私のワガドゥグ市内の唯一の移動手段はタクシーである。日本で買い物にタクシーで出かけるなんて優雅なことは出来ないが、ここは炎天下で歩く以外はタクシーしかない。私は、運転免許は持っているが自家用車がない。バイクはあるが運転の仕方をしらない。ワガドゥグの無秩序・無謀運転を目の当たりにしては、バイク運転を習おうとも思わない。
ワガドゥグの乗り合いタクシーは、色褪せた深緑色である。乗車賃は一人200セーファー(50円)。中心街のGrand Marché(中央マーケット)を起点に、東西南北あらゆる方向に走っており、大抵どこまで行っても200セーファーである。ただし、タクシーが走るのは大通りで、横道に入るときは最初に乗車するときに交渉し、通常は追加料金を支払うことになる。この料金は交渉次第。たまに、自転車に乗っている人がタクシーを止めることがある。トランクに自転車を突っ込むが、もちろんトランクは閉まらない。そのまま走り、目的地に着いたらまたそこから自転車で移動する。 最近、タクシーの中でも状態のよいタクシーを見かけるようになった。しかし、それでもほとんどは今にも崩壊しそうなタクシーである。赤信号で止まるとがたがたと音を立ててエンジンが止まり、そのたびにボンネットを開けてなにやら操作し、再びエンジンをかけるタクシー。ドアが中から開かず、客が窓から手を出して外側からドアを開けるタクシー。フロントガラス全体に蜘蛛巣状のひびが入っているタクシー。後ろのガラスがなく、紙が貼り付けられているタクシー。乗車中、積み木の車のように崩れてしまわないか本気で心配することがある。 タクシーは運転手を除き5人まで乗車可能である。助手席に1人、後部座席に4人座らせるのが主流であるが、体の大きい人も多く、後部4人はかなりきつい。このような場合、4人とも背もたれに寄りかかるのは困難なため、ジグザグに座る。足の置き場に困り、前のめりになって、やけに運転手に近くなったりする。助手席に2人座らせることもある。 私は、タクシーに乗るとき、出来るだけ乗客が少ないタクシーを選ぶ。押し合い圧し合い乗りたくないのと、あとから乗った客は前に乗った客の行き先に付き合わなければならないからである。例えば中心街へ行きたい場合、「中央マーケット!」といって乗るが、この場合の中央マーケットとはマーケットそのものを指しているのではなく、その周囲半径約400メートルの範囲を意味している。マーケットの南側のスーパーに行きたくても、まず西側の銀行に客を降ろし、北側の携帯電話ショップに別の客を降ろし、東側のロータリーにさらに別の客を降ろしてやっとスーパーに行き着く。途中で降りて歩いた方が早く着いたのではないかと思うこともある。だから、約束の時間に目的地に着きたい場合、これらの時間も全て計算に入れなければならない。そして、私は少なく見積もりすぎて遅刻することがある。これがアフリカ時間。 アフリカは全体的に時間を守らない傾向にあるが、時間通りに到着しようと思っても途中で予測不可能な事態に遭遇する頻度が高く、早めに家を出ても遅刻してしまうことがあり、必ずしも本人の努力が足りなかったとは言えないのである。
by iihanashi-africa
| 2008-06-30 07:15
| ブルキナファソ
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Comments(4)
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Buckeymam
at 2008-07-01 04:04
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遅刻しないように早めに家を出ても遅刻するっていうのは何とも複雑な心境になるがこれが「アフリカ」なんだろうね。だって指定した場所から半径400メートルが射程内区域だなんて…。どんだけー!な気持ちになるわ。(ちと、古い?笑)
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iihanashi-africa at 2008-07-01 18:11
昨日は、いつもバイクの同僚がタクシーで事務所に来ましたが、順調に行けば30分で来れるところを1時間かかったそう。普通30分で来れるのに1時間前に家を出ようなんで思わないですよね。
その乗り合いタクシー、チュニジアで一度も乗れなかった。なんか怖くて。
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iihanashi-africa at 2008-07-02 19:07
Garapyさん!私も最初は怖かったですよ。ブルキナファソだけではなく、乗り合いタクシーってスリも多いので。でも慣れますよ。スリはヨーロッパでも多いですしね。ここも善良な人は沢山います。タクシーの運転手さんと世間話するのも結構面白いし、勉強になります。
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