人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブルキナでジャトロファ栽培開始
一週間ぶりの投稿です。

今、日本の某テレビ局がブルキナファソで食糧価格高騰に関して取材をしています。私も、ほんの少しだけ情報収集のお手伝いをしていました。ニュースで報道される価格高騰の暴動だけではなく、背景にある農業生産の低下や砂漠化にまで迫るとても興味深い特集になりそうな気がします。

さて、少し前になりますが、5月27日のL’Observateur(ブルキナファソの新聞社の一つ)に「ブルキナで緑のエネルギー革命」という記事が掲載されていました。

緑のエネルギーとはジャトロファのことです。(ジャトロファについてはこちら

ブルキナでジャトロファ栽培開始_c0116370_321166.jpg
ワガドゥグとボボ・ディウラソを結ぶ国道1号線沿いにあるテュイ県ボニ郡でジャトロファ栽培が始まりました。今後、約2000ヘクタールの土地にジャトロファ(上の写真。これはワイグヤのジャトロファ栽培。)が植栽されるそうです。今年はまず60ヘクタールに100万本のジャトロファが植えられます。そして、近々ジャトロファの実から“緑のガソリン”を精油する工場が建設され、2011年からバイオディーゼルが生産され始めます。

私はまず、2000ヘクタールという文字を見て驚きました。どこにこんな広大な土地があるのだろう。ボニ郡は比較的降雨のある地域です。穀物栽培や野菜栽培に適した土地が広がります。以前、タンザニアでは欧米人がジャトロファ栽培のために穀物畑を買占めているという話を耳にしたことがあります。ブルキナファソでも穀物畑がジャトロファ畑に転換されてしまっているのだろうか。少し不安がよぎりました。

新聞にある農民の話が書いてありました。

  バドゥヌ村に住む農民。彼は数年間貯金したおかげで、自転車を購入できました。
  彼の唯一の移動手段です。だからガソリン1リットルの値段は知りません。まして
  や世界規模で価格が高騰する石油1バレルの値段などなおさらです。しかし、村
  が電気不足のため、エネルギーの重要性は知っています。その彼が、ジャトロフ
  ァ生産者組合に参加しました。

  生産者組合の中には、もともと“白い金”と呼ばれた綿花農家も含まれています。
  綿花は、価格の低下と中間搾取により栽培農家が減少しています。綿花を手放し
  た農家が今度はジャトロファの栽培へと農地を転換しています。彼らは、
  AGRITECH-Fasoという会社から35,000セーファー(8,750円:ブルキナファソ
  の最低賃金)の月給をもらっているそうです。


お隣の国、マリでは、2008年2月から年間75万リットルを精油する工場が稼動しました。75万リットルってどのくらいなんでしょう。少ないような気がしますが。AGRITECH-Fasoの目標は、ガソリンに取って代わるものを作るのではなく、地域の電気や水の汲み上げポンプ、脱穀機などに利用できるようなエネルギーを作ることだそう。

ブルキナファソで、25年間ジャトロファの研究をしている大学教授のインタビューが載っています。
「今後2000ヘクタールにジャトロファを栽培する予定で、1ヘクタールに500本のジャトロファを植えます。1本のジャトロファから約3キロの実が収穫できます。その3キロの実から1リットルの油が抽出できます。」

食糧から作るバイオ燃料は別として、ジャトロファからのバイオ燃料のコンセプトそのものは悪いものではないと思います。ただし、地域の食糧生産を脅かすものになってはなりません。また、綿花農家のように、生産者が儲からないような仕組みになってもなりません。

にほんブログ村 海外生活ブログ アフリカ情報へ  にほんブログ村 環境ブログへ

ブルキナでジャトロファ栽培開始_c0116370_352078.gif
by iihanashi-africa | 2008-06-14 03:10 | ブルキナファソ | Trackback | Comments(0)
<< 片耳と両耳 荒廃地を林に >>