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祖母の生涯
祖母が静かに息をひきとったと連絡がありました。

1ヶ月くらい前から入院しており、数日前に会話が難しくなったと連絡が入っていたので、もう長くはないかもしれないと覚悟はしていたのですが、やはり息をひきとったと聞くと、胸が熱くなります。

何が悲しいって、こういう時にすぐに帰れる国で働いていないこと。入院していた時も会いに行けないし、葬儀にも出席できない。悲しいというよりも悔しいという思いで涙が出てきます。


祖母は98歳でした。

1か月前に入院するまで、週3回デイサービスに通っていました。昔から足腰は強く、シルバーカーを押しながらゆっくりと転ばないように気を付けながら自分の足で歩いていました。最後の最後まで寝たきりにならず、そしてしっかり会話をもでき、私と同じくらいの食事の量をしっかりととり、本当に元気な祖母でした。

さっきから過去に遡って祖母の写真を眺めているのですが、とても印象的な写真がありました。2014年の写真で、祖母は当時94歳。算数や漢字の問題を解いていました。デイサービスのアクティビティらしいのですが、祖母はそれにはまり、私が夏に帰省した時も冬に帰省したときも熱中していました。祖母のすごいところは、ボケないように、歩けなくならないように、自ら自分に課題を課すところ。こういう演習問題もそうですが、毎日1回必ずシルバーカーを押しながら駐車場を何周するとか、はあはあ言いながらも実行していました。尊敬に値する意志の強さでした。
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祖母が93歳の時、昔の話を詳細に聞き、簡単な自叙伝をブログにアップしました。ほぼ全て祖母の言葉をそのまま使って書いたのですが、今読み返すと93歳がここまで語れるってすごいなあと改めて感動です。
祖母の自叙伝1:誕生~蚕業学校
祖母の自叙伝2:教員時代~青年学校時代
祖母の自叙伝3:満州~父誕生


祖母は、料理が上手な人でした。
祖母のきゅうちゃん漬けは、一人暮らしの時にいつも持って帰っており、レシピを母が書いてくれていたので、それを見ながら2、3回作ったのですが、祖母のような味にはならず、まだまだ今後も修行が必要です。

祖母は、慎重な人でした。
私が東京へ戻る時、必ず「忘れ物はない?」と聞いてくれました。車に乗るときは、ほんの1kmの距離の運転でも、必ず「大丈夫?気を付けてね」と、やめた方がいいよくらいの勢いで言ってくれました。慎重すぎて若い頃は鬱陶しく思ってしまうこともあったのですが、最近はそれが愛情だと思えるようになっていました。


家族に長生きという希望を残してくれた祖母。
小さい頃からこれまで本当にありがとう。
祖母の魂はセネガルまで会いに来てくれるかな。



by iihanashi-africa | 2018-06-17 10:20 | 日本 | Trackback | Comments(2)
Commented by sgmhmmr at 2018-06-17 23:53 x
。。。
お悔やみ申し上げます。

自叙伝の記事も読ませていただきましたし、干し柿を使ったレシピとか。

なんというか、うまく伝えられるか分からないんですが、
歴史の教科書に名前を残すような偉人ではなくても、誰しもそれぞれにドラマがあって、つらいこともうれしいこともたくさんあって、そうして100年近くも時を過ごすなかで子孫ができて、そのような「ものがたり」が家族の心に引き継がれていくというのは本当に素晴らしいことだと思います。

誰しもが少なからずそういうドラマを引き継いでいるとは言いつつも、誰しもがうまく、そして美しい「ものがたり」として引き継いでいるとは言えないなかで、心の中だけではなく、こうしてインターネット上にも残ることになって。

これはやはり、一族の立派な「徳」とか「意志」を引き継いできたことを示す「証し」のようなものでもあると、そのように感じました。

きっと、その思いも胸の熱さも悔しさも、きっと、美しい温かな愛情として届いていることでしょう、おばあちゃんに。

ご冥福をお祈り申し上げます。。。
Commented by iihanashi-africa at 2018-06-18 08:42
sgmhmmrさん、心温まるコメントをありがとうございます。一人でいると、時折ふと涙が出てきてしまうので、ワールドカップを見たり、お笑いを見たりして気を紛らわしています。
自叙伝を書いた時に叔父さんに見せたら、知らないことも沢山あったと喜んでくれて、生きた証しを残しておくって本人にとっても家族にとってもいいですね。私にはこのくらいしかできないので。
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