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セネガルの憲法改正の争点
今、セネガルに滞在中。

街のあちらこちらに「OUI(YES)」というポスターを見かける。
3月20日に憲法改正の国民投票が行われるらしい。これらのポスターは「YESに投票を」という与党のキャンペーン。

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私が出張中に面会するはずだった行政の方々の中にも、地方の市長を兼任している人がおり、20日までは選挙キャンペーンで首都にいないらしく、面会できないかもしれない。それにしても、省庁の局長ポストと市長ポストをどうやったら兼任できるのだろうか。

さて、今回の憲法改正では、15の条項の変更を提案している。

主な議論になっているのが、大統領の任期を7年から5年に短縮するという提案。実は、セネガルでは、2000年にワッドWade氏が大統領に選出された翌年に、大統領の任期を7年から5年に短縮し、上院を廃止するという憲法改正の国民投票を実施しており、大多数の支持を得て改正されている。しかし、2007年にワッド大統領が2期目に再選してすぐに荒っぽい決断が散見されるようになり、一旦廃止されたはずの上院が2007年に復活し、65名の上院議員を自分で任命し、2008年には自分が提案した7年から5年への大統領任期短縮を、国民投票もせずにまた7年に戻すという強引な決定をしていた。

セネガルの現大統領マッキー・サルMacky Sall氏は、2012年にワッド大統領を破って第4代大統領に選出されたが、その際の公約の一つが、より民主的な国家実現のために自分の大統領任期を再度7年から5年に短縮することであった。そして、今、公約実行に至っている。ちなみに、サル大統領は大統領就任後すぐに、上院を廃止している。

こうして記述すると賞賛に値する決断のようにも見えるが、なぜ野党はここまで反対しているのかがとても疑問だった。

そして出張に同行してくれているセネガル人に聞いてやっとその理由が理解できた。

野党も大統領任期短縮を反対しているわけではないらしい。
争点は、この任期短縮の決定がいつから効力を発するかという点

2012年の大統領選当初から、サル大統領は「自分の任期を短縮する」という発言をしていた。つい一か月前までそのような発言を続けていた。しかし、先月2月16日に、憲法評議会が現行の任期には適応されないという判断を下したとして、現在の自分の任期は7年のままで2019年まで続くと発表したのだ。憲法によると、憲法評議会の決定は大統領権限で変えられないことになっており(一部の憲法専門家は異論を唱えているが)、今回の判断は仕方ないというのだが、野党や国民は騙された感があるのだろう。野党は、公約を守るのであれば、5年が経過時点で一旦辞任し、再度選挙に出馬するべきと主張している。

憲法改正案をよくよく見てみると、民主的な改正案が並ぶのだが、大統領任期にだけ焦点が当たっており、残念ながらあまり議論になってはいない。

なので、ご参考までに憲法改正案と現在の憲法のサイトを紹介しておく。

現在の憲法
http://www.gouv.sn/IMG/pdf/constition_sn.pdf

2016年の憲法改正案
http://www.au-senegal.com/IMG/pdf/projet_constitution.pdf


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3月22日

得票率65%を得て「YES」が勝利した。


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by iihanashi-africa | 2016-03-13 22:58 | セネガル | Trackback | Comments(0)
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