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『レイラの最後の10分38秒』エリフ・シャファク
チュニジアの記事を書き続けているが、少し疲れてきてしまったので、筆が乗るテーマを先に書くことにする。

私は旅行する際、その地に関する小説を読むのが好きである。

断片的ではあるがその地の文化や考え方を知ることができるし、気分を高められ、到着した時にあの小説の地に降り立ったという感慨深い気持ちになる。アニメや映画の聖地に行きたくなるのと同じ気分だと思う。ガイドブックにも歴史や文化は記載されているが、やはり手っ取り早く的確な情報を与えてくれる本であり、感情移入しながら読むものではない。小説は、見えている世界を感情的に色付けしてくれる素敵な小道具で、旅行を記憶に残るものにしてくれると、ひしと感じる。

昨年、4回のチュニジア出張を行ったが、最初の3回はルフトハンザ航空を利用しフランクフルト経由だった。しかし、航空賃上昇により、4回目からトルコ航空へ変更となった。かつてアフリカ勤務をしていた時は、トルコ航空を何度か利用し、トランジットで母と叔母と待ち合わせてトルコ旅行をしたこともあった懐かしい地である。前回久しぶりにイスタンブール空港に降り立ったら、とても素敵な空港に生まれ変わっていて、懐かしさというよりは初めての地へ来た感覚だった。

今回の帰国便は、有難くもイスタンブールでほぼ24時間のトランジットがあった。
トルコ航空は12時間以上のトランジットだと1泊分のホテルを無料サービスしてくれる。折角なので、それを利用して外に出て観光しましょうということになった。私にとっては10年ぶりのイスタンブール観光。10年前のトルコ旅行はカッパドキアのイメージが強く残っており、イスタンブールの記憶はかなり薄れてしまっていた。

出張出発の日、夜便だったので、日中に急いで図書館へ行き、トルコの作家の小説を探した。3,4冊手に取って最初の数ページを読み、面白そうだと思ったのが、この本だった。

『レイラの最後の10分38秒』
エリフ・シャファク 著
北田絵里子 訳


『レイラの最後の10分38秒』エリフ・シャファク_c0116370_00243375.jpg

行きの飛行機で半分読み、結局残り半分は帰国後に読み終わったので、イスタンブール観光には間に合わなかったのだが、久しぶりによい読書だった。

何の前情報もなく読んだのだが、後から調べたら2019年度ブッカー賞最終候補作、2019年の『エコノミスト』誌の年間ベストブックの一冊に選出されていた小説だった。

訳者のあとがきで、著者はTEDに2度登壇しており、2010年の「フィクション小説の利害」、2017年の「多様な考え方が持つ革命的な力」の2講演は、いずれも大きな賞賛を受けたとあり、早速探して視聴した。話題の講演以外のスピーチもとても心を打つもので、一気に10本も見てしまった。




小説を読み終わったら是非こちらも見ていただきたい。本人がこの小説について語っている動画。

そういえば、チュニジア人の面白い小説にまだ出会っていない。
日本語訳がないだけで面白い作家さんはいるに違いないが、私は外国語で小説を読むのは苦手なので、日本語訳のあるチュニジアの小説があれば、どなたか教えてほしい・・・


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# by iihanashi-africa | 2024-03-09 16:43 | トルコ | Trackback | Comments(0)
チュニジアのローマ遺跡5:カルタゴのローマ劇場
カルタゴのローマ劇場(The Roman Theatre of Carthage)は、前回の記事の競技場から1kmほどの場所にある。歩いても来られたが、緩やかな上り坂なので、サクッとタクシー移動。物価の安いチュニジアだからなせる移動。

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紀元前2世紀頃に建設された劇場。一度5世紀頃に破壊されており、19世紀後半に復元工事が行われているようで、石から何から全て再建されており、当時の構造がどの程度残っているのかは明らかではないようだ。

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現在は様々なイベントがここで開催されているそうで、カルタゴ国際フェスティバルの演劇もここで鑑賞できる。

イベントが開催される際は、このサイトの写真のように観客で埋め尽くされる。
https://www.thetravel.com/whag-to-know-about-the-roman-theater-of-carthage-in-tunisia/


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# by iihanashi-africa | 2024-03-05 21:53 | チュニジア | Trackback | Comments(0)
チュニジアのローマ遺跡4:カルタゴの円形競技場
チュニジアに到着したのは日曜の午前11時頃。長旅で少し疲れてはいたが、午後に時間があるので、行ってみたかったラ・マルガの貯水槽を見に出かけたことは以前書いた。
チュニジアのローマ遺跡3:ザグーアンの水道橋とラ・マルガの貯水槽

当初は、この貯水槽を見てホテルへ戻る予定だったが、google mapを見ていたら、貯水槽のすぐ近くに円形競技場があることに気が付き、ここまで来たのだからと行ってみることにした。

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貯水槽は入場料などはなく、周囲を散歩しながら眺められるのだが、円形競技場は入場料が必要だということを着いてから知る。この周囲のカルタゴ遺跡は全て一つのチケットに纏められていて、12ディナール(約600円)支払えば、8カ所の遺跡を全て見られる。ただし、有効期限は1日のみ。以前はこのチケット↓で2カ所だけ訪問していた。

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今回は折角なので、時間の許す限り回ってみることにした。

カルタゴ円形競技場
The Amphitheatre of Carthage


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1世紀頃に建設された競技場。モニュメントに古代チュニジアでは非常に珍しいOpus reticulatumという網状細工が施されていたことが、年代の特定に繋がったそう。当時は、北アフリカで最も人気を博した動物や狩猟のショー、剣闘士の戦いなどが行われていたようだ。死刑囚が猛獣によって処されることもあったという。

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かつては観客席があったが、8世紀以降は、カイルアンやチュニスの貴重な建設資材の供給源となり、ほとんどの石材はなくなり、現在は楕円形の形だけが残っている状態である。楕円の淵の部分はあとから再建されたものらしい。

猛獣が場内に入る通路が残っている。

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3世紀初頭、北アフリカではキリスト教の黎明期であったが、この時期、聖ペルペチュアと聖フェリシティを含む5名のキリスト教徒が有罪判決を受けて、ここで猛獣に引き渡され殉教している。その出来事を追悼して、19世紀末にチュニジアの枢機卿により十字架と礼拝堂が建てられている。

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Wikipediaのページに、1890年の発掘が始まった頃の写真と1950年の航空写真が掲載されていて興味深い。
https://en.wikipedia.org/wiki/Carthage_amphitheatre#cite_note-4



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# by iihanashi-africa | 2024-03-02 13:56 | チュニジア | Trackback | Comments(0)
チュニジアのバルドー国立博物館
チュニジアにはバルドー国立博物館という、世界でも有数のモザイクの保管数を誇る非常に大きな博物館がある。博物館としてはアフリカ大陸ではカイロのエジプト博物館に次ぐ大きさだそうだ。
http://www.bardomuseum.tn/

この博物館は2015年のイスラム過激派テロによる襲撃で、日本人を含む観光客22人が亡くなった悲しい出来事が起きた場所でもある。それ以来長らく閉鎖されており、一旦再開はされたものの、政治の混乱により2021年から再び閉館が続いていた。近年は博物館の改修工事が行われており、やっと昨年2023年9月にリニューアルオープンとなっていた。前回のチュニジア出張が再開直後で、次回の出張時には博物館見学に一緒に行きましょうとチュニジアの大学の先生方が話してくれていたのだった。

今回の出張直前、チュニジアとオンライン会議をしていた時に、木曜の午後に少し空いている時間があるので、ここで博物館見学に行きませんかと先生方から提案いただいた。平常心を保ちつつ「はい、是非」と伝えたが、内心は嬉しくて飛び跳ねていた。


バルドー博物館は、建物全体に古代ローマ時代のモザイクが飾られてある。床もモザイクの部屋もあり、ローマ時代の上を歩きながら鑑賞するという贅沢な環境である。全て紀元前4世紀から紀元後4世紀頃までの作品。チュニジアで勤務したことのある友人からも、バルドー博物館は見応えがあると聞いており、かなり期待値が高まっていたが、実際もその期待を全く裏切らなかった。広すぎて全ての部屋を見ることはできなかったが、それでもモザイクでお腹いっぱいになった。

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実はこの博物館の歴史は長い。
開館は1888年というから、140年も前である。文化遺産を後世に残すための政策としてこの博物館の創設を宣言する政令が発表されたのが1885年で、そこから3~6年かけて15世紀に建設されたバルドー宮殿を、展示ホールに改装したのだそうだ。そう思うと、造りが確かに宮殿だった。博物館として建設された建物とは思えず、中はとても複雑に入り組んでおり、時々順路が分からなくなる。

開館当初は、当時の君主アリ・ベイにちなんでアラウイ博物館(Musée Alaoui)と呼んでいたようだ。植民地からの独立後、この地区の名前であるバルドーBardoと改名された。入場料は外国人は13 TND(650円)。この規模でこの値段とは、やはり全ての物価が安い。。。

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入口からものすごい大きさのモザイクに出迎えられる。
高さ何メートルだろうか。スースという町で発見された『ネプチューンの勝利』と呼ばれるモザイクである。おそらく2-3世紀のもの。真ん中に4頭の馬と共に描かれているのが、海の神ネプチューン。三叉槍を持っている。

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ホールの一角に、2015年のテロで犠牲になった方々の出身国の国旗が並べられて追悼されている。

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石棺の回廊。

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チュニスから南西に60kmのThuburbo Majusチュブルボ・マジュスという場所で発見されたという拳闘士のモザイク。ボクシングのように手袋をはめて戦っている。手前の男性の頭からは血が流れている様子も分かる。

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プチ・パレと呼ばれるスペース。宮殿の居住スペースだった部分。複数の妻の部屋が4方向にある。ここはタイルの壁。

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スースの部屋と呼ばれ、宮殿の応接室だった場所のよう。ここは天井が豪華。金色の背景に細かく裁断された木で幾何学模様が描かれている。

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チュニスから南に250kmの海岸沿いに位置するチェバ la Chebbaという場所で出土されたモザイク『ネプチューンの勝利』。入口に飾られていた巨大なネプチューンの勝利と同じ題材だが、こちらの作品はバルドー博物館を代表する貴重な作品の一つなのだそうだ。どのモザイクも紀元前後の素晴らしい作品なので、貴重さをどこで判断しているのかがよく分からない。。。

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アルティブロスAlthiburosの部屋
アルティブロスというのは、部屋の真ん中に大きなモザイクが発見された場所だそうだ。この部屋は、宮殿時代はミュージックホールだった。左右に2階部分があり、片側で音楽隊が演奏し、もう方々で宮廷のプリンセスが鑑賞したのだそう。

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カルタゴホールという宮殿の中庭

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12星座と7つの曜日が表現されているモザイク。

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スースで発見された『クリオとメルポメーヌを聴く詩人ヴェルギリウス』というモザイク。なにやらしっかり保護されており、貴重な作品らしい。詩人を表現する芸術の中で最も古いものといわれているらしい。

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カルタゴなどの遺跡から発掘された装飾品など。

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他のモザイクに比べ、大分細かいモザイク。

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チュニスから300km南のティナThynaという場所で発見されたフレスコ画。

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1993年に考古学者Mustapha Khanoussiによって、Chimtouチムトゥという場所で発見された大量の金貨。

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発見当日に数えられ1647枚あったと複数人でサインがされているのが上の紙。ちなみにフランスは今でもこうして小さな棒を書きながら数える。これ、欧米はどこも一緒かな?
下のレターは、Mustapha Khanoussiが発見したことを関係機関に通知したもの。

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マグラワMaghrawaという町で発見された石碑で『De la Ghorfaゴルファ』と呼ばれるそうだ。紀元前10世紀から1世紀にかけて北アフリカで文明を築いたヌミディア王国下の墓碑のようだ。マグラワで発見されたものは、大英博物館やルーブル美術館にもあるらしい。

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海に関するモザイク。

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カルタゴの役人の漆喰の霊廟。

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1907年、チュニジアの町マディアの海岸から5km沖の海底に、紀元前1世紀に嵐で座礁したと言われるギリシャの商船が発見された。船内から発見された大理石の彫刻などから年代を推定したようだ。当時、ギリシャのアテネはローマ帝国に占領されており、多くの芸術作品がイタリアに送られていたそうだ。難破船もアテネからローマへ芸術品を送る途中に、チュニジア近くで座礁したと考えられている。船内からは大理石や青銅の彫刻が発見され、それらがバルドー博物館に飾られている。

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破片から復元された大きな花瓶。

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このような船だったそう。

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今回は時間が足りずに全ての部屋を見ることができなかった。
またいつか時間がある時に来てみよう。

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# by iihanashi-africa | 2024-02-28 22:12 | チュニジア | Trackback | Comments(4)
「兼好54歳 x 文菊45歳二人会」が至福の時間だった
チュニジアの記事をアップし終わっていないが、どうしても一つ忘れないうちにアップしておきたかった。

2月23日に行ってきた「兼好54歳 x 文菊45歳二人会」が、過去一番といってもよいほど笑った落語会だった。私が今最も好きな落語家、古今亭文菊と、夫が好きな三遊亭兼好の二人会だから、面白くない訳がない。

ただ、2月23日は、面白そうなイベントが他にもあり、その一つが千葉県東庄町で開催された「浪曲会&講談界~浪曲「東氏物語」~」。浪曲は玉川太福と玉川奈々福、講談は神田愛山と神田伯山という豪華共演を、天宝水滸伝の舞台である東庄町で見られるというイベントのため、とても気になっていた。昨年11月頃にはイベントがあることは分かっていたが、なかなかチケット発売の案内がなく、その後、すっかり忘れてしまっていた。そして先週、このイベントは東庄町の町民を優先したところ、チケットが完売してしまい、一般販売はないということを知った。それならと「兼好54歳 x 文菊45歳二人会」のチケットを探したら、もちろん売り切れ。しかし、2月22日に、主催者のXの投稿で当日券が2枚販売されることを知る。連絡すると、2枚は売り切れたが、キャンセルがあったら教えてくれるとのこと。そして、当日の昼過ぎに、キャンセルが出たと連絡があり、ギリギリでなんとかチケットを入手した。

「兼好54歳 x 文菊45歳二人会」が至福の時間だった_c0116370_02184882.jpg

2月23日は文菊の誕生日なのだそうだ。現天皇と同じ誕生日。そして私と同い年だと知った。兼好は1月11日が誕生日で、約1カ月前なのでやや強引だが、二人の生誕祭イベントとなった。前半の文菊の出囃子が「Happy Birthday」という粋な計らい。

古今亭文菊を知ったのは渋谷らくごである。
コロナ禍で渋谷らくごがオンライン配信だったころ、玉川太福目当てにチケットを購入したら、太福の前に出てきたのが文菊だった。オンライン配信だと視聴者側の集中力も切れるし会場の笑い声もなく面白いと思える落語は少なくなるのだが、あれ、この人、好きかもと思ったのが文菊だった。とても引き込まれた。空気感が独特で、上品で、面白いことを言おうとしない。畳みかけるような早いテンポで笑わせる落語ではない。とにかく表情やしぐさなどの演技力が随一で、声がよく、抑揚があり、芝居で笑わせる。演劇の舞台を見ているようである。その後も、寄席で何度か見て、私はやはりこの人の落語が好きだと確信に変わった。

2月23日は、最初から最後まで肩を揺らしながら笑っていた。
兼好の文菊いじりでこの日最高潮の笑いが起き会場全体が揺れる、とても幸せな時間だった。

中入り前の2人のトークの際に、主催者の女性が好きなちいかわの被り物を身につけさせられて登場し、兼好が好きなドラえもんと文菊が好きなジブリキャラクターの抱き枕がバースデープレゼントとして贈呈され、写真タイムとなった。戸惑っているお二人にまた笑えた。

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兼好は兼好で毒をさらっと嫌味なく吐くため、心底笑える。そして愛情もたっぷり添えられており温かさを感じる。

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翌朝、朝食をとりながら夫に「私、まだ昨日の余韻が残ってる」と言うと、「過去一の会だったね」と。
至福のひとときだった。



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# by iihanashi-africa | 2024-02-26 00:20 | 日本 | Trackback | Comments(0)