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私に何か御用でしょうか
テンコドゴという町に出張したときに宿泊したホテルの私の部屋に訪問者が。

私をお探しですか?

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by iihanashi-africa | 2013-07-27 01:43 | ブルキナファソ | Trackback | Comments(0)
Cine Droit Libre5: 2008年コメ価格高騰の構造

Cine Droit Libreドキュメンタリー映画祭の最終章。

あまりに興味深い映画が多かったために、5回にも亘って記事を書いてしまった。こういう機会は、アフリカにいるからこそ得られる特権だと思う。

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『Main basse sur le riz(コメを脅かすもの)』

監督:Jean Crépu(フランス)
84分、2011年


2008年にコメの価格が高騰して、アフリカ各国でデモや暴動が起きたことは、まだ記憶に新しい。日本は、コメを輸入に依存していないため、2008年の価格高騰の影響を他国ほど受けなかったが、世界には主食であるにもかかわらず70%を輸入米に頼っている国が沢山ある。とりわけアフリカのコメ消費量は、人口増加も相まって急激に増加しており、国際市場価格の変動が激しいと社会不安につながる可能性もある。そして2008年にこの現象が起きてしまった。

2008年の春、数ヶ月の間にコメの価格が2倍、3倍、ひどいところでは6倍にまで跳ね上がった。私はこの時期ブルキナファソにいたのだが、人々特に女性が、鍋とスプーンを持って「We are hungry」と叫びながら街中をデモ行進していたのを覚えている。

2008年春のブログ記事
静かな「津波」
TBS 『世界最貧国は訴える ~食糧危機の深層~』


では、2008年のコメ価格高騰は何故起きたのか。


このドキュメンタリーは、コメ価格高騰が起きた構造を解明している。当時は、タイやインド等のコメ輸出国の収穫が不況だったからと聞いていたが、そんな単純な仕組みではないことが分かる。実は自国民用には十分なストックがあったにも関わらず輸出制限をかけた最大の輸出国タイ政府の方針、ジュネーブに拠点を置く仲介業者の意図、アフリカ各国の独占輸入業者の思惑、そして今回最大のアクターともいえる最大の輸入国フィリピン政府の動きとベトナムの輸出業者との関係。

映画では、全てのアクターにインタビューを試み、2008年に一体何が起きたのか、なぜこのパニックが起こり、誰が利益を得たのかを明らかにしようとしている。とても興味深く、ストーリー全てを書いてしまいたいほど。

世界のコメの輸出量は片手で数えられるだけの国で9割以上を占める。つまり、ほんの4,5か国が世界のコメ輸入国の人々の生活を支えている。映画の中で、世界銀行の農業エコノミストが話していた。「2008年の春、大輸出国は輸出国としての責任を果たしていなかった」

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このドキュメンタリーは、FIPA映画祭で金賞をとり、また、フランスのTVチャンネルArteでは、2010年の放映ドキュメンタリーの最高視聴率を獲得している。

私自身が、農業分野に関わる仕事をしているということもあるが、このドキュメンタリーは大作だと思う。で、DVDも販売されていることが分かったので、早速購入してしまった。


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by iihanashi-africa | 2013-07-17 15:45 | ブルキナファソ | Trackback | Comments(3)
Cine Droit Libre4: コンゴのMoïse Katumbiという人
Cine Droit Libreで上映される映画は、どれも公開されたばかりのホットな映画ばかり。下に紹介するドキュメンタリーも2013年4月にベルギーで初公開されたものだ。フランスでも公開されたが、コンゴで上映されることはないだろうとされており、これまた物議を醸しているドキュメンタリーである。それを、アフリカのブルキナファソでいち早く上映するということは、とても貴重なことだと思う。

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『L'irrésistible ascension de Moïse Katumbi(太刀打ちできないほど飛躍的に登りつめた男、モイーズ・カトゥンビ)』

監督:Thierry Michel(ベルギー)
58分、2013年


コンゴ民主共和国にMoïse Katumbiモイーズ・カトゥンビという方がいる。

コンゴにいないとこの方を知る機会はないかもしれないが、コンゴの南東部に位置するカタンガ州の州知事で、絶対的人気を誇る。政治家であり、ビジネスマンでもあり、世界第2位にもなったことのあるプロサッカーチームTP Mazembeのオーナーでもある。今、コンゴで最も稼いでいる人である。現在48歳。コンゴ人の母とイタリア系ユダヤ人の父を持つ。もともと父のビジネスを引き継ぎ漁業と運送業で成功し、鉱山や飲食業等、様々なビジネスを展開している。

政治家としてのキャリアは2006年に始まる。国会議員選挙に出馬し、最多得票数で当選した。そして2007年1月に、カタンガ州知事選挙に出馬し、90%の票を獲得して当選した。

カタンガ州は、豊富な地下資源を有しており、特にレアメタルを産出する。そのため、資源をめぐって独立後も大規模な内戦が起こっている。地理的には、首都から最も離れた忘れられた州のようにも見えるが、中央政府にとっては危険をはらんだ重要な州である。

そのカタンガ州の州知事になったカトゥンビ氏は、まず国境の税の徴収を徹底し、鉱山業者の労働者の労働条件の改善を図った。様々なインフラも整備された。恐らく2007年以降、カタンガ州は相当発展したのだと思われる。しかし、インフラ整備についてもどこからお金が出ているのか分からず、徴集された税もどのように利用されているのか不透明な部分が多いようだ。あるジャーナリストは、「彼が行っているのは政治ではない、贈与だ」と批判していた。一歩外に出ると、現金をばらまく。彼の人気の理由の一つはここにある。ただ、話が上手く、周りを魅了する何かがあることも否めない。

次期大統領はカトゥンビ州知事ではないかとの声もある。これだけの人気があったらあり得る話かもしれない。しかし、政治とビジネスをこれだけ混同する人がトップになると、国としては非常に危険な気がする。それでも、今いる大して何もしていない政治家に比べると、ずっとよいと評価する人もいる。


カトゥンビ氏について(Wikipedia仏語)
http://fr.wikipedia.org/wiki/Mo%C3%AFse_Katumbi_Chapwe

映画についての記事(Jeune Afrique):カトゥンビ知事と監督との確執
http://www.jeuneafrique.com/Article/ARTJAWEB20130411083820/


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この日、上映後の討論会に登壇したのは、コンゴ人映画ラスコニ・ニシンブLascony Nysymb氏。彼のコメントで印象に残った部分がある。

「アフリカには真のビジネスマンは存在しないと言っても過言ではない。今成功している会社の経営者は政治に大きく依存している。あるいは、自ら政治を操りビジネス成功を勝ち得ている。そういう会社は、政権が倒れると会社も潰れる。そのような脆い会社を真の会社と言えるだろうか。」

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帰宅後に、Thierry Michel監督について調べたら、1999年に『Mobutu, roi du Zaïre(モブツ、ザイールの王)』というドキュメンタリー映画を撮っていた監督だった。この映画は、私がフランスにいた1999年に映画館で見た映画。当時は、仏語も堪能ではなく全ての内容を把握できなかったので、もう一度見たくなった。


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by iihanashi-africa | 2013-07-12 22:45 | ブルキナファソ | Trackback | Comments(0)
Cine Droit Libre3:セネガルの「Y'en a marre!」運動
『Boy Saloum』

監督:Audrey Gallet(フランス)
72分、2012年


2012年3月、セネガル大統領選でワッド前大統領が敗れ、マッキー・サール大統領が政権を奪取した。選挙前や期間中に反政府デモ隊と憲兵隊との衝突はあったものの、クーデタではなく民主的に政権が交代したことは世界的にも評価され、アフリカの民主国家の代表国の一つというイメージを確かなものとした。

しかし、この政権交代の背景に「Y’en a marre」という運動があったことをご存じだろうか。この運動がなければ、ワッド前大統領は憲法を改正し、そのまま政権に居座り続けたかもしれない。「Y’en a marre」とは、「もううんざりだ」という意味。

この運動をリードしたのがKeur guiクルギというセネガルのラップ音楽グループである。ドキュメンタリー『Boy Saloum』は、Keur guiの歩んできた道と「Y’en a marre」運動中の彼らの動きを追ったものである。

Keur guiは、ThiatKilifeuのデュオ。1996年に二人の出身地であるKaolackカオラックで結成された。結成当初から、不当で不平等な社会への不満と抵抗を歌い、カオラックでの影響力は相当のものだったらしい。このドキュメンタリーは「Y’en a marre」運動が始まる6年も前の2005年に撮影が開始している。Audrey Gallet監督が、彼らの影響力に惹きつけられてKeur guiというミュージシャンを撮影することから始まったのだ。「Y’en a marre」運動を追う目的で撮影が開始されたわけではないのだ。監督が映像に残したくなるほど、彼らは魅力的だったのだと思う。

ダカールに上京してからも、彼らの人気と影響力は増していった。そして、2011年1月、毎日続く停電と権力にしがみつく大統領にうんざりした彼らは、若いジャーナリストFadel Barroと彼らの友人Safiaのサポートもあり、「Y’en a marre」運動を立ち上げた。

彼らは、数ヶ月で全国各地の35万人の若者のネットワークを作り抗議運動を開始。最終的にワッド前大統領退陣まで追い込んだ。

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写真の右端がThiat、右から二人目がKilifeu

映画上映後に、Keurguiの二人が登壇して討論会が行われたが、これまた鳥肌が立つほど彼らに魅了され、特にThiatの論理的で説得力のあるスピーチには、観客全員聞き入ってしまった。問題の根底を理解していて、納得のいく主張が出来る人だった。本当にカリスマ性があった。

彼らだからこそ動かすことのできた運動だったにちがいない。
言い換えれば、他のミュージシャンではこれだけの大きな運動は起こらなかったと思う。

Thiat本人が言うに、マッキー・サール政権で大臣にならないかと打診を受けたらしい。しかし、「自分は大して学校も出ておらず、どうやって大臣を務めるのだ。自分の居場所は音楽なのだから、音楽を通じて主張していく」と断ったそう。「今回は、ワッド前大統領を退陣させるための運動であって、サール大統領を応援していたわけではない。今後は現政権の動きを見ながら、必要を感じたらまた運動を起こす」と話していた。


この日、彼らの話を聞いたブルキナファソの若者は、どう感じたのだろう。

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by iihanashi-africa | 2013-07-02 06:34 | セネガル | Trackback | Comments(0)