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アフリカンルネッサンスモニュメント
2010年、私はマダガスカルにいた。定期購読していたJeune Afriqueというアフリカ情報誌の表紙が、この年の4月3日にセネガルで除幕されたモニュメントだった。まさかこんな大きなモニュメントがセネガルにできるとは想像もしなかったため、最初は合成写真かと思ったほどだった。

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高さ52メートルの銅像。高さはニューヨークの自由の女神の1.5倍あるらしい。上半身裸の男性が左手に子どもを抱え、右手で女性を支え、子どもが指さす方向に向かって今にも飛び立とうとする雰囲気を醸し出している。奴隷や植民地という暗闇から這い上がって光の方向に向かって進むアフリカをイメージして建設されたそうだ。子どもが指している方向は北西。まさにニューヨークの自由の女神がある方向である。

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モニュメントは当初、ルーマニア人彫刻家のVirgil Magherusan氏により構想され、その後、セネガル人建築家Pierre Goudiaby Atepa氏が引き継いた。とても社会主義を連想させるモニュメントだが、それもそのはず、北朝鮮政府のプロパガンダ銅像を建設しているMansudae Overseas Projects(万寿台創作社)が手掛けたものなのだ。

Mansudae社は、1959年にピョンヤンに設立された社員4千人の会社。北朝鮮の様々な銅像を建設してきた。金正恩や金正日の巨大な銅像を手掛けたのもMansudae社である。なぜ北朝鮮の建設会社がセネガルの銅像を建設するに至ったのか?理由はいたってシンプルで、低コストだったからである。すでにアフリカの18か国で似たような銅像を建設している。
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出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Mansudae-Monument-Bow-2014.jpg

モニュメント建設は2006年に、当時の大統領Abdoulaye Wadeが始めた。そして2010年、セネガル独立50周年の年に除幕式が行われた。アフリカ19か国の大統領が出席する盛大な除幕式だった。建設費の合計は2700万USドル。すべて現金で支払われたそうだ。

完成後、ワッド大統領はモニュメントの観光収入の3分の1を知的財産権として自分が受け取ることを主張し、多くの国民から反発を受けた。その後、憲法改正、汚職、選挙での不正など、様々な疑惑がかけられ、2012年の大統領選挙でも敗退した。

建設時に様々な議論があり、国民の納得のもとに建てられたモニュメントではないが、今となっては観光地の一つになっている。

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モニュメントの入口。
入口を入るとまず奴隷解放や人種差別で戦った世界の英雄たちの展示がある。フランス語と英語でガイドがつく。

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2階にはセネガルの様々な民族の特徴を表すオブジェがある。作者もセネガルでは有名らしいが、名前を忘れてしまった。。

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そして3階には、会議室がある。
この建物の中に入って一番驚いたのが、この会議室。建設当時は実際にここで会議をすることもあったらしい。

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そして、エレベーターで15階へ向かう。

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到着するのは男性の頭の部分。男性の頭にハチマキを巻いたように一周しているのが展望台の窓。

展望台からはダカール市内が見渡せる。
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で、ふと見下ろすと女性の顔が。
上から見る女性の顔って斬新。ちゃんと頭の上に避雷針もついている。
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このモニュメント、エレベーターの他に階段もあるそうだが、普段はこうして閉められている。

夜も綺麗にライトアップされる。





by iihanashi-africa | 2017-10-19 05:46 | セネガル | Trackback | Comments(0)
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