タカバング村には、緑のサヘルの拠点があります。私のような調整員が出張したときの宿泊所として、1996年に村が土地を提供してくれ、事務所と倉庫、2棟の藁葺き屋根の小屋と2棟の倉庫兼宿泊棟が建設されました。言葉で記述するとたいそうな施設のように聞こえてしまいますが、村人の家よりも造りは単純で、さらに10年来補修工事をしていないため、ネズミの住処と化し、雨漏りはするは、鍵はかからないは、窓の隙間から砂埃が吹き付けるはで相当痛んでいます。
タカバング村に到着するとまず、しばらくの間無人だった事務所の扉を恐る恐る開け、数センチ積もった埃以外は前回来た時と変わりないことを確認し、次に台所と宿泊棟の鍵を開けます。扉を開けた瞬間、ネズミやトカゲやコオロギがそそくさと逃げ回るのはいつものこと。最初の仕事は、椅子や簡易ベッドを外に運び出し、干し草を束にした天然のはたきで、日本では数十年の時を経ないと溜まらないような埃の層を払い落とします。次に、舞い上がる砂埃を吸い込まないよう息を止めながら箒で部屋の中の砂を掃き出し、ベッドを運び込み、蚊帳を設置し、荷物の整理をします。通常村に到着すると、車の音を聞きつけて子供たちが事務所に駆け込み、私たちの代わりに掃除をしてくれたり、荷物を運んでくれたりします。今回も、自分の部屋を掃除していると、15歳という年齢の割に体の小さいナスラが手伝いに来てくれました。 私たちが掃除をする間、運転手は別の子供たちと近くの深井戸に水浴びや洗濯用の水を汲みに行きます。60リットル程度入れられるプラスチック容器5個を満タンにしてきますが、私が持ち上げることもできない容器を、か細い腕の子供たちがよたよたと左右に体を揺らしながら運んでしまいます。この細いからだのどこにそれだけの力が潜んでいるのか、どういう生活をしたらこれだけの力がつくのか、疑問に思う瞬間です。 掃除が終わると、夕食の献立を考えます。タカバング村に滞在中の食事は、以前コートジボアールで生活していたという村の女性に作ってもらいます。米や野菜などの材料はワガドゥグで購入してゆき、毎回食事の数時間前に1回分の材料を鍋に入れて手渡し、食事の時間になると、子供たちが調理されたものを頭にのせて運んできてくれます。首都のそこらでとる食事よりも遥かに美味しい食事が食べられます。 夜は甘いお茶を飲みながら、星空の下で寝るまで語り合います。タカバングに到着した日は、こうして終わります。
by iihanashi-africa
| 2007-12-02 07:08
| ブルキナファソ
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