Cine Droit Libre Dakar 4:セネガルにおける薬物依存
Cine Droit Libre Dakar 3 :カメルーン北部のボコハラム対策と位置付けた警察の横行

日本にはダルクDARC(Drug Addiction Rehabilitation Center)という薬物依存症回復施設がある。日本で最初に開設された、民間薬物依存症リハビリテーションセンターである。私の両親は、山梨ダルクを2008年の設立当初から支援しており、その関係で何度かセミナーに参加し、私自身もそのたびに多くを学んできた。依存症に対する考え方がセミナーに参加するたびに変化していったのが自分でも分かるくらいポジティブに影響を受けている。

先日、セネガルにもダルクのような依存症回復施設があることをこのドキュメンタリー映画を通して初めて知った。22分の短いドキュメンタリーだが、セネガルにおける薬物依存の現状をしっかりと表現した興味深い映像である。

『Harm Reduction:The Senegalese Experience』

Osiwa
22分、2016年





2014年12月、CEPIAD(Centre de prise en charge intégrée des addictions de Dakar)
というセンターが首都ダカールのファン病院の中に開設された。西アフリカで初めて設置された薬物依存症回復センターである。

日本同様、セネガルでも薬物依存は犯罪として刑罰が下る。しかし、欧米諸国ではドラッグコート(薬物専門裁判所)が設けられ、刑務所「犯罪→矯正」ではなく、薬物依存プログラム「病気→治療」にシフトした対応が施される。依存症というのは病気である。薬物依存でもアルコール依存でもクーラー依存でも依存度が高くなればそれは依存症という病なのである。しかし、頭では理解しているつもりでも、残念ながらいまだ日本では精神論が根強い。(一部は山梨ダルクの代表の記事より)

セネガルの話に戻ると、依然として薬物使用は犯罪と捉えられてはいるものの、一方で2014年から、より前向きなイニシアティブもスタートした。CEPIADの開設である。2011年の調査で、ダカールだけで1300人の薬物使用者がいることが分かり、まずは彼らの元へ出向いて信頼関係を構築するところから始めている。CEPIADが開設したからといって、彼らの方から来ることはまずないからである。当初は、自分たちを逮捕しに来たのではと警戒する人が多かったそうだ。地道な活動を続けて、2016年3月現在で、128人の依存症患者を受け入れている

施設では主にダカールに住む薬物依存者が依存症に適した医療・社会サポートや、社会復帰のためのサポートを受けられる。先生が一人ずつ依存症患者の話を聞く。2時間患者さんは自由に話ができ、普通の医者のような診察はない。グループサポートセッションもある。患者さんが自由に話せるミーティングだ。センターの庭には野菜畑や養鶏所もあり、アートセラピーセッションとして絵画やバティック布の作成方法を習うこともできる。セネガルでは仕事に就けない若者が多く、社会復帰のためには職業訓練も並行して行わなければ効果的ではないようだ。

セネガルでは、注射器をみんなで使いまわしたりするため、薬物依存症患者のHIVや肝炎の感染率は平均よりも高いという。センターは薬物を購入することを強制的に止めることはできない。しかし、一緒に話をし、リスクを減らしていく方法を考え、彼ら自身が自分や仲間を守ることができるように導いていくとスタッフは話す。

映画の中で、こういう印象的な言葉があった。

男性患者:「この10年間で初めて家族と食事をとることができたよ」
女性患者:「バティック布の仕事が好きで毎日欠かさず来るようになりました。依存症になる以前よりも働いています」
男性患者の母親:「以前の息子は、私のクローゼットの服を盗んで売っては薬物を買っていました。攻撃的になったり一日中ベッドで寝転がっていることもありました。息子は私から全てを奪い、友達もいなくなってしまいました。当時は、神に、息子が治らないならもう連れて行ってくれとお願いしたほどでした。でもCEPIADに通い始め少しお金を稼げるようになってからは、毎日朝早くでかけ、稼いだお金を家に持って帰ってくるようになったのです」

このテーマも、セネガル国内でもう少し注目されるといいなあ。


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by iihanashi-africa | 2017-10-03 08:12 | セネガル | Trackback | Comments(0)
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