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シアバターと女性の自立
7月9日にTBSのNEWS 23の枠内で放送された特集で、マリ共和国のシアバターが取り上げられていました。

シアバターはカリテバターとも呼ばれます。カリテはセネガルのウォロフ語で「油の木」を意味するそう。シアは英語名。私は最初別々のものだと思っていましたが、呼び名の異なる同じものです。シアバターはシアバターの木(カリテの木:左の写真)に実る楕円形の実の種から取れる植物性脂肪。真ん中の写真はフレッシュなシアバターの実で右は種。割ると強い粘りがあります。この木はセネガルからチャドにいたる西アフリカ全体で天然分布しており、これらの地では、昔から食用、石鹸、クリームとして利用されていました。

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近年、大手化粧品メーカーのボディーショップやロレアルなどがこのシアバターの効能に注目し、石鹸やローション、シャンプーやコンディショナー、保温クリームなどに製品化しています。特集の中で、化粧品店の前でインタビューされた女性は、「シアバターはどこから来ているか知っていますか?」という問いかけに「え~。どこだろう。南のほう?」という返答。ううう、確かに日本より南だけど、北半球です。

このシアバター市場に大きな変化が起きています。先進国の需要拡大で価格が2倍近くにまで高騰しているのです。緑のサヘルは、タカバング村で女性グループのカリテバター石鹸作製を支援していましたが、2007年8月頃から材料となるカリテバターの価格高騰で、このままでは採算が合わないということで一時生産を見合わせました。現在も、価格は頭打ちにはなったものの、一向に低下する様子は見せず、女性グループはシアバターの石鹸ではなく、バラニテスの実を使用した石鹸へと変更を余儀なくされました。

しかし、最も注目すべき点は、NEWS 23でも取り上げられていたように、価格高騰ではなく買取方法の変化です。これまで、現地でバターや石鹸、クリームに加工されて輸出されていたものが、最近はカリテの実そのものを買い取り輸出する業者が増えているのです。カリテの実からバターを作るのは大変な作業なため、村の女性たちにとっては実を売ってしまうのが最も楽をしてお金を稼ぐ方法です。しかし、加工品を作っていたら付加価値分も村に落ち、シアバターからの受益者はもっと多くなるはず。このような女性たちは、今、家庭で使用する食用油や石鹸も高騰した値段で買わなければならなくなっています。長期的に見てどちらがいいのか考えなければなりません。

さて、私も今回シアバター製品を購入してきました。知り合いの女性が作製しているシアバター100%の石鹸(左)とシアバターの肌クリーム(右)。そういえば、以前も保温クリームを買ってきました。
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by iihanashi-africa | 2008-07-21 22:04 | ブルキナファソ | Trackback | Comments(8)
Commented by Buckeymam at 2008-07-22 05:11 x
シアバターは有名で私もよく使っていたよ。赤ちゃんに使用しても良いといわれるほど保湿が良くて刺激が少ないんだよね。でもブログ読んでいて本当に納得。結果長い目でみたらどっちが良いのか…。人間ってどうしても目先優先な所があるからきちんと長いスパンで考えて見極めないといけないなと思いました。
Commented by 渡部 良(わたなべ りょう) at 2008-07-22 07:07 x
アフリカは、鉱物やエネルギー資源だけでなく、こうした農産物資源もあることを改めて感じます。
シアバター、勉強になりました。ありがとうございました。
Commented by のんちゃん at 2008-07-22 07:45 x
そうなんだーー。。。またまた、勉強になりました。
わたしも、このごろ、よく、かんがえるのです。資本主義の、行き過ぎを、、もちろん、わたしたち、資本主義社会にすむ、ぜいたkな、消費者も、かんがえなければ、いけませんが、お金のある、そして、ちからをもったひとたちも、ちからのつかいかた、お金のつかいかたを、かんがえて、仕事をしてほしいですわ。
強欲の世界、そして、よわいものいじめの世界になっては、いけないとおもうのです。

写真みれましたーー!!かわいいですねーー!!
Commented by iihanashi-africa at 2008-07-23 00:23
buckeymamさん!お元気ですか?
昨日は、テレビである社会企業家の話をしていましたが、発展途上国から製品を輸入するには品質管理を徹底しないと、日本で販売して返品されてしまうことも多々あるそう。それをもっと質の高いものを作れるところで作製しようと考えるか、時間はかかっても途上国の技術を高めようと考えるか。費用対効果を考えると前者の方がいいのかも。でもそうすると格差は広がっていくような気がします。
Commented by iihanashi-africa at 2008-07-23 00:36
渡部さん、鉱物やエネルギーほどではありませんが、確かに農産物も資源ですね。一部が牛耳って利益を得てしまうような構造にはならないようにしないと。輸出する側と輸入する側の両者にその責任がありますよね。
Commented by iihanashi-africa at 2008-07-23 00:51
のんちゃん、私も考えるところをずらずらと書いているので、自分で書いて勉強しています。
資本主義って国を発展させるもののはずですが、最近先進国を見ていてもどの国でも格差が大きくなっているように見えるのです。
Commented by koremitsu at 2008-07-24 15:30
あめりかではシアバターとかココナッツバターの石鹸やクリームはどの薬屋に行っても置いてあるよ。というか、かなりの割合でクリーム系の製品には入っているんじゃないかな。おれもハーレムに行ったときはいつも買うよ。すごい保湿だしね。でも、商売という意味で考えたら資源をそのまま売ってしまうのは痛いよね。しかも、原油とかと違ってもっと目に見えて限りがあるから。それにしても、こんなものも生活に活かしてしまうんのってすごいよね。人間の必要なものを人工的に造り上げるのとは反対に、自然の中で人間もその一部として共存していくっていう、そんな世界が感じられる物だね。
Commented by iihanashi-africa at 2008-07-26 00:05
シアバターの木は、昔から生活に欠かせない木なので、たとえ開墾したとしても、この木だけは絶対に伐採されません。あとマンゴーの木も。それだけ村人にとって有用だということだね。それにシアバターの木は成長が遅く、植樹しても20年近く経過しないと十分に実を確保できるほどの大きさにならないんだそう。人間の力では年月を短縮することは出来ないから、やっぱり共存ということを考えないとね。
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