一週間前に気になるブルキナファソ記事を発見。
ブルキナファソが、遺伝子組み換えコットンを放棄するという記事。 http://img3.lefaso.net/spip.php?article69506 以前書いたブルキナファソ綿花の記事。 ブルキナファソの綿花生産 綿花の収穫の季節 ブルキナファソは、2003年、アフリカで初めて遺伝子組み換えコットンの栽培試験を行った。遺伝子組み換え作物の種の世界シェア90%を占めるモンサントMonsanto社(アメリカ)とシンジェンタSyngenta社(スイス)がパートナー。モンサント社は、1999年に世界第3位の綿花生産国インドに進出し、害虫に強く、収穫量と利益を増やすという宣伝文句で遺伝子組み換え種子を販売し、2002年から一般圃場で栽培されるようになっていた。 ブルキナファソでも、同じうたい文句で遺伝子組み換えの関心が高まっていった。当時、ブルキナファソでは、綿花の害虫駆除のため、大量の殺虫剤を使っていた。しかし、これまで殺虫剤を6回散布していたのが2回で済むことから生産コストも抑えることができ、また収量も増加するため、もちろん収入も増加するとされ、2008年に一般農家へと普及が始まった。 当時はこんな新聞記事があった。 「Culture du coton transgénique : Le Burkina Faso dans la danse(遺伝子組み換えコットン栽培:舞い踊るブルキナファソ)」 https://lefaso.net/spip.php?article16629 遺伝子組み換えに多くの期待を寄せる政府の様子がよく分かる。 特に、2008年頃はまだブルキナファソ経済を支える最大の輸出品目だったため、政府も農家も綿花栽培をどうにかしたいと思っていたはずだ。 しかし、このサクセスストーリーは長くは続かず、遺伝子組み換え導入で小規模農家を支援するグッドプラクティスにはならなかった。 この経緯が、2016年1月に発表されたサンフランシスコ大学のBrian Dowd-Uribe准教授とダルハウジー大学Matthew A.Schnurr准教授の報告書に記述されているようだ。 確かに収量は向上し、収入も増えた。除草剤の使用も確かに減少した。 では、なぜブルキナファソは遺伝子組み換えコットンと離縁することにしたのか。 遺伝子組み換え以前のブルキナファソのコットンは、繊維が長く需要が高かった。しかし、遺伝子組み換えに変えてからというもの、繊維が短く、質も悪くなり、ここ2年は買い手からの評判が非常に悪かったらしい。2009年に遺伝子組み換えコットンの販売を始めた当初から、繊維の短さには気が付いていたようだが、モンサント社は気候の問題だと説明していたようだ。2015年には、全生産量の3分の2が劣品質と評価された。お隣のマリのコットンの方が国際市場で求められるようになり、ブルキナファソは生産量は多くても需要がないという状況に陥った。農家の買い取り価格は毎年最低限が保証されているが、ブルキナファソの綿花業者が大きなリスクを負うようになってきた。それが、遺伝子組み換えと離縁した理由。綿花業者は、モンサント社に賠償金の支払いを求めているようだ。 アフリカも、食糧が不足しているから、貧困地域だからと言って、生産量だけを増やせばいい訳ではないことがよく分かる。既に国際市場とも密接にリンクしていることもあり、市場が求めているものを作らなければ収入は上がっていかない。国内市場も単に安いものが売れる時代ではなくなってきている。 さて、遺伝子組み換えから元の品種?に戻るブルキナファソのコットンは、今後どのような運命をたどるのだろうか。 ちなみに、アメリカの下着メーカーVictoria Secretが、ブルキナファソの綿花農家組織連合と契約してオーガニックコットンを購入しており、今後もオーガニックコットンの需要は増えるかもしれない。しかし、オーガニックに偏りすぎるとまた歪みがでてくる気がする。 にほんブログ村
by iihanashi-africa
| 2016-02-15 00:45
| ブルキナファソ
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Comments(2)
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katcat2121 at 2016-02-15 00:51
勇気のいる決断ですね!
単純に考えても あるものをニンゲンの理屈で変えてしまえば どこかで 無理が生じるのだと、思います
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iihanashi-africa at 2016-02-15 08:44
お久し振りです。コメントありがとうございます!
全くですね。我々先進国も、途上国支援で私たちがよいと思うものを押し付ける傾向があります。よかれと思ってやっていても、ためになっていないことってあるのですよね。
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