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ロビ族の国、ガウア旅行序文~ロビ族とは
ブルキナファソには、UNESCO世界遺産が1ヵ所だけ存在する。それが、ロロペニ遺跡。ガウアの近くに位置する。今年4月にバンフォラ旅行に行った時から、次はガウアに行こうと友人たちと話していた。そして、やっと全員の予定が合い、7月26~27日の一泊二日で行ってきた。

今回の旅行、ロロペニ遺跡がメインで、その他に博物館やロビ族の村が見られれば、なんとか旅行として充実するだろうと思っていたが、なんのなんのロビ族の文化が特殊で興味深すぎて、2日間の小旅行なのにとても満足感を感じた。

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ガウアはブルキナファソの南西部に位置する。以前も、ガウアのマーケットの記事(Gaouaのマーケット)を書いたことがあるが、ここはワガドゥグから車で4時間半~5時間と遠く、更にとても閉鎖的な土地柄なため、ブルキナファソの他の地域の人もガウアの生活に馴染むには時間がかかるという。ブルキナファソ人にとって最も赴任したくない都市ランキングを勝手に調査したら、きっとガウアは最下位を争うと思う。

この閉鎖的な文化はどこから生まれたのか、今回の旅行でよく分かった。

ガウア旅行記を記述する前に、ロビ族文化についてまとめてみることにする。これは全て、ガウアのポニ博物館で聞いた話。

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ロビ族文化

①ロビ族は7つの民族グループに分かれる
ロビ族は、正確には7つの民族グループに分かれる。ロビ族の中のロビ族Lobi、ビリフ族Birifor、ジャン族Djan、プグリ族Pougouli、チュニ族Thuni、ガン族Gan(Obire周辺)、ダガラ族Dagara(Diebougou周辺)。ガン族を除く他の民族はガーナ北部から移住した人々で同じ氏族社会を形成しており、家の形も似ている。更に同じ伝統宗教を信仰している。但し、言語は多少異なるらしい。

②リーダーがいない
第1の特徴として挙げられるのがこれ。ブルキナファソでも恐らくロビ族(ガン族を除く)だけなのではないか。ロビ族は家族が一つの社会であり、その中で全てが完結する。Chef de terreと呼ばれる土地の長は存在したものの、Chef de villageと呼ばれる村の長は存在しなかった。村を取り纏めるリーダーがおらず、指揮命令系統は家長からその家族メンバーという単純なものしかなかったため、植民地時代のフランスは、この土地を開発するのに大変苦労したようだ。また、ロビ族は植民地主義に抵抗し、フランス側から残虐な仕打ちを受けている。現在は行政単位の長はいる。

③壁に囲われた家
もともと家族が一つの社会の単位だったため、周りからのあらゆる攻撃は家族単位で守らなければならなかった。そのため、家は難攻不落ともいえる造りになっている。モシ族のように幾つかの棟に分かれているわけではなく、一見平屋一戸建てであるが、塀がない。しかし、家の中では形の異なる幾つもの部屋が迷路のように入り組んで繋がっており、天井も低く、窓も小さく少ない。そして暗い。全ては他民族の攻撃を受けたときに有利なように造られている。近所の人が軽々しく挨拶に中に入れるほどオープンな感じはしない。
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④生まれた時に付けられる名前は決まっている
以前、ガーナは生まれた曜日で名前が決まっているという記事を書いたが(ガーナの名前の付け方)、ロビ族は生まれた順序で名前が決まる
長女 Yri イリ   長男 Sie シエ
次女 Oho オオ  次男 Sansan サンサン
三女 Ini イニ   三男 Olo オロ

四女四男までは名前が決まっており、5人目以降は生まれた時の出来事に応じて名前が決まる。

⑤儀式を受けるまでは大人とみなされない
ロビ族は、initiationと呼ばれる儀式を経験して初めて大人と見なされる。ロビの国の東側に位置するムフン川ほとりまで3日間かけて歩き、3週間~1ヶ月の間、体力・精神力を強化する。この時に、善悪の分別を教えられるとのこと。上述のように生まれた時に付けられた名前も、この時に別の名前が与えられる。6歳になったらinitiationを受ける権利があるが、受けるか受けないかは両親が決める。ロビ族のinitiationは、7年に一度開催され、最近は2013年に開催されたため、次回は2020年。東京オリンピックの年だ。相当先だなあ。

⑥女系優位
マダガスカルも伝統的に女系優位の社会だったが(やたら長いマダガスカル人の名前)、ロビ族もそうらしい。特に遺産相続の時に顕著のようだ。例えば、男主人が亡くなった場合、日本ではその遺産は妻と子供に相続権があるが、ロビ族社会では妻と子供に相続権はなく、主人の兄弟姉妹あるいは姉妹の子供に相続権がある。何故かというと、妻が産んだ子が本当に自分の子かどうか確証が持てないから。また、自分の実の姉妹の子供であれば確実に血縁関係にあるため相続権があるが、男兄弟の子供は100%血縁関係にあるとは言い切れないため権利はない。但し、近年は状況が変化しており、例えば息子が父に家を建設し、その際に「名義」なるものがあり、それが息子名義になっているというような場合、父が亡くなっても息子が引き取る権利があるなど、社会の変化とともに考え方も変わってきているらしい。

⑦三途の川
ロビ族にとっては、⑤にも書いた東のムフン川が社会の中で重要な位置を占めており、initiationを受ける場となっているが、死後にも川のある東へ向かい、royaume des ancêtres(先祖の集まる国)へ行くと言われている。但し、そこに辿り着くためには、長旅が待っており、棺の横に水や食糧、貝殻(昔利用されていたお金)、先に死んだ先祖への土産を置き、無事にあの世へ辿り着くことを祈る。仏教では、死後7日目に冥途にある三途の川を渡ると言われているが、これに似ている。


さてさて、ロビ族の文化が分かったところで、旅行記を書くこととする。

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by iihanashi-africa | 2014-08-07 03:10 | ブルキナファソ | Trackback | Comments(2)
Commented by K◎ at 2014-08-07 14:14 x
先日は わざわざお運びいただき ありがとうございました!
義務的になっては つまらなくなってしまいますので
どうぞ ご自身のペースで 気楽にお付合いいただければ幸いです!

ロビ族の文化… 興味深々です
それにしても 上手くまとめてありますネ! とても 分かりやすかったです!
Commented by iihanashi-africa at 2014-08-08 23:03
コメントありがとうございます。やる気が出ます。
またロビの旅の記事、そして最近旅行したトルコの話も後が詰まっていますので、アップのペースを早めて書き上げたいと思っています。また、時々お寄りください!
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