(前の記事の続き)
砂地土壌では畜耕技術は効果的に働きませんでしたが、粘土質土壌では畜耕技術の効果がはっきりと見られました。予想していた効果は、①楽に耕作できるようになること、②水の浸透を促すため、穀物の成長を促進し収穫量が上がることの2点です。 今年畜耕技術を用いて耕作した村人によると、粘土質土壌で耕作するソルガムは畜耕技術を用いたことで作業が速くなり畑の面積を広げることが出来たとのことでした。面積が大きくなった分、収穫量も上がっています。畑を拡大することは土地に負担をかけるのではないかと考えがちですが、この辺りの土地は、ほうっておくよりも、むしろ耕作すること土地を肥沃にし、表面土壌の保水期間が1ヶ月も延びます。今年のソルガムの収穫高には、多くの村人が満足しています。 しかし、私にとって予想外だったことが一つあります。それは「畜耕技術の使用は収量を上げる」という仮定を、農民が実感していなかったこと。ソルガムは、ミレットよりも水を多く必要とするので、通常川の近くで耕作します。つまり、もともと水を多めに含む土壌に栽培するわけです。そのため、畜耕技術は理論的には保水力を高めますが、実際には既に十分な水を得ているソルガムの成長にはそれほど大きな効果を与えるわけではないようです。むしろ、耕作時間を短縮でき、面積を広げられるということに利益を見出していました。もちろん、川から少し離れた畑を耕作する農民は、畜耕の保水力も利点と捉えています。 前の記事にも書きましたが、農民は実験に長けています。そして、経験から学んでいきます。理論が先行してしまう私には目からうろこの知識を、農民は沢山持っています。全ては現場から学ぶ、まさにUniversité de Brousseですね。(下の写真は、畜耕グループのメンバー。将来のUniversité de Brousseの先生たち。)
by iihanashi-africa
| 2008-01-13 21:51
| ブルキナファソ
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