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アイデアのオーナーシップ
タカバング村の砂漠化防止技術移転パイロットプロジェクト(地球人間・環境フォーラムのプロジェクトを委託)では、4つの技術の移転を手助けし、移転された技術が村内でどのように普及されていくかを見守っています。その中の一つに、ザイ農法があります。この農法を用いると、土の表面の栄養分の流出を防ぎ、今まで草一本生えなかったところに、肥沃度が回復して草が生えてくるようになります。(詳しくはこちら。)

アイデアのオーナーシップ_c0116370_2110473.jpgこのザイ農法を、8人の男性グループが試験的に実施しています。彼らは、ザイ農法を始める前に、この農法の先駆者サワドゴさんがいる同じブルキナファソのワイグヤという都市に研修旅行に行きました。そして、サワドゴさんが荒廃地を林にしたサイトを見学して感銘を受け、タカバング村でもザイを取り入れて林を作りたいと意気込んだのです。

今年は、ザイを実施して3年になります。ソルガム(モロコシ)を播種するときに、アカシア・ラジアナという木の種も混ぜて播種するのですが、1年目のアカシアは大変よく成長しました。それも、アグロフォレストリーの方法で列間にソルガムを耕作すると、成長を促進するのがはっきりと見て取れました(下の写真↓。ここは草も生えなかった裸地だった)。しかし、2年目のアカシアはほとんどが枯れてしまい、何故枯れたのかが分からず、グループのメンバーは肩を落としていました。

丁度その時に、プロジェクトの評価ミッションで農業専門の大学教授がサイトを訪れたのです。先生は、グループメンバーに、2年目のアカシアが枯れたことで落ち込むよりも、1年目のアカシアがこれだけ生長しているという自信をもった方がいい、この結果は専門家をも驚かす素晴らしい結果だと励ましました。そして、彼らと会話をしながら、3、4年は継続して列間に耕作すること、1年目のアカシアが生長しているところに、来年またアカシアを播種して年齢の異なる木が生長するようにすること、ザイ農法だけでなく畜耕技術も取り入れてみることなど、様々なアイデアを彼らにインプットしていました。先生は、「今このアイデアを全て実施しなくても、後から彼らが試行錯誤しながらどこかでこのアイデアを思い出して取り入れることで、『自分たちが考え出したもの』という自信が持てるようになる」といいます。これを先生は「アイデアのオーナーシップ」と呼びます。
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            以前はこんな土地でした。(ザイを始めた頃の写真)
                     ↓
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by iihanashi-africa | 2007-12-16 21:10 | ブルキナファソ | Trackback | Comments(0)
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