秘書たちの漫才
ニジェールに出張してきた。

11月某日、農業省の高官と面談の予定があり、約束の午前10時に農業省に到着。

秘書室に行くと、恰幅のいい50歳くらいの秘書さんが、もう一人の同僚の女性とおしゃべりしながらゆったりとくつろいでいる。私たちを見て、はて何故この人たちはここにいるのだ?というきょとんとした顔をしている。

「10時に面談があるのですが」

と伝えると、秘書さんが驚いたように

「そんなはずはないわよ」

という。

なんでも今、高官は副大臣と出張中だとのこと。副大臣がまだ出張中なのに、大臣をおいて帰ってくるわけがないと言い張る。

しかし、こちらが昨晩本人に電話して面談のコンファームをした際には出張から戻っており、面談の日の朝に電話した時は、「まだ家にいるがこれからオフィスに向かう」とのことだった。それを秘書に伝えると「私の耳には入っていないのに・・」と、まだ信じられない様子。秘書が高官に電話してみたのだが出てくれないので、「じゃあ、来るかどうか待ってみようじゃない!」とどっちが正しいか競ってみようじゃないという言い方。まだ信じられないらしい。

しばらくして秘書さんが、私たちに同行してくれた方に「私の電話には出ないから、あなたの電話で高官に電話してみてよ」と伝えた。電話が鳴りだしてから秘書さんに渡すと、高官が出たらしく、秘書さんが話し始める。

「ムッシュ、今どこにいるのですか!私の目の前にあなたとアポがあるという方々がいて、あなたが既に出張から戻ってきているというじゃないですか。私は把握していないですよ!」

秘書が高官にこういう感じで話せるなんて微笑ましい。お母さんがいい年になった息子に、まったく心配させて!と愛情たっぷりに叱っている感じがした。

秘書さんは隣にいた同僚に、

「ふう、まったく、何も知らせてくれないよ」

「もうまったくあの人ったら」とダメな旦那のことを話しているかのように愚痴ると、同僚は、

「仕方ないよ。彼はプル族だからね」

とかえして、みんなでその抜群の返しに笑いが起きた。

私は同僚女性のつっぱねた言い方が面白くて笑ったのだが、プル族を出した意味は分かっていなかったので、同行してくれた方に聞いたら、プル族ザルマ族はよく「私たちの奴隷(esclave)」とからかい合う。仲が良いからこうして言い合えるのだ。ブルキナでも民族同士で奴隷という言葉を使ってからかい合っていた。

上の会話は日本語で書くと面白味が全くないのだが、フランス語では漫才のようだった。


いやあ、高官を待っている間も楽しませてもらった。

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by iihanashi-africa | 2016-11-30 22:54 | ニジェール | Trackback | Comments(0)
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