二つの映画『タクシー運転手』と『ペパーミント・キャンディー』
アフリカとは関係ないのだが、昨日2本の韓国映画を見てきた。

『タクシー運転手~約束は海を越えて~』『ペパーミント・キャンディー』

早稲田松竹で、「1980年5月、映画が描くふたつの光州事件」と題して、この2本を今週一週間上映している。

『タクシー運転手~約束は海を越えて~』
監督:チャン・フン
2017年 韓国
137分

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『ペパーミント・キャンディー』
監督:イ・チャンドン
1999年 韓国・日本
129分

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実は私、この映画で光州事件を知った。
あまり事前情報を集めずに映画を見たので、映画を見ながら光州事件を学ぶことになる。偶然にも『タクシー運転手』を先に見て、『ペパーミント・キャンディー』をその後に見たのがよかった。ペパーミント・キャンディーを先に見ていたら、この映画の意味が深く理解できなかったからもしれない。

1979年末、当時の朴正煕元大統領が暗殺され、軍事クーデターが発生。その後「ソウルの春」と呼ばれる民主化ムードが続いていた。1980年5月には全国に戒厳令を布告し、軍事政権は野党指導者の金泳三や金大中を逮捕・軟禁した。5月中旬にソウルで学生を中心とした大規模なデモが発生。その数日後には、光州で大規模デモが発生する。金大中は、光州市のある韓国南西部の出身で、光州市では人気があったことが事件発生の大きな原因だったらしい。このデモ隊と軍の衝突で、多数の市民が犠牲になったが、当時韓国政府はメディアをコントロールし、暴徒により軍に死傷者が出たとしか報道しておらず、また光州市は四方八方を封鎖されていたため、情報が外に漏れてこなかった。しかし、この状況を報道すべく外国メディアの特派員が決死の覚悟で包囲網をすり抜け、世界に発信した。その一人がドイツ公共放送(ARD)東京在住特派員であったドイツ人記者ユルゲン・ヒンツペーターである。

『タクシー運転手』は、このドイツ人記者とたまたま彼をソウルで乗せたタクシー運転手の話だ。実際に起きた話を元に作られた映画である。当初、記者はソウルから光州まで日帰りで行く予定だったが、光州で発生する出来事に直面し、数日間滞在することになる。その間に、二人の信頼関係が築かれていく。

映画のタイトルである『タクシー運転手』はこのソウルで記者を乗せたタクシー運転手を指すだけでなく、光州のタクシー部隊も意図している。実際にも、200台余りのタクシーが光州事件で戦っている。市民が軍に無残な殺され方をされる中、積極的に怪我人を病院に運んだり、衝突の前線で盾となって抗争したらしい。

この映画は一人で見たのだが、一人で号泣。映画館を出るときは恥ずかしくてうつむき加減でトイレへ直行した。

その少し後に『ペパーミント・キャンディー』を見たのだが、この映画を通して、残虐だった軍側の前線で戦った軍人も、その時たまたま兵役中で何も知らずにたまたま光州事件に関与したのかもしれないと考えるに至った。

『ペパーミント・キャンディー』は、光州事件を直接的に描いた映画ではなく、光州事件にたまたま兵役について人生が変わってしまった主人公の男性の半生を20年にわたって描いたものである。1999年のシーンから始まり、3日前、5年前...と遡っていく。あとからあとからじわじわとその良さを感じる。『タクシー運転手』がストーリーで感動する映画なら、『ペパーミント・キャンディー』は映画構成と人間の内面の変化の描き方に感動する映画である。主人公を演じたソル・ギョングの演技力もすごいが、その他の出演者もリアルな演技をする方々だった。リアリティと深さを映画に求める私にとっては個人的にとても満足感の高い映画だった。


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by iihanashi-africa | 2018-08-24 17:45 | 日本 | Trackback | Comments(2)
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Commented by sgmhmmr at 2018-08-25 09:15 x
軍政下でそのような事件があったのですね。
わたしも知りませんでした。
そもそも、わりと最近まで軍事政権だったということ自体に、改めて驚きというか、意外な感じがしますね。こんなに近い、お隣の国なのに。
(1980年代の事を、わりと最近、と思ってしまう自分も相当、なんというか、その、しっかりとオヂさん化してるな、と呆れちゃいますが…。)
いつか自分も見てみたいと思います。
Commented by iihanashi-africa at 2018-08-25 22:48
sgmhmmrさん、そうなのですよね。おそらくその前も民主主義ではあったもののきっと名実が伴わないものだったのかもですね。是非、まずはタクシー運転手、その後ペパーミントキャンディーを。
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