緑のサヘルが関わっているタカバング村には、1998年に前村長が亡くなって以来、村長がいませんでした。この度新たに村長を立てることになり、日曜日に新村長の就任式典が開催され、私も参加してきました。
ワガドゥグからタカバング村までの道のり 今回のタカバング行きは、「出張」ではないため、自費での移動。出来るだけ安い方法をと、レンタルカーではなく公共交通機関を利用することにしました。 首都ワガドゥグと北部州の間は、SOGEBAFとSTRという2社の大型バスが連絡しています。小型バスもありますが、私は比較的乗り心地の良い大型バスを選択。STRは7時発、SOGEBAFは9時半発で、両社とも土曜日はワガドゥグから250キロほどのドリまでしか走っていません。今回は出来るだけ早く到着できるようSTRを使うことにしました。 出発前日にバスの切符を買いに行くと、切符売り場の前で男性たちが長いすに座ってお茶を飲みながら井戸端会議をしています。実はこの男性たち、切符購買の仲介をして生計を立てています。つまり切符代4000fcfa(1000円)のうち、仲介料500fcfa(125円)をバス会社からもらえるのです。彼らを通すにしろ通さないにしろ、私が支払う金額は変わらないので、私はある男性に切符購入を依頼しました。切符には通常乗客の名前が書かれるのですが、もらった切符には「名前:トゥバブ(外国人)」。まあ、私の名前を聞くまでもなく、このバスに乗る外国人は私くらいなのでしょう。 出発当日、朝6時半にバス乗り場に到着。1番乗りで、真ん中辺りの窓側の席を陣取り、次に乗ってきたドリで小学校教員をしているという男性と雑談していると、75人乗りバスにまだ20人ほどしか乗客がいないのにバスのエンジンがかかりました。私の隣はいないし、2席を優に使って寝ていけます。ラッキー。それに、少なくとも1時間は出発が遅れることを覚悟していたので、7時15分に出発したのは嬉しい誤算でした。 しかし、出発してから次の街カヤまではノンストップかと思いきや、バス乗り場を出発してからワガドゥグ市内を出るまで200メートルおきに止まっては乗客を拾います。それも、皆大きな荷物やバイク・自転車を持っていたりするので、積荷にも時間がかかります。1時間をかけてワガドゥグを出るころにはバスも満席になっていました。 その後、私はすぐに眠りにつき、起きた頃にはもう10時。バスの運転も慎重だったので、ぐっすりと眠らせてもらいました。 昼の12時、終点のドリに到着しました。まあ予定通りというところです。ここから、次のゴロムゴロムまで移動手段を見つけなければなりません。中央バス乗り場に行き、ゴロムゴロムに行きたいと話すと、男の子がトヨタの四駆を指差してあれがそうだと教えてくれました。乗り場に行って料金1500fcfa(375円)を支払い、13時に出発するという四駆の前で、コケという名の男の子と話をしながら出発を待ちました。 コケは、ボボ・ディウラソに住むアーティスト。音楽バーでバラフォン(アフリカの木琴)演奏者として働く傍ら、アフリカのお面も彫っているそう。ただアーティストといっても、自分の部屋も借りられず、友人3人とやっと部屋をシェアできるくらいの稼ぎしかありません。ドリは彼の故郷で、3年ぶりに家族に会いに戻ってきているそう。この日は、バス乗り場でワガドゥグから来る人を待っていましたが、何時になってもやってこないので気落ちしていたところでした。そんなコケと話していて感じました。「今日はまた素敵な出会いをした」と。 コケは学校教育を受けたことがないので、読み書きが出来ません。彼の口から出る綺麗なフランス語からは想像もできませんが。彼は英語圏のガーナにも1年間滞在していたので、英語も話します。セネガルにもいたのでウォロフ語も話します。そして語学だけでなく、何よりも彼の様々な海外滞在経験が、学校教育だけでは得られない許容力や忍耐力を引き出しています。コケにはフランス人の彼女がいます。フランスに戻った彼女は、コケにもフランスに来て欲しいと思っているそうです。しかし、コケは最近彼女と価値観が合わないと悩んでいると言います。そしてこう言うのです。「確かにフランスに言ったら、ここにいるよりはお金を稼げるかもしれない。でも、僕はブルキナファソで、今こうして物乞いをする男の子たちの生活が良くなるように彼らの傍で一緒に仕事をしたいんだ。」 こんな話をしている間に、もう午後3時。ゴロムゴロム行きの四駆は出発予定時刻を2時間経過してもまだ出る様子はありません。その内、南方から砂嵐の予兆...もくもくと砂が巻き上がり、あっという間に砂嵐に襲われました。私も持っていた布を頭から被り嵐が通り過ぎるのを待ちます。 午後4時半、やっとゴロムゴロム行きの“ミニバス”が出発しました。四駆ではありません。ミニバスです。結局、乗客が多くなり四駆では乗り切れず、ミニバスを用意し、でもミニバスだと席が余って採算が取れないため、4時間半も乗客を待ち続け、満席になった4時半にやっと出発ということになったようです。 しかし、出発したはいいものの、何故か速度がやたらに遅い。最初はバスの調子が悪く速度を上げられないのかと思っていたのですが、直線の道では速度を上げていたのでアクセルの問題でもなさそうです。でも何かがおかしい。途中で乗りたい人がいても速度を落とすだけで止まらず、ゆっくりと走るバスに乗客は飛び乗ります。また対抗車輌がまだかなり遠いのにギアを落として減速します。小さいバイクにも追い越されます。たまたま運転手の横に座っていた私は、もしやと思いじーっと運転手の足元を見ていると、、、やはり!!!なんとブレーキを使っていません。でも不思議なことに、乗客の誰一人としてその危険な事実に気が付いている人がいないのです。まあそれだけ運転手が安全運転(?)だったということかしら。運転手の「道が悪いから時間がかかる」という言葉を乗客は鵜呑みにしていたようです。ドリ=ゴロムゴロム間の50キロを2時間半かけて走りました。平均時速20キロ。 ゴロムゴロムに到着したのは午後7時。この先マルコイまでは友人ハマドゥのバイクの後ろに乗っての移動。日が暮れていましたが、ほかにも何人かマルコイまでバイクで行く人たちがいたので、一緒に移動しました。ゴロムゴロムからマルコイまでは約40キロ。“洗濯板”と呼ばれる悪路をバイクで走ると、20キロ地点に到着する頃にはお尻が痛くて我慢できなくなります。荷台に縛り付けた荷物も、継続的な振動で次第に右側にずれ落ちそうになります。一旦荷物を縛りなおすために止まり、足腰背中のストレッチをしてさらに20キロを移動しました。 マルコイに到着したのは午後9時。予定ではこの日中にタカバング村に到着する予定でしたが、さすがに夜遅いのでマルコイのハマドゥの家に泊まることにしました。
by iihanashi-africa
| 2008-05-01 10:26
| ブルキナファソ
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