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ブルキナファソで誘拐が発生してしまった
ラジオでこのニュースを聞いたときは衝撃的だった。

ブルキナファソ北部のTambaoにあるマンガン鉱山会社のセキュリティー担当ルーマニア人男性が、4月4日午前10時半頃、鉱山周辺をパトロール中に襲撃に遭い誘拐された。

https://uk.news.yahoo.com/romanian-worker-kidnapped-burkina-faso-mine-170303456.html#gGmqsKJ

何が衝撃かというと、ブルキナファソ国内では初めての誘拐発生だったこと。かつて未遂はあったと聞くが、実際に誘拐が発生したことはなかった。Tambaoがマリ国境から15km、ニジェール国境から20kmという極北部に位置するとはいえ、国内であることには変わりない。

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しかし、ご存じの通りこのあたりの国境は人工的に引かれた国境のため、地図上では線はあるものの、実際はなんのコントロールもなく隣国に行くことができる。いや、コントロールがない訳ではない。幹線道路で移動する場合は、必ず国境を越えるための出入国手続きが必要となる。しかし、下の写真を見てもらうと一目瞭然だが、この辺りは真っ平なため、車でさえ道路を通らずに道なき道を走り隣国へたどり着いてしまう。こんな状況で国境警備など出来たもんじゃない。この近くのマルコイという町に住むローカルNGOで働くブルキナファソ人の友人は、マルコイには憲兵隊や軍隊がいるが、国境付近で出会ったことはないという。いや、もっと高度な方法を使っているのかもしれないけど。

実は私は、Tambaoから直線距離で20kmも離れていないところで活動していたことがある。2007年頃なのでもう8年も前。あの頃は平和だったなあ。夜は地面にござを敷いて寝転んで、天の川を見ながら流れ星の数を数えていた。今回の誘拐の犯行声明は出てないが、マリ北部で活動するグループだとすると、最も長く活動をするAQMIは2007年に組織が設立しており 、他のグループは2011年以降。マリ北部での活動が活発化して以降、日本人がこの地域に行けなくなって久しい。

マリ北部の状況についての記事
マリ北部のイスラム過激派グループとは


これは私がかつていた地域の写真。
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これを見れば、360度どこもかしこも道になりうることが分かるはず。
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ニジェールの国境まで行った時の写真。この石がブルキナファソとニジェールの国境を示している。BFはブルキナファソの略で、裏にはニジェール共和国の略RNと彫られている。
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私がかつて旅行したカメルーン北部も、今ではボコ・ハラム勢力が潜んでおり行けなくなった。危険なのはアフリカだけではなく、先進国でもテロに遭う可能性は十分にあるのだが、途上国でこういう治安問題を抱えると、発展の阻害となるだけでなく、国が本当に誰かの魔の手に落ちてしまうのではないかという不安をふと感じてしまう。

最近、民主化へと向かった国の治安がガタガタ崩れているのを見ると、改めてどういう形の発展が最良なのか考えさせられる。

現在、サヘル地域の長期独裁政権はチャドのデビ大統領だけになっただろうか。彼の政治ほど抑圧的なものはなく、欧米からは独裁者と見られ批判的に語られることが多い。しかし、これまで存在した多くの独裁者同様、軍事強化には力を入れており、チャドの軍隊はアフリカ一と言わしめるほど、死を恐れずに応戦する軍隊となっている。そして、現在マリ北部やカメルーン北部でイスラム過激派と前線で戦っているのもチャドの軍隊である。デビ大統領を擁護するつもりは毛頭ないが、デビ政権が倒れたらこの辺りの治安はさらに悪化するような気がする。

どうなっていくのだろう。


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by iihanashi-africa | 2015-04-08 00:10 | ブルキナファソ | Trackback | Comments(0)
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