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観光国になれない国の国内線
カメルーンに来てから、いらいらすることが多い。比較的大人しいマダガスカル人と仕事をすることに慣れてしまっているからか、気性が激しいカメルーン人には時々いらいらさせられる。6年前にカメルーンで働いていた時も、こんなに苛立っていただろうか。もしかしたら時とともに記憶が美化されていたのかもしれない。唯一の救いは教養のある誠実な友人がいることだ。彼らが集まるとカメルーン人が腐ったカメルーン人社会を非難する。でも、いつも解決策が見つからない。金と権力がものを言う社会で実際に仕事をする彼らの悲痛な声が聞こえる。毎年発表されるトランスペアレンシー・ランキングで、カメルーンはアフリカの最下位をナイジェリアと競っている。

ヤウンデについてから、なかなかいい市街の写真が撮れない。というのも、街で堂々と写真を撮ろうとすると、「何を撮っているんだ」と通りがかりの人に怒鳴られる。街並みを撮っているだけだと反論しようとしたが、言い合いになるのが面倒で無視した。

翌日、今度は新しく街中に出来た公園を友人と訪れ、あまりにもこれまでのヤウンデのイメージと異なり整備されて美しかったので写真を沢山撮っていたら、警備員らしき人に「市の許可を得たのか」と言われた。ここでは写真を撮ってはいけないことになっているらしい。私たちの他にも写真を撮っている人はおり、誰も撮影禁止を守っていないじゃないかというと、それでも禁止は禁止だという。それなら入場料を支払ったときになぜ教えてくれなかったのかと聞くと、張り紙がしてあるという。確かに入場口の上の方に小さく書いてある。こんな張り紙、誰も読まないだろう。読ませないために分かりにくいところに張ってあるとしか思えない。私のカメルーン人の友人はかなり不満だったらしく、「彼女は公園が綺麗に整備されていて感動して写真を撮っていたんだ。これから日本に帰ってこの写真を見せながらカメルーンを紹介してくれるのに、それを阻止したらカメルーンのためにならないだろう」と一生懸命説得していた。結局、お金を払わずに済み見逃してくれたが、友人はカメルーン人として恥ずかしいと言っていた。

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さて本題の国内線の話だが、22日朝、レイブーバを早朝6時半に出発し、ガルアに10時に到着した。チケットにはチェックインが11時に始まると書いてあったので、ガルアの街中で買い物をし、11時に空港へ向かった。すると、チェックインカウンター手前の扉の前に既に荷物の列が出来ており、私たちもそれに次いだ。しかし何か様子がおかしい。列が一向に前に進まず、警察と乗客が深刻な顔をして話している。なんでも、飛行機が既に満席でもう席がないという。飛行機はまずンジャメナへ行き、ガルアを経由してヤウンデ、そしてドゥアラへ向かう予定だったが、ンジャメナで予定以上の乗客が乗り、ガルアから乗るはずの乗客の席がなくなってしまったのだそう。私たちを含め約20人が順番を待っていた。しかし空席は10席。その内4席は、前日の飛行機に乗れなかった4名が優先され、残り6席を争わなければならなかった。もちろん全員が航空券を持っている。

通常は、早くに着いた人から席がもらえるのだろうが、なぜか私たちより後に来た人が中に入っていく。聞くところによると国会議員らしい。しかも、航空券を持っていないという。ありえない。しばらくしたら、若い女性が「空港警察長の娘です」と言って中に入っていき、早くから来てチェックインを待つ人を差し置いてチェックインを終えた。結局私たちはチケットを持っていたにも関わらず、チェックインすら出来ずに翌日の便に回された。

しばらくして飛行機が到着し、搭乗券を持っている乗客は税関に押しかけた。そこで、私は見てしまった。白人男性が、自分の娘を飛行機に乗せるために空港警察長に袖の下を渡しているのを。彼女は搭乗券を持っていなかった。そのため既にチェックインした乗客の一人が乗れない羽目になった。乗れなかったカメルーン人男性もその現場を目撃したらしく、警察長に抗議に行こうとしたが、白人男性になだめられていた。後で彼は、あの白人男性に手を上げそうなほど怒りが湧き起こったと言っていた。私も、翌日の便に回されて苛立っていた上に、さらにこの光景を見て憤りを感じた。

さて翌日便組は続いて宿舎の交渉に移る。通常というか私の中の常識では、航空会社の手違いで飛行機に乗れなかった場合は、航空会社が宿舎を用意しなければならない。しかしここでは、抗議しなければ宿舎は用意してくれない。運良く、居残り組に弁の立つ男性がおり、彼を中心に団結して航空会社事務所に居座って抗議を続けた。事務所の責任者は理解のある方だったが、彼には決定権がなく、ヤウンデ事務所からの返答を待つまで更に1時間空港で待つこととなった。その間、航空会社職員の女性が、抗議する私たちに「搭乗券もないくせに・・・」とぽろっとこぼした一言が、私たちの抗議を更に加熱させた。あなたたちのせいでチェックインカウンターにも辿り着けなかったのに、私たちに非があるかのような言い方は乗客を侮辱しているとしか思えない。何様のつもりだと。

結局、ホテルと夕食、朝食を用意してくれガルアに一泊した。

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実はこれで終わったわけではない。

翌朝7時、ホテルのレセプションから電話があり、航空会社が8時に迎えに来るという。急いで準備をして空港へ向かった。前日の情報では、飛行機は12時にガルアを出発するとのことだったが、なんと今日は2便あるという。1便は10時発ドゥアラ行き、もう1便は12時発ヤウンデ行き。私たちはヤウンデへ行くので12時まで待つつもりでいたら、航空会社責任者が、別のヤウンデ行きの客に、午後に約束があるのならドゥアラ行きに乗り、バスでヤウンデで行った方がよいとアドバイスしているのを聞いて、もしかしたら2便目はないかもしれないという不安に駆られ、私たちもドゥアラ行きに乗ることにした。

飛行機は40分遅れで出発し、ドゥアラからヤウンデまで4時間バスに乗り、家に到着したのは  時。丸一日移動で終わってしまった。終わってみればいい笑い話だが、直面しているときは自分が嫌になるほど苛立っていた。



カメルーンだけではないが、競争のない国内線のサービスは酷いものだ。カメルーンの北部には見所が多く、言い過ぎかもしれないが北部を見なければわざわざカメルーンへ旅行する意味はないとも思う。それだけに、国内線の未発達はとてももったいない気がする。

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by iihanashi-africa | 2010-01-05 14:21 | カメルーン | Trackback | Comments(2)
Commented by Sato at 2010-01-05 16:18 x
えーと、そのトランスパレンシー最下位をきそっているNigeria在住Satoです。ありえますねー。Nigeriaもひどいものです。この記事、うちのBlogで紹介してもいいですか?そのうちNigeriaの飛行機の件についてかこうと思っていましたので、そこでLinkさせてもらえばとおもいます。
Commented by iihanashi-africa at 2010-01-10 00:26
Satoさん、あけましておめでとうございます。
今年もiihanashi-africaを宜しくお願いいたします。
blog記事、どんどん使ってください。また、ナイジェリアの飛行機についての記事も楽しみにしています。
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