]() アフリカランキング
by iihanashi-africa
| 2018-08-30 23:31
| セネガル
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Comments(5)
いつもきれいで丁寧な記事を
ありがとうございます。 よかったらフォニオについて 詳しく教えて下さい。 見た目は日本の雑草のメヒシバに 似ているそうですが・・・
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コメントありがとうございます!!
フォニオですか。ブルキナ料理一覧の記事に調理されたフォニオの写真は載せましたが、植物の写真がないのですよね。フォニオはヨーロッパでは健康食品の一つとして注目されていて、私もあの「ザ・雑穀」の味が玄米みたいで好きなのですが、フォニオは脱穀が大変で女性たちは作業の大変さから余り好まないと聞きます。あと、やはりフォニオはメヒシバのように雑草の一つなので、ミレットやソルガムみたいに大きな畑で栽培する人を見たことがなく。。。機会があれば、是非写真に収めておこうと思います!!
脱穀が大変なのですか!
文化人類学者の川田順三氏の本や 宗教学者の嶋田義仁氏の本を よく読みますが、こういった人達の 所ではフォニオは栽培されていないようです。 植物学者の故・中尾佐助氏の本には少し 載っていました。 播種から収穫まで時間がかからないそうですが どうしてこんな植物を今でも栽培しているのか 知りたいです。 フォニオ栽培が盛んな所では、トウモロコシは 栽培できない(雨量が少ないとか・・・)ので しょうか??? 私はフォニオは食べたことはありません。
脱穀というと少し語弊が出てくるかもしれないのですが、むしろ籾殻をはずす作業ですね。粒が小さすぎてかなり大変らしいです。
フォニオについては、あまり詳しくないのですが、わざわざ栽培するというより、雑草の一つとしてそこらに生えているものを収穫することもあるというものかと。。。ネットで探すとフォニオの畑の写真も出てくることは出てくるのですが、私は全く見たことがないのですよ。女性組合が作っているのを聞いたことはありますが、自家消費のためというよりは、女性たちの収入向上活動の一環だったと記憶しています。おそらくトウモロコシの代わりにフォニオを育てるということはないかと思います(たぶん・・・)。
ありがとうございました。
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