人気ブログランキング | 話題のタグを見る
チュニジアでお天気雨を「Wolf’s Wedding」と呼ぶ
前々回の記事(↓)でチュニジアの天気の話をしたので、もう一つチュニジアの天気について書こう。
チュニジアで雪が降った

チュニジア滞在2週目は、こういう天気予報だった。
チュニジアでお天気雨を「Wolf’s Wedding」と呼ぶ_c0116370_00022532.jpg
ほぼ毎日にわか雨予報
ただ、朝起きると大抵晴れていた。雨予報なので途中から天気が変わるかもしれないし、折り畳み傘をバッグに入れるのだが、結局一度も使わなかった。降ったとしてもお天気雨が多い。ほとんどが傘をさすほどの雨ではないし、一瞬待てばすぐに止む雨である。

ある日、面談先へ車で移動中、晴天の空からパラパラと雨が降ってきた。
すると運転手が、「こういうお天気雨を、チュニジアではWolf’s Weddingと呼ぶのだ」と教えてくれた。昔から伝わる話で、本にもなっているはずということで、探したらAmazonで出てきた。それもkindleで読めそう。45ページなので、英語でもなんとかなるだろう。

チュニジアでお天気雨を「Wolf’s Wedding」と呼ぶ_c0116370_20502124.png
https://www.amazon.co.jp/Wolfs-Wedding-other-folktales-Tunisia-ebook/dp/B01CTH58H6/ref=sr_1_1?crid=1NY5HCT9CBA7X&keywords=the+wolf's+wedding:+&+other+tunisian+folktales&qid=1675933852&sprefix=,aps,469&sr=8-1

購入してみたらWolf’s Weddingの話は最後の数ページの短い民話だった。

Wolf’s Weddingは、タイトルの通り、オオカミの物語である。

物語の冒頭はこう始まる。

This is the story of a wolf. A story that took place at the beginning of life on earth, the days when animals spoke and djinns manifested themselves.
「これはあるオオカミの物語である。地球上に生命が始まり、動物たちが言葉を話し、ジンが姿を現した時代のお話である。」


ん、「ジン」だ!

以前、こういう記事(↓)を書いたのだが、イスラム以前からアラブ人に信じられてきた精霊をジンと呼ぶ。
ジンという幽精

物語に戻ると、オオカミが森を歩いていたら、金属製のものに出くわし、掘り起こすと、突然、空に大きな雲が煙のように立ち上って巨大な生き物が現れたのだそうだ。それが、ジンdjinnの妻のジニアdjinniaだった。ジニアは解放してくれたことに感謝してお礼をしたかったのだが、オオカミは悪霊だと思い怖くて逃げてしまった。

ある日、今度はオオカミの帰り道に古いランプがあり、そこから「おい、オオカミ」と呼ぶ声がする。ランプの中から「ここから助けてくれたら願いを叶えてやる」と声がするのだが、オオカミは怖くて助けずに逃げてしまった。中にいたのは、ジンだった。ジンは妻のジニアを探すために脱走を試みたのだった。

その後、ジンがどのようにしてランプから解放されたのかは分からないが、ジンとジニアが出会って結婚をする。奇しくも同じ日に、オオカミも若く美しいオオカミと結婚する。

オオカミの結婚を聞いたジニアは、感謝の気持ちを表し、空の雲を吹き飛ばして太陽を出させた。一方、オオカミへの恨みが溜まっていたジンは、結婚式を台無しにするために、大雨を降らせてやると言う。妻のジニアが「オオカミは良い方だ」とジンを説得する。話し合いの結果、晴天を保ったまま小雨を降らせることとなり、実行された。それ以来、このようなお天気雨を「オオカミの結婚式Wolf’s Wedding」と呼ばれるようになったのだそうだ。



そもそも、ジンには妻がいたのか、そして男だったのか。
ジンは精霊と訳すが、天使・悪魔よりは一段下の存在で、位階的には人間と同等ということだった。神でなければ結婚していてもおかしくないか。


チュニジアには2週間しかいなかったが、この間に「オオカミの結婚式」が頻繁にあった。



にほんブログ村 海外生活ブログ アフリカ情報へ
にほんブログ村


アフリカランキング

更新を通知する

PVアクセスランキング にほんブログ村



by iihanashi-africa | 2023-02-09 20:53 | チュニジア | Trackback | Comments(2)
Commented by 西アフリカの石川 at 2023-03-06 23:05 x
この話、大変面白いですね。まさに日本で言う狐の嫁入りですね。黒澤明の映画にも出てきます。私は祖父から、「天気雨は狐の嫁入りの知らせだから、山に入るな、居たならすぐに山を下れ」と教わりました。忠告を無視して山で嫁入り行列に行き合うと、八つ裂きにされると。何か気象的に危ない目に遭うことの戒めなのかな、と思っていましたよ。
Commented by iihanashi-africa at 2023-03-09 01:09
そうか!!狐の嫁入りですね。しかも同じwedding。
黒澤明映画の狐の嫁入りのシーンも、検索したらそこだけ切り取られてyoutubeにありました。狐が一斉に振り向く姿は少し怖くて目に焼き付きますね。

狐の嫁入りには、①天気雨、②夜、山で狐火が連なって嫁入り行列の提灯のように見えるもの、と二つの意味があると記載されてあるのですが、石川さんのところでは二つが組み合わさっている感じですね。面白いです。
<< チュニジアのサウジアラビア人運転手 チュニジアのK-POP人気が理... >>