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社会的コンテクストに合わない支援
最近あった世界銀行のある農村開発プロジェクトの話。

プロジェクトの活動で、対象村に鶏舎を建設することになった。
風通しが良く、セメントで作られた立派な鶏舎。
養鶏は成功すれば大きな収入源となる。

しかし、この村に建てられた鶏舎は鶏舎として使われていない。

村の住民自らが鶏舎に住み、鶏は外を走り回っているのだ。

それもそのはず、この村の家はほとんどが粘土で作られた小さな家なのだ。鶏が自分たちよりいい家に住むなんてありえない。

そりゃそうだ。

今でもこんな支援活動が行われていることに驚愕。


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この話を聞いて、10年ほど前にガボン人の教授から聞いた話も思い出した。

ガボンのどこの都市だか忘れたが、あるプロジェクトで老人ホームを建設した。水回りも全て整ったモダンな施設。

そこに身寄りのない独り身の高齢者たちが住み始めた。

しかし、しばらくすると身寄りのない「はず」だった高齢者たちの親戚という人々がわんさか現れ、一緒に老人ホームに住み始める。だって自分の家より立派な家だから。

アフリカでは、今のところ、誰にも世話をしてもらえない高齢者は少ない。遠い親戚や一族の誰かが必ずおり、万一身寄りがなくても近所の人々が放っておかない。



これは、10年以上前の出来事。
今でも変わってないらしい。
ドナーによって支援方法は異なるし、組織によっても異なるし、携わる人によっても異なる。日本はそれなりに過去の教訓から学んでいると思うが、組織によっては教訓が全く活かされず、プロジェクトドキュメントに書かれた活動を、書かれてある通りに実施するだけの場合も見受けられる。

開発支援、考えさせられる。

ちなみに、昨日フランス文化センターで見たドキュメンタリー映画「Assistance mortelle(ハイチ地震後の支援金の用途の話)」の中でも「Il faut arrêter de faire semblant d’aider.」というフレーズが出てきた。「支援をしている振りをするのはやめて」という意味。

この映画も考えさせられるものだったので、今度紹介することにする。

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by iihanashi-africa | 2014-04-18 08:20 | ブルキナファソ | Trackback | Comments(5)
Commented by 久高 at 2014-04-21 11:19 x
鶏舎の支援、単なる支援のパフォーマンス。
Commented by iihanashi-africa at 2014-04-23 08:21
本当に単なるパフォーマンス。実施しているスタッフは、仕事と割り切って活動している人も多いのが現実です。実はアフリカの人々が自分たちの国のことを感覚的にしか分かっていないことが多いのです。大きな格差があるからかな。
Commented by Sato at 2014-05-24 16:11 x
これ、いろいろ見ます。ここまで顕著な例は少ないでしょうが。現地をしらずに自分の価値観を押し付けるとこうなるということは、嫌という程身にしみてますが、やってしまわないように気をつけないと、陥りやすいわなですね。
Commented by iihanashi-africa at 2014-06-03 09:54
Satoさん、ご無沙汰です。最近もまた県農業局事務所よりも数倍大きな種子認証センターが建設されているのを見ました。サンプルを置く場所が必要とはいえ、あまりに違いすぎる。。。本当に陥りやすいわなです。
Commented by Sato at 2014-06-05 06:49 x
あはは、いろいろですね。今日はずっと地方の零細農家の方と話をしていたので、こういうのを読むと隔世の感がしますね。ま、日本だって同じようなことはいっぱいあるので、あまり笑える話ではないのでしょう。とりあえず、自分はその罠に陥らないように、地に足をつけて活動を進めたいい物です。
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