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パリダカのゴール、ラックローズと外国人労働者
セネガルの観光地の一つに必ず入るのがラックローズLac Rose。ダカールから45kmと近く、半日で十分に楽しめるので、時間のない方にはゴレ島やンゴール島に次いでお勧め。正式名称はレバ湖Lac Retbaだが、「レバ湖に行こう!」と言ってもおそらく誰も分からない。ラックローズがセネガル人も含め皆が分かる共通名称となっている。英語だとピンクレイク。その名の通りピンク色をした湖だ。しかし、なかなかピンクにならないことでも有名である。ラックローズに行った人には、まず「ピンクだった?」と聞くのがお決まり。私は、これまでに3回ラックローズに行っているが、1回目は薄暗いピンク、2回目は濃いオレンジ、3回目はどこにでもある普通の湖の色だった。雨期中はなかなかピンクにならないらしい。ライブビデオみたいなものを設置して、ネットで今日の湖の色を確認できればいいのにと思ったりもする。

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1回目。
薄暗いピンクのラックローズ。
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2回目。
濃いオレンジ色のラックローズ。


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3回目。
全く色のないラックローズ。

3回目の湖が紺色だった日、水が枯れていた湖の端の部分がほんのりピンクだった。
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1970年以前、ラックローズは海と繋がっていたそうだが、その後切り離されて湖となった。そして、ある時突然朝起きたらピンクになっていたらしい。ラックローズは世界で最も塩分濃度の高い湖の一つで、1リットルの水から350gの塩をとれる。体が浮くことで有名な死海でも1リットル275gだそう。ピンク色になる詳しい理由は分からないが、この濃度の高さに起因する。
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ただし、すぐ横を掘ると淡水が湧き出てきて魚も泳げる。
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ピンク色になればとても美しい湖らしいが(私は綺麗なピンクを未だ見たことがないので・・・)、実はラックローズは過酷な労働が行われている場所でもある。

ラックローズは西アフリカでも有数の塩の採取場所である。毎年6万トンの塩が採取され、セネガル国内やアフリカ域内、ヨーロッパにまで流通している。
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ラックローズの塩は粒の大きさにより3種類に分けられる。大粒中粒の塩はそのまま販売され、小粒は食用としてヨード加工されて販売される。大粒の塩は昔からの慣習で、妊婦さんや年配の女性が長時間の車移動で足がむくんだ時にお湯に溶かして足を浸けると、むくみがとれると言われているそうだ。ラックローズの泥もまた美容のためのマスクとして使われるらしい。
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今、ラックローズで作業する人々の大半は、ギニアやマリ、ギニアビサウからの外国人労働者だ。かつてはセネガル人がほとんどだったが、2000年頃から外国人が増え始め、身体的にも過酷な労働をセネガル人は放棄し始めて、現在はほぼ全員が外国人労働者という環境にある。ただ、労働は過酷だが稼ぎはよく、一か月で30万セーファー(約6万円)稼ぐ人もいる。セネガルの平均収入と比べたら高い。
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湖に入る前に、男性たちはシアバターを全身に塗り、長い靴下とぴったりとしたズボンを身につける。肌を守るために念には念を入れる。皮膚病だけでなく、脱水や肺の病気を引き起こすこともある。塩の採取作業そのものが過酷なのではなく、塩水の熱さと肌の炎症に耐えることなのである。ラックローズ運営委員会は、週に3日を超える作業を禁止しており、女性が湖の中に入ることも禁止されているが、厳守されていない。むしろ、外国人労働者ということで労働者の保護を後回しにされているのが実態である。彼らもよりよい環境の働き口をいつも探しており、労働者のほとんどは2、3年仕事をして程度貯蓄できたら自分の国に戻って新たなビジネスを始めたりするそうだ。
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こういう話を知ると、ラックローズの観光が少し複雑な気持ちになる。

この記事を一部参照。
http://www.jeuneafrique.com/mag/340296/societe/senegal-lac-rose-forcats-sel/

ラックローズの塩は湖から運び出したものばかりのものはピンク色をしている(写真の右側の山)。しかし数日たつと左のように色がなくなってくる。
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一方で、ラックローズはパリ・ダカールラリーの終点地としても有名だ。パリダカ世代にとっては、ラックローズがピンク色でないと分かっていてもパリダカの聖地に行ってみたいと思うらしい。パリダカは、1978年に始まってから毎年コースが変わり、アルジェリア、チュニジア、リビア、モロッコ、マリなどを通るルートなど様々だったが、ほぼ全てのレースの終点はダカールだった。2007年頃からサヘル地域の治安が不安定になり、ダカールラリーという名前は残したまま南米開催に変更になったが、ラックローズの海岸沿いでは今も時々様々なラリーが行われているようだ。ラックローズでは、パリダカのコースだった海岸沿いの砂丘をピックアップやバギーで走ることができる。砂丘をバギーで走るのは、スリルもあって結構楽しい。
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パリダカが始まって50年の年に、創設者のティリー・サビン氏Thierry Sabineを讃えて設置された記念碑。
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1993年のパリダカのハイライト。



様々な顔を持つラックローズ。いろんな知識を持っていくと更に興味深く楽しめるかも。


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by iihanashi-africa | 2018-07-15 08:16 | セネガル | Trackback | Comments(0)
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