Cine Droit Libreの企画力はFESPACO映画祭を上回っていると思う。毎日テーマを決めて上映するプログラム構成、メイン映画は監督や登場人物を招待し、上映後はタイムキーピングに優れたファシリテーターとテーマに通じたコメンテーターのもとで討論を行うというアレンジ。パンフレットも情報満載で読みやすいし、興味をそそられる。個人的には、もっと脚光を浴びるべきフェスティバルだと思う。
6月24日は、2本のドキュメンタリーを見た。 コートジボワール人4人の各自の希望を叶えるための日々の活動を追ったドキュメンタリーと、ウガンダの同性愛者の戦いを追ったドキュメンタリー。 どちらも素晴らしい作品で、是非見る機会があったら見てもらいたいが、ウガンダの同性愛者の戦いは私も衝撃を受けたので、今回はこちらを中心に紹介したい。 ********************************* 『Call me Kuchu(クシュと呼んでくれ)』 監督:Malika Zouhali-Worall(アメリカ) 90分、2012年 世界には、同性愛が発覚すると死刑になる国がある。イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イエメン、アフガニスタン、パキスタン。そしてアフリカでも、38か国でLGBT(分かり易くここでは「同性愛」)には刑罰が下り、その内モーリタニアとスーダンでは死刑となる。 2009年、ウガンダでも同性愛者を犯罪とみなし死刑にする法案が議会に提出された。それに続き、同性愛に反対する論調の新聞社が「彼らを縛り首に」という見出しで、ウガンダの同性愛者100人の写真を新聞に載せて、民衆の差別感情を煽り立てた。 そしてまだ法案も審議の最中、2011年にゲイの中心的活動家だったDavid Kato氏が暗殺された。この事件は世界各国でも報道され、国連でも取り上げられ、ニューヨークでもデモ行進が行われた。そして私は、、、、、こんな事件があったことを知らなかった。 自分が同性愛者であることに悩み苦しみ、それでも自らの存在を確かめ合いながら生きている姿をみると、彼らを罪だと判断することこそ罪だと思ってしまう。 ちょうど昨日のRFIに、こんな記事が載っていたのでシェアします。 http://www.rfi.fr/afrique/20130625-homophobie-afrique-subsaharienne-amnesty-international 上映後に、ワガドゥグ大学のMahamade Sawadogo教授(哲学)が登壇し、討論会が行われたのだが、私は、ブルキナファソの観客がこのドキュメンタリーから何を感じ取るのか非常に興味があった。 観客の反応はというと、 「同性愛は病気の一種で、たまに見かける気が狂って裸で道を歩いている人と同じだ。」 「同性愛者に罰を加えるつもりはないが、彼らは彼らの居場所でおとなしく隠れていればいい。」 「同性愛を認めるということは、本当に社会が進歩しているということなのか。アメリカやヨーロッパのものを圧し付けようとしたって無駄だ。アフリカはアフリカの文化がある。」 もう少しポジティブなコメントあったような気がするが、ネガティブなコメントが私にとっては衝撃的で、他のコメントを忘れてしまった。 これらのコメントに対するSawadogo教授の説明が非常によかった。 「まず、同性愛=病気という考えは取り除いて欲しい。そういわれていた時期もあるが、20年以上前に世界的にその考えは削除されている。」 「同性愛の認知は進歩かというのは非常にいい質問だと思う。進歩(progress)ではなく進化(evolution)と言った方がいい。性やセックスへの価値観は時代とともに変化してきた。かつてはただ子孫を残すために行っていた行為が、今は快楽のためだけに行うこともある。子供も性交を行わずに出来る時代になった。また生まれながらに心身の性の不一致の人もいれば、興味本位で同性愛を経験する人もいる。性に対する価値観は日々変化しているということは理解してほしい。」 世界には、同性愛者が社会から切り離されて、医療サービスも断られ、医療も受けられない国が沢山ある。これらの国で自分と同じ一人の人間として認識されるまでに、あとどれくらいかかるのだろう。 ********************************* 『Sababou (l’espoir)(希望)』 監督:Samir Benchick(フランス) 91分、2013年 4人の熱意に満ちたコートジボアール人が、それぞれのSababouつまり希望に向かって立ち向かう様子が描かれている。 レゲエ歌手Tiken Jah Fakolyが、ギニアの平和のために立ち上がった。 同じくレゲエ歌手のDiabsonが、初のCDを出すためにいばらの人生から立ち上がった。 人権擁護活動家のMichelが、何の判決も受けず刑務所に拘留されている人々の助けになろうと立ち上がった。 高校生のRosineが、教師の体罰禁止を訴えるために立ち上がった。 このドキュメンタリーは、見ると元気が出る。 是非、アフリカの高校生や大学生に見てもらいたい。 討論会は、監督(一番左のかがんでいる人)の他、Rosine(机の左から2人目)とDiabson(机の右から2人目)も招待された。 にほんブログ村
by iihanashi-africa
| 2013-06-27 08:36
| ブルキナファソ
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