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初代大統領サンゴール博物館
先日、セネガルの初代大統領レオポール・セダール・サンゴール博物館(Musée Léopold Sédar Senghor)へ行ってきた。

あまり知られていないのだが、サンゴール元大統領が大統領の座を退いた翌年の1981年から亡くなるまでの間、セネガルでの家(フランスにも家があるため行き来していた)として使われていた場所が、現在サンゴール博物館となっている。2001年にサンゴール元大統領が逝去されてすぐ、ワッド大統領の時期に政府が家を買い上げたのだが、何もされずに放っておかれ、現在のサール大統領に代わってから博物館に修繕することが決まった。そして、2014年11月30日に除幕式が行われている。

この博物館、ダカールのコルニッシュ・ウエストと呼ばれる海岸沿いの大通りに面したところに位置し、曲がり角には大きな看板も掲げられているのだが、これが意外と気付かない。私も頻繁に通っているところだったのに、博物館を探し出してからやっと目に付くようになった。

初代大統領サンゴール博物館_c0116370_8211374.jpgこれは博物館入口の小さな看板。
月曜から土曜の、10時~12時、15時~17時が開館時間。


初代大統領サンゴール博物館_c0116370_8215271.jpg大人:2000fcfa(約400円)
学生:1000fcfa
子ども:500fcfa。



サンゴール元大統領は、この家を『Les dents de la mer(海の牙)』と呼んでいた。尖峰のような壁がスティーブン・スピルバーグ監督のジョーズの歯を思い浮かべるからだ。映画ジョーズは仏語タイトルで「Les dents de la mer」という。壁はセネガルには珍しく土壁で、マリのトンブクトゥやジェンネの建築様式を模している。裏庭には丸いプールもある。

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庭のバオバブ。


博物館の中は撮影禁止なので写真がないのだが、サンゴール元大統領の執務室、来訪者の待合室、応接室、寝室、居間などが、当時のままの様子で残っている。しかし、何より興味深かったのは、3人の息子の写真とそのストーリーを聞けたこと。そして23歳の若さで亡くなったフィリップの写真が家中に飾られていて、サンゴール夫妻の悲しみが半世紀たった今も伝わってきたことだ。

このサイトに2階のプライベート執務室の写真が掲載されている。
http://www.au-senegal.com/la-maison-de-senghor-est-devenue-musee,10713.html?lang=fr



サンゴール大統領は、1946年にガイアナ出身の女性と結婚し、2人の息子をもうけている。しかし、その後離婚し、1956年にノルマンディー出身のフランス人Colette Hubertと結婚している。この女性と生涯を共にすることになる。Coletteとの間にもフィリップという息子をもうけるが、1981年に交通事故で23歳という若さで亡くなってしまう。そして、その2年後には、一人目の女性との間の次男も35歳の若さで失うという不幸に見舞われた。

博物館になっているこの家は、フィリップも事故で亡くなるまでのわずかな時間を過ごしてあり、彼の寝室も当時のまますべて残されている。

サンゴール元大統領は、1993年以降心臓にペースメーカーをつけており、飛行機に乗ることができなくなった。93年までは、セネガルで3か月、フランスで残りの時間を過ごすというような生活を過ごしていたが、93年以降はパリでしばらく過ごし、その後亡くなるまで奥様の故郷ノルマンディーで過ごされている。現在も奥様はノルマンディーでご健在で、2014年の博物館除幕式に招待されたが、やはり90代で病気がちのため、セネガルに来られるのは諦めたそう。


この博物館は、ガイドがいる。というより、ガイド付きでないと勝手に家の中を見学できない。そのため、私たちも博物館に到着してから、前のグループの見学が終わるまで入口の外で待たされた。しかし、このガイドの説明が素晴らしい。サンゴール大統領の何から何まで知っており、質問しても何の迷いもなくすぐに答えが返ってくる。どんな方なのかと思いきや、もともと憲兵隊で、1973年から大統領の警護をしていた方だった。大統領の海外訪問の際も同行し、合計16か国へ行っている。亡くなったフィリップも小さいころから知っており、亡くなられた際は、奥様からフィリップの大事な形見をもらったそう。サンゴール元大統領がフランスに滞在されているときは、この方が鍵を預かっていた。


初代大統領サンゴール博物館_c0116370_82708.jpg博物館から大通りを渡った海岸沿いに、このような椅子に座った男性の銅像が立っている。これは博物館の修繕を行った建築会社Eiffage社が、詩人Amadou Lamine Sallと彫刻家El Hadji Mboupの協力を得て、2015年に建てたものである。もちろんサンゴール元大統領の銅像。


実は、元大統領が自分の家を眺めているかのように設置されている。
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とても興味深い博物館なので、サンゴール元大統領に関心があり仏語が分かる方は、ぜひ一度訪問を。


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by iihanashi-africa | 2017-06-07 08:29 | セネガル | Trackback | Comments(0)
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