「アフリカ映画の都ワガドゥグ」~フェスパコ便り 2
FESPACO開催中は、3つの映画館(Cine Burkina、Cine Neerwaya、仏文化センター)で長編作品が、その他複数の会場で短編、ドキュメンタリー等が上映される。

仏文化センターには、これまで何度もコンサートを見に行ったことがあるが、他の2か所の映画館に入ったのは初めて。最大のCine Neerwaya(下の写真)は300席はあるように思う。これまで一度も足を運んだことがなかったけれど、普段も上映しているらしい。人気のある映画は、早々にチケットも売り切れ、立ち見も出るほどの混雑だった。

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FESPACO期間中は、朝から晩まで様々な映画が上映されているが、日中は通常通り勤務していた私は午後6時、8時、10時からの上映映画を数日間にわたり梯子した。

私が見た映画は、

・「Le Collier de Makoko」Henri Joseph Koumba Bididi (ガボン)
・「Children’s Republic」Flora Gomes (ギニアビサウ)
・「Yema」Djamila Saharaoui (アルジェリア)
・「Bayiri」Saint Pierre Yameogo (ブルキナファソ)
・「Always Brando」Ridha Behi (チュニジア)
・「Toiles d’Araignees」Ibrahima Toure (マリ)
・「Androman… de Sang et de Charbon」Azlarabe Alaoui Lamharzi (モロッコ)


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私自身あまり映画に詳しくないため、どれが評判の映画かも分からず、とりあえず題名で選んで見たのだが、B級アメリカ映画のような1本を除いて、どれも映画としては面白いと感じた。中でも、マリやブルキナの映画は過去の無残な歴史からの学びや人権侵害になりかねない伝統に対する抵抗を表現しており、映像の質は高くなくてもストーリーの運びがよかった。映画は、アフリカにとって本当に貴重な武器だと思う。



さて、私が今回見られずに後悔している映画がある。
映画通の同僚や、偶然出会ったフランス人映画監督が絶賛していた映画だ。

「Les chevaux de Dieu (神の馬)」

シナリオ賞を獲得したものの、残念ながら金、銀、銅は逃した映画だ。グランプリに値する映画だったが、内容が内容だけに受賞が難しかったのではないかとの意見もちらほらと聞いた。

この映画について、同僚のH.N.E.さんが書いた記事を掲載させてもらいます。
これを読むと更にこの映画を見たくなります。


『「今回のグランプリは誰の手に?」。映画祭で最も注目を集めるのは、やはりコンペの長編部門の最優秀作品に贈られる「イエネンガの金馬賞 Etalon d’Or de Yennenga」というグランプリの行方です。

「イエネンガ」というのはブルキナファソの多数民族であるモシ族のイエネンガ王女(Princesse Yennenga)の伝説に由来します。昔、イエネンガ王女は父の王国で名を馳せた勇敢な戦士でした。父の王は、有能な彼女を手放したくなく、彼女の結婚を許しませんでした。しかし、彼女はある日、父の許を逃げ出し、若い狩人に出会います。そして、子を儲け、「ウエドラオゴ」と名付けます。この名はモシ族の言葉、モレ語で「牡馬」を意味し、今ではブルキナファソで最も多く存在する名字の一つとなるに至りました。「イエネンガの金馬賞」は、歴史上のヒロインへの敬意を表して名づけられたものだそうです。

さて、前回2011年のフェスパコでグランプリを獲得したのはモロッコのモハメッド・ムフタキール監督による「ペガサス」という作品でした。今回も北アフリカ勢の活躍は際立っており、アルジェリアから3作品、モロッコから3作品、そしてチュニジアからの1作品がコンペの長編部門に参加、既に好評を博しています。特に、2001年のフェスパコで既にグランプリを獲得した、モロッコのナビル・アユーシュ監督のイスラム過激派を扱った作品、「Les chevaux de Dieu (神の馬)」は、西アフリカにおいても今や現実的なテーマであることもあり、高い注目を集めています。この作品は、実話を基に作られたもので、2003年5月16日にモロッコの主要都市カサブランカ5か所でほぼ同時に起きた自爆を含む爆発テロ事件からアイデアを得た衝撃的な作品です。

カサブランカ郊外のスラムで育った子どもたちが、どうやってイスラム過激派に組み込まれ、自爆テロリストへと変貌していったのか。サッカーや仲間内の喧嘩に興じる普通の10歳の少年たちを取り巻く社会はあまりに残酷で無責任で悲惨でした。家族という社会さえ成り立っておらず、親の庇護などとは縁遠く、屈辱と失意だけに囲まれた、夢も希望もない生活なのです。少年たちを取り巻く絶望的な生活の描写には、あまりの不条理に嫌悪感を覚えざるを得ません。しかし、ある時、主人公の少年の兄が町で暴力事件を起こし、投獄され、2年間の刑期を終えて町に戻ってきたところからトーンが変わります。イスラム急進派の洗礼を受け、すっかり様相が変わってしまった兄。相変わらず職も安定せず友達とつるんで麻薬を吸って気晴らしをする日々を過ごしていた主人公も、次第に兄の導きで、イスラム過激組織にのめり込んで行きます…

この作品が非常にセンセーショナルなシーンを含むにも拘らず、聴衆の感情を揺さぶるのではなく、問題を冷静にとらえさせようとする監督の手法は素晴らしいものです。人物に近い目線で迫力を持たせる映像と、客観的なカメラの目線、特に上空からスラム街を俯瞰してから、人々の生活に入り込む手法を混在させることで、聴衆に理性に頼ることを忘れさせません。

これは、「暴力の根源は貧困である」、という監督のメッセージがストレートに伝わって来る作品です。この悲惨な生活が変わらない限り、生きる目的もないスラム街の少年たちにとって、宗教だけが生活の道筋を与えてくれるものとして残り、自爆テロリストは生まれ続けるのです。さらに、監督の捉え方として重要なのは、テロの犠牲者は、標的となった場所に居合わせた被害者だけでなく、自爆テロで命を失った若者の双方である、という視点です。

「神の馬」は2012年の仏カンヌ映画祭でも高い評価を受けましたが、監督は、アフリカで評価されることの重要性に触れています。「フェスパコこそがアフリカ映画として名を連ねるのに相応しいところだから。それに多くの人々が経済発展から取り残されているアフリカでこそ、この映画を見てもらいたい」。』


ネットで映画の予告を見られるサイトを発見。
ああ、本当に見たいなこの映画。
http://www.cinema-maroc.com/2012/12/les-chevaux-de-dieu-nabil-ayouch-nest-jamais-parti/



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by iihanashi-africa | 2013-03-12 06:05 | ブルキナファソ | Trackback | Comments(0)
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