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『わたしはフェリシテ』という映画
一時帰国の往復の飛行機の中で、何本か映画を見たのだが、この映画が一番面白いと思った。

『わたしは、幸福(フェリシテ)/ Félicité
監督:アラン・ゴミス Alain Gomis
2017年、129分


コンゴ民主共和国の首都キンシャサの歌い手のフェリシテFélicité
シングルマザーとして一人で息子を育てているが、息子はなかなかいうことを聞かない。自分は夜にバーで歌を歌って稼いでいるが、十分な稼ぎがあるとは言えず、なんとかぎりぎりで生計を立てている。とても素敵な声で、気持ちよく歌っているときもあれば、楽しさを忘れて稼ぐために歌っているという表情をすることもある。

ある日、息子が交通事故に遭い、片足の膝から下を失った。治療費を前払いしないと手術ができないと医師に言われ、治療費集めに奔走する。言うことを聞かない息子でも、治療費を集めるため恥を捨てて奔走する姿と、息子を思う母親の熱い思いが伝わってきてじんとする。

退院して家に戻った息子は食事もせず、一言も話もせずふさぎ込むが、フェリシテの新しい彼の陽気な振る舞いを通して、少しずつ心を開きだす。その心情の変化がとても巧みに描かれており、役者の技量の高さもあるのだろうが、自然体の表情がとてもいい

この映画、主人公はとても辛い状況なのに、最後はなぜかほっこりする。自然と笑みがこぼれてしまう。

監督のアラン・ゴミスAlian Gomisは、セネガル人とフランス人のハーフ。既にいくつも賞をとっており、アフリカ映画好きで知らない人はいないだろうとも思われる監督。この映画も、FESPACO(ワガドゥグパンアフリカ映画祭)のグランプリや、ベルリン映画祭の銀熊賞をとっており、私が言うのもとってもおこがましいのだが、でも映画としての完成度もとても高い気がする。



by iihanashi-africa | 2018-01-21 02:26 | セネガル | Trackback | Comments(0)
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